メーカー別 繊維ニュース

特集 商社OEM 2020/独自性を高め混乱を乗り越える/サステ対応やデジタル化も急務

2020年06月24日(Wed曜日) 午後1時16分

 新型コロナウイルスの感染拡大に、商社のOEM/ODM事業も多大な影響を受けた。現在は「コロナ後」をどう生きるのか、という重い課題と向き合わざるを得ない。従来のビジネスモデルを根本から見直し、再構築を図る必要に迫られている。サステイナビリティー(持続可能性)対応やデジタル化などの取り組みも、進行のペースを上げなければならない。

 新型コロナ禍で社会状況の先行きが見通せない中、OEM/ODMを担う商社は、これまで以上に独自性を打ち出し、存在感をアピールする必要がある。自社の代名詞ともいうべき得意分野や強みを生かした提案が求められる。

 サステイナビリティーについては、豊島が先駆けと言える。独自に展開するオーガニックコットンブランド「オーガビッツ」は今年で15周年を迎えた。廃棄予定の食材を染料に使用する「フードテキスタイル」も用途の幅が広がっている。

 ヤギも「ヤギシカル」と名付けた独自のエシカル事業に全社的に取り組んでいる。サステイナブル(持続可能な)社会の実現に向けた活動を推進し、テキスタイルの提案でもエシカルを前面に打ち出す。

 蝶理は、得意とする合成繊維で提案力を際立たせる。高伸縮機能糸「テックスブリッド」は象徴的な商材であり、布帛、ジャージー、ニットと幅広い用途に対応する。フルアイテムに活用できる多機能性を訴求する。

 田村駒は、機能性とサステイナブル対応を両輪にした素材提案を強める。接触冷感や吸水速乾を備えたトリコット、他の素材との組み合わせもできる麻などを豊富にそろえる。

 デジタル化の動きも加速している。デジタル化を重点施策の一つに掲げる日鉄物産は、サンプル製作に3次元(3D)グラフィックスの技術を導入し、実務で活用を始めた。

 蝶理も1年以内に、無駄なサンプル製作をなくすための3D技術導入を目指す。「既存の業務の効率化やODMの発信ツールのために、デジタル技術を取り入れるのは必須」としている。

〈健康・医療でサービス強化/SDGs見据え社会貢献を/豊島〉

 豊島はサービス機能を強化し新たな付加価値の創造を図る。アパレル製品以外で社会貢献が可能な介護・医療分野での商圏獲得を目指す。さらに、消費者の細かなニーズをつかみ、商品を最適な量・タイミング・価格で供給できる仕組み作りも進める。

 新型コロナウイルス感染が再び拡大すれば厳しい状況が続くと危惧する。そのため、消費者の意識が高まりつつある健康や医療といった既存とは異なる分野で収益を上げる仕組みを作る。

 具体的にはスマートウエアを通じて、体調などを管理できるサービスを提案。品質、コスト、納期面だけでなく、サービスを加えることで売れる仕組み作りをサポートする。こうしたスマートウエアの普及を目指し、社会が抱える課題解決に向けた取り組みを加速する。

 個人に焦点を絞ったパーソナライズも強化する。消費者個人が持つ購買動機や目的、嗜好(しこう)などの情報を把握し持続可能性を意識したサプライチェーンの構築を模索。足元ではD2Cの動きが活発化しており、ICTや人工知能(AI)をはじめとした技術を生かし実現を目指す。

 素材面でもSDGs(持続可能な開発目標)を意識。7月に開催する21春夏展示会では追跡可能性や持続可能性を実現したトルコ産オーガニック綿「トゥルーコットン」や繊維くずをアップサイクルした「エコリッチ」を紹介。抗菌防臭・消臭加工の「レピュール」、ストレッチ性に優れた生地「ハイパーヘリックス」なども展示する。7~22日まで。

〈原料の提案力を生かす/ワンストップ体制を整備/蝶理〉

 蝶理は2021年3月期から23年3月期までの新中期経営計画を策定した。その中で繊維部門は、川上から川下まで展開する事業の総合力を結集させる方針を示した。3本部制から1本部制へと組織を改編し、事業の一体化運営の強化を図る。

 繊維部門の強みである原料部隊の提案力を最大限に生かせるサプライチェーンの構築を目指す。高付加価値の原料を提案しながら、製品化までワンストップで担うビジネスモデルを発信していく。

 ポリエステルをはじめ、得意とする合成繊維で優位性を発揮するため、事業部横断の販売戦略に乗り出した。若手から中堅の社員を含む分科会を開き、戦略を練り上げる。

 こうした事業方針のもとで打ち出しを強めるのは、国内外のサプライチェーンを活用する再生糸「エコブルー」のような商材だという。エコブルーは、廃ペットボトルを100%使用する。ペットボトルのチップ化から紡糸、織り・編み、染色、縫製・加工までの工程を整備したリサイクルシステムによって製造する。

 グローバル取引の拡大を見据え、必須条件となるサステイナビリティーに関連した商材の拡充を進める。

 21春夏に向け新たに打ち出すのは、ギザ綿の種から生まれたイスラエル産の綿100%素材「イスラエルギザ」。インドのスビン綿のような柔らかいタッチと上品な光沢が特徴で、BCI(ベター・コットン・イニシアチブ)の認証を取得している。

〈付加価値と価格対応、両極追う/抗ウイルス加工拡販にも力/クラボウインターナショナル〉

 クラボウインターナショナルの2020年3月期業績は、前期比減収ながらも増益を果たした。カジュアル製品OEMが「差別化新商品提案が不十分だった」(西澤厚彦社長)ことや市況悪化で苦戦したが、ユニフォームOEMは国内工場を活用したモノ作りが進展するなど堅調だった。今後は新型コロナウイルス禍で先が読めないとしつつ、付加価値戦略と価格対応の両極を追求する。

 21年3月期はQRのホームウエアなどニット製品と、抗菌などの機能性を付与した布帛製品の「枠を超えた新商品開発」に取り組むとともに、以前から方針に掲げてきた糸、生地からの差別化商品の開発を加速させる。クラボウ、タイクラボウ、大正紡績などとの連携が鍵を握る。こうした付加価値化戦略の一方、価格訴求型商品のニーズが高まっていることを受け、生産体制を再整備する。新型コロナ禍でより重要性が高まったチャイナ・プラスワン地域をその主な対象とし、インドネシア、ベトナム、バングラデシュで対応力を引き上げる。その際は、幹部への登用など現地化や人材育成にも力を入れる。国内生産は竹田、村上の両自社工場を活用して小ロット対応を進化させる。

 商品面では新型コロナの影響で引き合いが増す抗ウイルス加工「クレンゼ」の拡販に臨む。その準備として効果や各加工を一覧表にまとめて訴求力向上を試みた。今後は提案作業を加速する。

〈ベトナム・インドネシア活用/ニットシャツの好調続く/東洋紡STC〉

 東洋紡STCはユニフォームやスポーツで製品OEM事業をリンクさせた成長戦略に力を入れており、ベトナムやインドネシアの拠点を駆使したオペレーションに力を入れている。

 ユニフォームでは、ベトナムに構える縫製拠点・東洋紡ビンズンとの連携を推進。2019年度、製品OEM事業は「絶好調で推移し、大幅増収増益を確保できた」としている。

 東洋紡ビンズンはこの間、フル操業を続けており、不足する分は周辺協力工場への外注でカバー。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「20年度は厳しい」との懸念を示しており、ベトナムでは当面、現有設備のフル操業を維持し続けたい考えだ。

 一方、スポーツでは、インドネシアの東洋紡マニュファクチャリングインドネシア(=TMI、編み・染め)、STGガーメント(縫製)によるオペレーションで事業拡大に取り組んできた。

 インドネシアでは、ニットテキスタイルやスポーツシャツ、ビジネスシャツを生産。日本への持ち帰りを主力にテキスタイル販売、「Zシャツ」ブランドなどによる製品展開を進めてきた。

 これまではスポーツ・アスレ素材の生産を中心にTMIを回してきたが、今後はスクール向けの商材や「Zシャツ」、「Eシャツ」を加え、素材一貫による同社の強みを発揮させていく。

〈未来の収益基盤創出へ/コロナ禍でも準備着々/ヤギ〉

 ヤギは二次製品事業で糸、生地からの一貫開発体制を構築する。その担い手として社内プロジェクトチーム「ワン・ヤギ」を新たに発足。製品OEM事業の差別化戦略を加速させるとともに、「従来のOEMにとどまらない収益基盤を作っていく」(山岡一朗常務取締役営業第二本部長)。

 2020年3月期の二次製品事業業績は、前期比微増収だったものの計画には届かなかった。第3四半期までは計画を上回る推移だったが、暖冬、消費増税、新型コロナウイルス感染拡大の影響による納期遅れなどで2、3月が落ち込んだ。

 新型コロナの影響は尾を引いており、20秋冬、21春夏物ともに楽観視できる材料はないが、「未来の収益基盤を作っていく」として将来を見据える。

 既存のOEM事業では採算性を重視し、人員のシフトなどを進めるとともに、デジタル技術の活用で収益性を高める。商品企画、展示会、サンプル作成、生産管理、物流などあらゆる工程でデジタル化を進め、業務効率引き上げを期す。

 商品開発の面では糸、生地、製品の各部署からその都度人選するプロジェクトチームを立ち上げた。これにより、糸や生地の希少性など他社にはない二次製品の開発を進める。サステイナビリティー(持続可能性)も開発の鍵になる。「既存のOEM以外」の事業創出としてはヘルスケア商品などを対象とする。

〈海外生産強化に注力/機能性に富んだ素材拡充/田村駒〉

 田村駒は昨年7月、連絡事務所を置いていたバングラデシュ・ダッカに正式な駐在員事務所を設立した。需要が急増したバングラデシュでの生産背景の整備を進めた結果、数量ベースでは中国に次ぐ生産地に成長した。

 新型コロナウイルスの影響が最も懸念された中国の生産状況は、順調に回復に向かっている。ASEANの中核拠点であるベトナムも、工場の稼働が停止することもなく、ほぼ平常時の状態を保っているという。

 国内では21春夏に向け、機能性素材の提案に力を注ぐ。セレクトショップへの展開も意識して品ぞろえを強化する。

 接触冷感素材「グレーシャー」は、吸湿速乾、イージーケア、UVカット、軽量など多機能性を備える。スポーツからファッションまで用途の幅を広げて提案する。

 多機能性素材として新規に取り扱う「シェルテック」は、遮熱効果に加え、接触冷感やUVカットの働きをもたらす。

 シワになりにくいトリコット素材「コンフィール」は、シャツ以外に向けても打ち出していく。

 近年はサステイナビリティー(持続可能性)に対応する素材の拡充を進めてきたが、リサイクルの取り組みにも本腰を入れる。綿、ポリエステル、ダウンを軸に展開していく方針だ。

 綿については高品質の新疆綿を取り入れ、他のリサイクルコットンとの差別化を図る。ポリエステルも、使用済みの漁網を原料にするなど、新しい試みも加える。

〈郵船ロジスティクス/海外調達物流で進展/緊急時の対応にも成果〉

 郵船ロジスティクス(東京都港区)は、アパレル製品の海外調達物流で、浪速運送(大阪市西区)との協業が進んでいる。中国やASEAN諸国でプレス作業を行うハンガーコンテナや海外バイヤーズコンソリデーションの拠点活用など、互いのサービスを補完する形で成果も出てきた。

 ハンガーコンテナは、現地でプレス作業を行うため、国内で再梱包(こんぽう)、開包を行う必要がない。コンテナで輸送するため、ダンボールケースも不用だ。副資材のコストを削減できる上、郵船ロジスティクスの強みである商品管理を一元化した独自システムで省人化にも貢献している。

 新型コロナウイルスの影響について、郵船ロジスティクスでは「人件費の安いバングラデシュやミャンマーなどに(アパレルの)生産地が広がっていたものの、航空便のキャンセルや港湾の混雑などにより、交通インフラの問題が露呈した」と指摘する。さらに日本の倉庫の在庫オーバーフロー、海上コンテナのCY(実入コンテナ置場)留め置きなど緊急性の高い事象にも即応した。

 コロナ後は、アパレル生産地の見直しやサプライチェーンの再構築、特定地域に頼らない生産地の分散化が進むと予測。「その中で物流業者がどうサポートできるか検討している」とした。既に、ITを駆使した物流の可視化や海外での情報収集、アパレルに特化した物流に定評があるため「新しい提案ができるチャンス」とみる。