コロナ禍の産地 7~9月を読む⑦

2020年07月15日(Wed曜日)

かつてないほどの状況に 郡内

 「かつてないほど厳しい」――山梨県の富士吉田市や西桂町などを中心とする郡内産地の織物企業・工場からそのような声が聞こえてくる。中でも落ち込みが大きいのは、産地の主力生産品である裏地とネクタイ地。この二つはビジネススタイルの変化に苦しめられ、新型コロナウイルス禍が追い打ちを掛けた。

 裏地はジャカード、ドビーともに盛り上がりを欠く。ジャカードはオーダーメード人気に支えられて比較的堅調な動きを続けていたが、勢いをなくした。ジャカードとドビーを合わせて十数台設置している織機のうち2台しか動いていない工場も見られ、多くの企業が「7月以降は相当苦しいと覚悟している」と話す。

 ネクタイ地も苦戦が目立つ。ネクタイ市場は通常3月に需要期を迎えるが、今年は新型コロナの影響で店頭が臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、ピークを迎えることなくクールビズ期間に入った。ネクタイ地は秋冬物の受注もほとんどない状態で、ある織物企業は「2020年は期待できない」とため息をつく。

 そのほか産地を代表する傘地や金襴(きんらん)なども状況は大きく変わらないようだ。富士山の登山道の閉鎖などで観光客が落ち込み、産地企業が生産する土産物(小物類など)の販売も見込めない。8月に予定していた米国での展示会も出展を中止した。

 かつてない状況にあって「このような時だからこそできることがある」と前向きな言葉も目立ち、全体の雰囲気は悪くない。新工場を稼働した織物会社は「積極的に仕事を取っていく」とした。