メーカー別 繊維ニュース

特集 SDGs(4)/“サステイナビリティーマネージメントを推進”

2020年06月25日(Thu曜日) 午後4時2分

〈「&+」を国内外で拡販/東レ〉

 東レは原料として使うペットボトルのトレーサビリティー(追跡可能性)にまでこだわって開発した再生ポリエステル「&+(アンドプラス)」を繊維横断型の事業ブランドと打ち出している。

 ペットボトルリサイクルの協栄産業との連携を通じ、素性のしっかりしたボトルからの原料でアンドプラスを商品化。ポリエステルの白度を大きく改善するとともに、このとき特殊な添加剤を原料に混ぜて生産しているため、外部の検査機関でこの添加剤が含まれているかどうかをチェックしアンドプラスであることを確認できる。

 日本の愛媛工場、石川工場、タイのTTS、マレーシアのPFRなどでの量産を先行させており、中国TFNL、韓国TAKなどにも広げ、グローバルな全拠点でエコに対するニーズに応えられる体制を整備する。

 ダウンウエアでは、2019秋冬から「ウルトラライトダウン」で羽毛のリサイクルを立ち上げており、そのために瀬田工場に専用設備を導入している。「回収率が高く、設備はパンパンの状態」としており、将来は他ブランドへも広げていくことを検討している。

 ナイロン100%の雨合羽を回収・再利用する取り組み「サイクリード」は既に着手してから10年が経過した。

 現在、重視しているのは植物由来原料100%で開発を進めるバイオポリエステルの早期事業化。既にパイロットプラントによる生産にはめどを付けており、「20年代のどこかで量産にこぎ着けたい」考えだ。

 22年度および30年度をゴールとする中期課題、長期ビジョンをスタートさせており。“グリーンイノベーション(GR)事業拡大プロジェクト”による年商を19年度の8300億円から22年度で1兆円に引き上げる。

〈「ベンベルグ」「ロイカEF」重点投入/旭化成〉

 旭化成は「ベンベルグ」「ロイカ」で環境に配慮した素材としての売り込みに力を入れている。

 ベンベルグでは、プルミエール・ヴィジョン(PV)やイスポ、国内のアウター素材展などでベンベルグのエコロジーな特徴(土壌中の生分解性など)を地道にPRし続けてきた結果、「この2~3年、エコ素材としての認知度が高まってきた」という。

 特にGRS認証を取得していることが欧州連合(EU)ユーザーから評価されているといい、同社は今後、テキスタイルでも認証を取得し販売増につなげたい考えだ。生分解性についても、海洋中での認証を取得するための作業を急いでいる。

 一昨年はPVに環境に配慮したフィブリル加工「ベルティーン・エポ」を出展。従来よりも温室効果ガス排出量を16・5%、エネルギー消費量を21%、水使用量を19・5%削減できる点が注目された。EUの加工場にこの技術を導入し「量産のめどを付けた」といい近々、具体的な販促活動を立ち上げる。昨年は中国の大手アパレル歌力思(ガリス)とコラボレーションし百貨店で裏地の店頭プロモーションを実施。動画やPOPを使いサステイナブル(持続可能な)を訴えた。

 一方、ロイカではスパンデックスで初めてGRS認証を取得した「ロイカEF」をデニムやアウター、インナーなどの用途に売り込んできた。EUでは「エコ・スマート」と打ち出し、「これが好評」で年々、販路が広がっていると言う。

 日本では、ここに来て引き合いを集めていると言い、主素材を再生ポリエステルや再生ナイロンで企画するアパレルがスパンデックスにロイカEFを使うケースが増えている。現在、ドイツ工場で生産しており、日本、タイなどでの生産拡大にも意欲を示している。

〈「エコトーク」ブランドで打ち出す/クラレトレーディング〉

 クラレトレーディングはペットボトル再生ポリエステルといった「エコトーク」の販売を2009年に開始している。地道な販促を重ねてきた結果、現状で「クラベラ」(ポリエステル長繊維)全体に占める比率を30%まで伸ばしてきた。

 SDGs(持続可能な開発目標)やサステイナビリティー(持続可能性)への関心が急速に高まっている昨今の状況を踏まえ、改めてエコ素材による開発、企画提案を推進し、環境に配慮した事業運営を徹底したい考えだ。

 20年からエコ素材を統一ブランド「エコトーク」に集約して打ち出す販促活動を本格化させており、21年をめどにクラベラに占めるエコトークの比率を50%に引き上げる。

 エコトークはペットボトル再生ポリエステル、バイオマス由来のポリエステル「バイオスペース」、環境負荷低減に貢献する水溶解性繊維「ミントバール」で構成される。

 ペット再生では、十字断面の吸汗速乾素材「スペースマスター」、防透け素材「エクステージ」、高発色「SN2000」の再生ポリエステル化に取り組んでおり、いずれでも「どのタイミングで切り替えていくのかを顧客と商談中」と言う。

 ヌバック調の婦人服素材「エルモザ」が最近、パソコンやスマートフォンのアクセサリー用途から引き合いを集めている。中でも、欧米のユーザーからエコ化への要望が強まっているため、エルモザのエコ化にも力を入れている。

 バイオスペースでは、昨年からユニフォーム(企業別注)向けの販売がスタート。現在は外部から購入するバイオ由来のチップを「いずれは自社で生産したい」との意欲を示している。

 ミントバールでは、インドのタオル産地向けの販売が年々、拡大しており、タオル以外の新規用途の開拓を課題に位置付けている。

〈エコペットの商品幅拡充/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアは環境活動指針「シンク エコ」を掲げて環境配慮型ビジネスを推進してきた。さらに3年前からはSDGsを重視し、「17の目標をどう解決していくか」を視点にした研究開発を強化している。

 環境配慮型商品で、リサイクルや生分解、植物由来原料などを拡充しているほか、各種フィルター(水処理、空気清浄、集塵など)や遮熱カーテンなど環境負荷の低減に役立つ用途への展開にも力を入れている。

 リサイクル素材はマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの双方を展開する。25周年を迎えたマテリアルリサイクル「エコペット」は商品幅が広がり、細さ、形状、強度など各面で通常ポリエステルとそん色ない技術を確立した。既に複雑な異形断面形状や0・3デシテックスのハイマルチ糸なども可能となっている。

 植物由来原料、生分解性の面ではポリ乳酸(PLA)に力を入れる。PLAの圧電性を生かした組ひもセンサーのほか、このほど村田製作所との共同開発による「ピエクレックス」も発表した。ピエクレックスはポリマー、糸、生地の各段階でPLAの圧電性能を最大限に引き出す設計を実現。植物由来原料であるとともに、薬剤を使わず抗菌効果を付与した環境配慮型素材でもある。電場が菌の細胞膜を破壊するとともに、細胞の電子信号に不調を与えて不活化する仕組み。村田製作所との合弁で設立したピエクレックス社は今後、抗菌以外での切り口でも開発を進める考えを示している。

 今後はポリマーからの研究開発を強化し、PLAやポリエステル以外でも新たな環境配慮型素材の開発に取り組む。

〈ブルーサイン認証取得/三菱ケミカル「ソアロン」など〉

 三菱ケミカルは、トリアセテート繊維「ソアロン」とジアセテート繊維「リンダ」で、繊維業界における環境保全、労働者・消費者の観点で持続可能なサプライチェーンを経た製品に付与される認証の「ブルーサイン」を取得している。サステイナビリティー(持続可能性)に貢献する素材として注目度が高まる。

 スイスに拠点を置くブルーサイン・テクノロジーズ社が運営管理するのがブルーサイン認証だ。繊維製品生産の各段階で使われる糸や染料・添加剤、生地などの材料から、人の健康や環境に悪影響を与えると考えられる全ての物質の除去を目的とし、厳格な認証の一つに位置付けられている。

 ソアロン原糸とリンダ原糸がサステイナビリティーに配慮し、環境保全や労働者、消費者に対する安全性の観点で優れていることなどが評価され、認証の取得に至った。

 ソアロンは、天然の樹木からできるパルプを組み合わせた半合成繊維で、再生を保証するプログラムによって持続可能な形で管理された森林の木材を使用する。2017年には製造拠点の富山事業所フィラメント工場が、国際非政府組織の森林管理協議会によるFSC―COC森林認証を取得した。

 環境への優しさのほか、機能性なども持つソアロンは、ファッション産業に欠かせない素材として国内外で確かな評価を得ている。

〈20春夏から「エコールクラブ・バイオ」/東洋紡STC〉

 東洋紡STCはペットボトル再生ポリエステル「エコールクラブ」、バイオポリエステル「同バイオ」、生分解性素材「ダース」の3本柱による拡販を計画する。特に重視しているのがエコールクラブ・バイオによる開発、企画提案だ。

 原料を同社が手当てし、台湾企業にOEM生産を委託しており、20春夏から本格販売に入る。サステイナビリティー(持続可能性)に対する意識の高い企業からの引き合いが強いとしており、企業別注を主力に展開。綿との交織や裏綿が多くを占めると見通している。

 エコールクラブの拡販に伴い、同社はこの間、年間800トン前後のペットボトルをポリエステルに再生し販売してきた。同バイオが戦列に加わることで「まもなく1000トンを超える」との手応えを示しており、同バイオの売り込みを強化し、市場への浸透を目指す。

 ダースでは、短繊維を自社で生産する一方、長繊維では海外でのOEM生産を計画する。ダースによる製品(ユニフォーム)の回収を検討しており、回収方法や生分解に関するデータの蓄積、製品回収のための体制作りをさまざまに検討中。

 企業別注向けに販売したユニフォームを数年後に回収し、一定条件下の土壌に埋めることで自然に戻す取り組みを何社かとの「パートナーシップを通じ実現したい」としている。

〈サステ推進室に昇格/ユニチカ〉

 ユニチカはポリ乳酸を原料とする「テラマック」を繊維、不織布、樹脂で展開する。販売量全体に占める比率は繊維が50%、不織布、樹脂がそれぞれ25%となっている。

 繊維では、ティーバッグ向けに販売するモノフィラメントの荷動きが堅調に推移。不織布では、土壌改良に使われるバーチャルドレーン用途をスパンボンドで開拓している。

 一昨年までは、その販売に大きな動きは見られなかったという。ところが、海洋プラスチック問題に注目が集まり出した昨年以降、サステイナブル(持続可能な)素材としてテラマックにも引き合いが集まり販売量も反転した。

 19年度は期後半に新型コロナウイルス感染症拡大の影響があったものの、テラマック全体の販売量は前年実績を上回ったという。

 ユニチカグループはこのほかケミカルリサイクルによるポリエステル「エコフレンドリー」、リサイクル原料によるナイロン・ポリエステルフイルム、植物由来の芳香族ナイロン樹脂「ゼコット」など多彩なサステイナブル素材を構えている。

 これらの開発、顧客への情報発信・企画提案を全社横断的に推進するため昨年5月、サステナブル推進グループを設立。今年7月から同推進室へと昇格させ、SDGsへの対応に本腰を入れる。

〈WWFと有機綿通じ社会貢献/豊島〉

 豊島は昨年12月、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)と連携した「水スチュワードシップ」と「自然由来原料の調達」の目標設定の取り組みを開始した。日系ファッション企業としては初の事例であり、世界標準に基づくサステイナブル(持続可能な)生産を目指して協働を進めていく。

 活動では、「水の利用、化学物質の利用、排水」の水リスク課題について、製造委託先やパートナー企業と共有・把握し、改善を推進する。20年度は、WWFなどが開発した「Water Risk Filter」を通して、繊維部署の取引先染色工場の水管理に関わるさまざまなリスクを流域単位で1次評価し、結果を確認。秋には、WWFが中国で水・エネルギー利用の実態把握と、サプライチェーンを通した継続的な改善に取り組む「Textile Going Green」プロジェクトに参画する予定。

 製品や付属する資材に使う自然由来原料について、トレーサビリティー(追跡可能性)がとれ、サステイナブルの認証が得られた素材の調達に関する目標を掲げ、サプライチェーン全体での取り組みと普及啓発を継続していく。並行して、トレーサブルオーガニックコットンの普及を主眼に置いたチャリティープロジェクトを、WWFジャパンと連携して実施する。

 普及を目指すオーガニックコットンはトルコ産で、「トゥルーコットン」のブランド名で展開する。国内販売の独占契約を結んだウチャクテクスティル社は農場と紡績工場を一元管理しているため、「生産者の顔が見える」のが最大の特徴だ。

 チャリティープロジェクト第1弾では、モデルの山田優さんらがデザインしたマスクケースを販売し、売り上げの一部をWWFジャパンの活動支援に充てる。

〈廃ペット再生事業に本腰/蝶理〉

 蝶理は昨年、廃ペットボトルの回収、洗浄、粉砕、ペレット製造を手掛けるウツミリサイクルシステムズ(以下ウツミ、大阪市中央区)と連携し、リサイクルペレット販売事業を開始した。リサイクルペレット押出機を蝶理が購入し、ウツミに貸与している。

 このリサイクルシステムで生み出すペレット、糸、生地は、蝶理の再生ポリエステル糸のオリジナルブランド「エコブルー」として展開する。ペレットは不純物が少ないため白度が高く、高品質で細番手化にも対応できるという。

 販路はスポーツ、ファッション、ユニフォーム、インテリア、資材などを想定する。ペレットについては半分を自社使いとし、残り半分を合繊メーカーなどに販売する。

 蝶理はエコブルーをはじめ、サステイナビリティー(持続可能性)の潮流に対応する商材の拡充を進めている。中でも、独自商材として打ち出すのが「ナチュラル・ダイ」。

 ナチュラル・ダイは、植物や鉱物から抽出した天然色素を繊維に固着させる染色法で、天然繊維以外の合繊や化繊に染色することも可能。高度な技術を持つ国内の提携工場が、トップ染め、糸染め、生地染め、製品染めに対応する。

 新素材も積極的に取り入れている。イタリア・ミナルディ社のリサイクルダウン「P.U.R.E.」は、使い方次第でサステイナビリティーとファッションの両立を実現できる面も訴求する。

 ウズベキスタン産のオーガニックコットン「フェルガナコットン」は、柔らかなタッチと白度の高さが特徴。主にニットセーターなどに提案する。

 素材提案の基軸商材である高伸縮機能糸「テックスブリッド」も、ポリウレタン不使用で環境配慮につながる点をアピールする。

〈自然界は事業の前提条件/シキボウ〉

 綿紡績として綿花を中心とした天然繊維を通じてSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを進めるシキボウ。「綿紡績は自然界から生み出される農作物を原料とする。自然界の持続性は事業継続の前提条件」と強調する。

 同社は1997年にオーガニックコットンや再生ポリエステルなどを活用した環境配慮型商品の冠ブランドとして「エコテクノ」を打ち出すなど、早い段階からサステイナビリティー(持続可能性)を重視する事業運営に取り組んできた。東南アジアで栽培されるキャッサバ芋の葉で育てるエリサン(野蚕の一種)のシルクを「エリナチュレ」として商品化した際にも、現地の農業振興も含めた“千年持続社会”を目標に掲げている。

 現在、特に力を入れているのが、国際綿花評議会が認証し、シキボウも認定サプライヤーとなっている「コットンUSA」商品。原料の米綿は科学的な精密農法によって水や農薬、エネルギーの消費量を抑えた環境配慮型の手法で栽培されている。科学的鑑別法も開発され、トレーサビリティー(追跡可能性)も確立する。

 さらに綿花に複合するポリエステルも再生ポリエステルを使うほか、このほど燃焼時の二酸化炭素排出量を抑えたポリエステル繊維「オフコナノ」を開発した。現在、日本では毎年80万㌧の衣料品が廃棄され、そのうち60万㌧は焼却処分されているともいわれる。こうした中でオフコナノの役割は大きい。

 健康や衛生もSDGsの重要な要素。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を背景に抗ウイルス加工「フルテクト」など衛生加工の普及にも力を入れる。新型コロナによってIT活用の重要性も明確になった。今後、これらを活用して消費者に同社のSDGsへの取り組み伝える取り組みも強化する。