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特集オフィス・サービスウエア(2)/経営陣に聞く 2020年前半の商況と今後の展望

2020年07月02日(Thu曜日) 午後4時39分

〈神馬本店 社長 神馬 真一郎 氏/先を見据え提案型の企画を〉

 今期春以降は新型コロナウイルス感染防止に対応しながら社内外で大きな影響を受けた。

 商戦としては先受注の大口案件以外は各企業のテレワークや自粛の影響で夏商戦での案件は少なかった。

 そのため、20秋冬では新商品をこれまでとは大幅に変える。先を見据えた提案型の商品企画による需要の掘り起こしで成果を出していきたい。

 働く女性に向けて職域の拡大を考慮した接客向けアイテムの拡充を図り、接客向け「シャンナーレ」では新たにビジネスウエアとしてのきちんと感と、調和性に合理性を両立させたカラーバリエーションとコーディネートが特徴のシンプルなスタイルで多様な職種、職場環境のスタイルに対応したい。

 ジャケットに付け替えできるポケットフラップを採用した(特許出願中)。再生PETを使用し地球環境に配慮した取り組みに貢献できる。社内においてもSDGs(持続可能な開発目標)への意識改革を徹底し、開発を進める。

〈アイトス 社長 伊藤 崇行 氏/総合メーカーの強み発揮〉

 東京五輪・パラリンピックが新型コロナウイルス感染拡大の影響で一年延期になった。ただ、この需要を見越して店舗を新設しようとしていた飲食店などは予定通りにオープンしているケースが多いように思う。開催が一年延びたことを逆手にとって、ユニフォームアパレルとしてできることを追求していきたい。

 オフィスウエアの「ピエ」ではコーディネート提案を強化する。数シーズンぶりに上下セット物のニットスーツを投入して拡販を狙う。

 ワークからサービス、オフィス、シューズまで総合的に各種ユニフォーム関連商材を企画販売するのが当社の特徴。オフィスウエアにしてもサービスウエアにしても、総合力をいかに発揮できるかが拡販の鍵を握る。総合力を強みに、生産や販売手法の工夫、カタログの見せ方や作り方も含めて「新たな仕事着の提案」を推進していく。

〈住商モンブラン 社長 石川 士郎 氏/代理店のEC事業を支援〉

 2020年5月期の売上高は前期比4・7%減の121億円だった。少しでも増収をと考えていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより届かなかった。別注が苦戦したが、備蓄品は通期で2%減とコロナ禍で健闘できた。

 備蓄品のうち、最もコロナの影響を受けたのが飲食サービスで、通期で7%減だった。飲食サービスより分母は小さいが介護も20%減と苦戦を強いられた。一方、食品工場は5%増、メディカルは1%増とコロナの影響は軽微だった。

 ライセンスブランドはブランドごとに凹凸あるが、いずれもコロナの影響は避けられなかった。

 今期は売り上げ目標を128億円に設定し、増益も目指すが正直、先は見通せない。抗ウイルス・抗菌関連商材の拡充、マーケットイン発想による商品企画、代理店のEC(電子商取引)事業の支援などに力を入れていく。

〈チクマ アルファピア 事業部長 岩崎 敦史 氏/アフターコロナ見据える〉

 2020年11月期の上半期は、新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛制限やインバウンド需要に関連したホテルなどのサービス系業種が軒並み休業に入るなどしたため販売促進活動そのものが制限された。

 これまでけん引していた主力の接客・おもてなし系カタログ「ユー・ファクトリー」や昨年投入した「マリークヮント」とのコラボレーション商品などが影響を大きく受けたほか、女性事務服系カタログ「アルファピア」は市場自体が縮小傾向の中の追い打ちとなった。

 下半期は、新型コロナの状況次第になるため見通し不透明だが、アフターコロナに向けた取り組みはしっかり行っていく。商品価格についても据え置きを決めた。販促や受注の仕方も今回を機に新たな方法を探っていく必要があるという。展示会の代替えにもなり得るデジタルツールは積極的に推進していく方針。

〈ボンマックス 社長 外川 雄一 氏/新たな基盤構築目指す〉

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月に入ってからサービス・オフィスウエアの販売に影響が出たが、5月後半から復調の兆しが見えてきた。ワークウエア、介護向けポロシャツは比較的堅調に推移している。

 社内にコロナ対策本部を設置。有志の社員が集まりアイソレーションガウンや冷感マスクなどの非常時向け新商品の企画を次々と立ち上げ、特需を生み出している。その中から次につながるプラットフォームとして、全国の縫製工場とのネットワーク構築や特異な技術を持つ企業とのコラボレーション、クラウドファンディング訴求の商品開発などを目指す。

 20秋冬オフィスウエアでは、トレンドのシルエットを取り入れた新作をはじめ、今まで廃棄されてきた生地や服をリサイクルし、糸を作り出す「レニュー」プロジェクトによる新作ブラウスを投入していく。

〈カーシーカシマ 常務 増田 庸佑 氏/コラボ企画推進〉

 2020年7月期は、これまで順調に推移してきたものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、夏物の新規引き合いが大幅になるなどの影響が出始めており、着地は前期比微減を予測する。

 展示会を含めて今後の商流は大きく変わるとし、レンタル事業やEC(電子商取引)に注力する。ECについては24時間365日展示会を開いているような環境を作ることで、販売代理店にとってのプラットフォームにしていく方向で進める。

 オフィスウエア「エンジョイ」は、働き方の多様化に伴い、職種ごとに合わせたデザインを取り入れるといった掘り下げた工夫を施していく。介護向け「ハートグリーン」やソフトワークウエア「キャリーン」など、介護・メディカル分野は比較的堅調なため、さらに注力する。社内に異業種とのコラボーレーション企画を担う部署を設置し、新たな市場開拓を目指す。

〈セロリー 社長 太宰 幹夫 氏/あらゆることを見直す好機〉

 本年度上半期(2019年12月~20年5月)の売上高は、今年2月まで前年を上回るペースで推移していたが、3月以降は新型コロナウイルスの影響が鮮明になり、前年同期比10%減となった。厳しい環境にあるが、抗菌、消臭などの効果がある空気触媒加工「ティオティオ」をはじめとした商品企画のほか、国内の縫製工場で納期調整にも柔軟に対応できる供給体制が評価されている。

 下半期は6~8月まで前年並みの受注を確保しているが、売り上げの分母が大きい9月で今期の落ち込みをいかに食い止められるかに掛かっている。不透明な環境だが、あらゆることを見直すタイミングと捉えたい。

 ユニフォームの再資源化に向けた「Re,ユニフォームプロジェクト」は案件が増えつつあり、サステイナビリティー(持続可能性)への対応も打ち出す。アイロンがけの自動化など、仕上げ専門工場の省力化・スピードアップも図っていく。

〈ハネクトーン早川 社長 早川 智久 氏/内需関連業種への提案強化〉

 前期(2020年4月期)の総売上高は3年連続増の10億7600万円となった。インバウンド市場で順調に推移してきた接客業向け「カウンタービズ」が好調。空港職員、信用金庫職員、劇場コンシェルジュ、カーディーラーなどで採用された。

 多様な業種業態に訴求したことで、新規開拓や中~大口需要の取り込みにつながりユニフォーム事業は堅調に推移した。スクールネクタイは微増、オフィシャルネクタイは鉄道関連の大口とカウンタービズとの相乗効果で定番スカーフが伸びた。

 今期は新型コロナウイルスの感染影響に加え、事務服の需要減、サービスウエアの競争激化を予想。新型コロナ収束後の内需拡大に向けて、新たな業種職種への提案、商品企画、生産体制の整備を行っていく。自然災害などの緊急事態に備えたBCP(事業継続計画)の策定も検討中。

〈サーヴォ 社長 宍戸 典之 氏/短納期体制構築は必須〉

 新型コロナウイルスの感染拡大により、主力の工場白衣の買い替えシーズンでもある3、4月に影響が出た。社員食堂や給食施設の稼働停止時期と重なったほか、飲食サービス業の営業自粛などが販売に響いた。

 社内ではテレワーク導入やシフト勤務制などで対応。社内アンケートを基に今後の働き方などについて検討を始めている。さらに、ほぼ全ての部署に対して、市場に出すべき商品の価値をどこに置くべきか、カタログや展示会の在り方など、これを機に既存のやり方をゼロベースで見詰め直すことを呼び掛けた。

 アパレルにできてユニフォームアパレルにできないことはないという芯はぶれない。海外生産の短納期体制構築は引き続き重点課題とする。海外販売の足掛かりとしたいベトナムでは、サンプル品の着用試験が始まり、年内には成約を出したいとする。

〈フォーク 社長 小谷野 淳 氏/ジアスクラブ出足好調〉

 医療ウエアの新商品「ジアスクラブ」が、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で需要が急増し、当初の年間販売目標4万点に対して7万点を見込む勢いで好調だ。ポリエステル樹脂の段階で顔料着色した繊維素材を採用し、工業洗濯や除菌・殺菌の薬剤による変色・退色にも強い耐性を出した商品。中国での一部素材の調達など、サプライチェーン整備についての課題にも取り組む。

 2021年1月期の新型コロナの影響は5月以降特に出てきている。メディカルウエア分野は微増で推移しているが、オフィスウエア分野は、今後も在宅勤務などの広がりもあり見通しは厳しい。

 アフターコロナに向けて、衛生や感染症に対する意識の高まりは今後も続くとみられるため、ジアスクラブを引き続き強化していくほか、働き方をはじめ、営業手法や展示会などもテクノロジーを駆使したやり方を考えていく。

〈ジョア 社長 神馬 敏和 氏/“憧れ”を付加価値へ〉

 上半期(2020年1~6月)は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたが、5月以降はやや持ち直し、暑さ対策の後押しもありオーバーブラウスやソフトジャケットの販売が好調に推移している。

 新型コロナの収束まで長期戦が予想され、今後も不測の事態を想定しながら柔軟に対応する。「抗ウイルスの素材」や「テレワーク増加による働き方改革」などにも考慮した商品開発、プロモーション手法も強化し、対面や実際の商品と温度差が少なく分かりやすいデジタルツールの活用も模索する。

 20秋冬では従来のブランドコンセプトだった「かわいい」のテイストを見直し、上質でエレガントでありながらも、働く女性が“憧れ”を抱くような「大人の可愛さ」を追求し変化をもたらしていく。憧れという付加価値を持たせ、人材難から採用力の向上につなげるなど、“withコロナ”の新時代の中でも、働く女性が輝く商品を展開していきたい。

〈トンボ営業統括本部 執行役員 ヘルスケア本部長 永瀬 公雄 氏/地に足の着いた活動を〉

 ヘルスケア本部は2020年6月期、新型コロナウイルスの影響を受けながらも「ヨネックス」ブランドの商品が計画通り推移し、売上高は前期並みの20億円を想定している。

 4月ごろから新型コロナ禍の影響が強まり、メディカルとケアの両方で一部仕掛かりの案件が先送りとなったが、既存は追加発注を獲得するなど安定を維持できた。

 ヨネックスの「メディケアシリーズ」では、今期から提案を本格化させた「チーム医療シリーズ」、ベースブランド「キラク」でも展開する「防風ジャケット」が、非常に厳しい商況の中でも相応に引き合いを得ている。キラクの「清涼シリーズ」も徐々に要望が増えてきている。

 カタログの発刊や展示会など広報活動で調整を余儀なくされた。厳しい環境が続くが、当社の生産力や企画力を生かし、当面は既存販路を中心として地に足の着いた活動に取り組みたい。

〈明石スクールユニフォームカンパニー アクティブチャレンジ部 企画担当部長 浅沼 由佳 氏/メディカルが2桁%増〉

 アクティブチャレンジ部では2020年5月期、メディカル・ケア向け「ルコックスポルティフ」の新企画などが奏功し、新型コロナウイルス禍の中でも売上高で前期比横ばいとなる21億円前後を見込んでいる。

 新型コロナ禍で一部の案件にキャンセルや遅れが見られたが、メディカルに至っては前期比2桁%で増販した。ケアも厳しい商況の中で前年並みを確保している。

 ルコックでは、引き続きスポーツブランドならではのデザイン性が評価されている。従来のトリコットより防透性や軽量性に優れたシルキートリコット使いの商品が採用増に貢献し、20年企画の若年層向けの襟なしジャケットは初年度ながら堅調に推移した。

 今期に向けた新企画の最終調整や撮影を進めている。展示会は新型コロナ禍を受けて地方展のみとしたが、感染防止を徹底した営業やネットの活用なども継続し、ユーザーとの接点を確保したい。

〈サンリッチモード 社長 武田 一光 氏/東レグループの連携生かす〉

 社長就任から約1年。主力のユニフォーム事業に加え、東レグループで取り組むライフイノベーション事業にも注力する。2020年3月期は増収増益で予算を達成した。上半期は大型案件があり順調だったが下半期に失速。今期については、利益面重視の予算を設定している。

 ユニフォーム分野では、新型コロナウイルスの感染による影響がタイムラグを伴って出てくるとし、第2四半期以降の在庫・生産調整、企業別注案件の保留や見直しといった動きを懸念する。

 ライフイノベーション事業では、使い切り高機能保護服「LIVMOA(リブモア)」が好調だ。学生向けなど新たな領域での活用が期待される機能素材「hitoe(ヒトエ)」や、ロングセラーの介護用スライディングシート「トレイージー」、腰部サポートパンツ「腰囲周当」など、粒ぞろいの新商品群にも期待を寄せる。

〈ツカモトコーポレーション ファッション事業部長 露木 健一 氏/提案技術の強化図る〉

 2020年3月期は、大口案件や、金融機関を中心としたオフィス需要の減少などの影響により減収減益となった。

 この中で、ワークウエア需要は新規、買い替え需要共に底堅く動いた。働き方改革やハーネス着用義務化など、安全衛生面に対応した制服への感度も高かった。今後は特に建築関連企業、警備業や公共交通機関などのスーツ系の制服、医療用ガウンなどの医療サービスを重点販売分野とする。

 オフィスウエアについては新型コロナウイルスの感染終息後のインバウンド需要に向け、インフォメーションやアドバイザーなどの“おもてなし”制服を中心に企画開発を進める。

 今期はさらに、感染防止関連や非繊維の新商材開発、環境面とSDGs(持続可能な開発目標)に配慮した商品開発で増収増益を目指す。リモートプレゼンテーションやデジタル企画書などによる提案技術の強化も図る。

〈アルトコーポレーション 社長 ●瀬 由武 氏/時代に合った商品開発目指す〉

 2021年2月期は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、4、5月の売り上げが約2~3割落ち込んだ。その中で、今季新規に投入した商品が好調。

 サービスウエアの新商品「ゼットシャツ」は、ワークウエア同様ストレッチ性や、通気性、吸汗・速感性が、今まで以上に求められていることから生まれた商品。注力しているワークウエア分野でもコストダウンしたフードなしベストタイプの電動ファン(EF)付きウエアや、消臭剤「ファブリーズ」とコラボレーションした「アルファ・フォース」シリーズの長袖シャツが好調な出足となった。スクラブ向けインナー商品も今夏展開する。

 新たにESD(静電気放電)対策のIEC(国際電気標準会議)規格高制電ユニフォームを手掛けるほか、物流やデリバリー、介護分野などがアフターコロナで期待できるとして、時代とニーズに合った商品を開発し打ち出していく方針。

(●はまだれに黄)

〈ガードナー 社長 渡辺 英治 氏/売り上げ構成の8割ユニフォームで〉

 3カ年の中期経営計画の最終年度に当たるとともに創業35周年を迎える2020年12月期。上半期は、4月までほぼ計画通りで推移したが、新型コロナの感染拡大による影響がこれから半導体工場や食品工場にどのように波及してくるのか慎重に見極めている。

 ユニフォームメーカーとして、防塵(じん)衣を中心とするユニフォーム事業の売り上げに占める割合を現状の7割ほどから8割まで引き上げることに注力する。6月に施行した食品衛生管理の国際基準HACCP(ハサップ)に関連するウエア需要は、積極的な企業はここ1~2年で既に導入しているため、急激に増えることはないとみる。食品業界向けウエアはユニフォーム売り上げ構成の2割で、洗濯や着用履歴を管理できるICタグクリーニングシステムなどで強みを生かせる商品を前面に出す。

 海外生産は、現在ベトナムに集中し過ぎている面もあるため、リスク分散から周辺国への一部移転も考える。

〈ヤギコーポレーション 社長 八木 圭一朗 氏/コロナ禍は慣習見直す好機〉

 昨年12月期の売上高は前年比横ばい。今期に入ってから3月まで前年並みで推移したが、4月以降は新型コロナウイルスの影響で苦戦した。ただ、規模が小さいながらも「ビームスメディカル」が前年を大幅に上回り堅調に推移している。

 生産・物流面では中国の自社工場で2月13日から再稼働することができ、比較的影響が少なかった。通関業務も再稼働後数日は一部品番で資材の入荷が滞るなど多少の影響があったが、すぐに平常通りに回復した。

 下半期は、オフィスワーク市場も当面新型コロナの影響が続くと予想する。秋冬物展示会の開催は難しい状況だが、動画やその他プレゼンテーションで新商品のPR方法を検討している。

 今回のコロナ禍の影響はさまざまな慣習を見直す好機と捉えている。ユーザーに直接訴求することができ、代理店にとっても負担の軽減につながるような新しい営業スタイルを模索したい。