明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(74)

2020年07月17日(Fri曜日)

エステル製細幅織物に特化 太陽染工

荷物をつり下げる際に使用するスリングベルトなど、厚くて丈夫なポリエステル製細幅織物の染色というニッチな分野に特化することで、事業を安定させた工場がある。太陽染工(大阪市福島区)だ。

 1937年に創業し、細幅織物の染色を開始した。法人化するために終戦の翌年、46年に、取引先である商社とベルトメーカー、そして同社の3社が出資し大洋染色を設立する。51年には、広幅織物の染色も開始した。ところが業績が悪化、経営危機に陥る。現社長である飯田龍介氏(67)の父、嘉夫氏は同社の経理を務めていたが、当時の社長と意見が合わず退職していた。ところが、再建のために戻ってきてほしいと頼まれ、54年に復帰して社長に就任。同時に社名を現在の太陽染工に変更した。

 細幅織物と広幅織物の染色、そして樹脂加工で業容を拡大。83年、89年、94年の3回、大阪福島税務署から優良申告法人としての表敬を受けた。そんな好調期の終盤、92年に飯田氏が社長に就任する。しかし、日本全体で見るとその前年から、バブルが崩壊し始めていた。

 難しいかじ取りが続く中で飯田社長は、産業資材用基布や帆布などの広幅織物の染色からの撤退を決断する。細幅織物の染色は連続式設備で行っているので人手はそれほどかからない。しかし広幅織物は人手を要するバッチ式で、採算が悪かった。

 2015年に福島区の本社工場を閉鎖。大阪府摂津市に借りた工場に細幅織物の染色設備を移して16年に稼働させた。これにより、事業は安定する。

 同社が染める細幅(1~20㌢)織物は、厚くて丈夫な業務用で、しかもポリエステル製。ナイロン製を染める工場は複数あるが、高温でないと染まらないポリエステル製を手掛ける工場は珍しい。サーモゾールという方法で染めている。そのための機械が販売されていないため、同社専用に作らせた。競合する工場がないので、染料高騰時の加工料金への転嫁などもスムーズに進むという。

 同社が染めた細幅織物は現在、スリングベルトや高所作業員の落下防止用の安全帯、海上輸送の際に自動車を固定するベルトなどに使われている。スリングベルト用途については、ナイロン製からポリエステル製への移行で需要が拡大すると飯田社長は見る。高所作業時のフルハーネス型安全帯の使用が義務化されたことで、安全帯用途の需要も拡大を見込む。自動車の海上輸送時に使用するベルト用途の需要も、定期的に交換されるので安定して推移するとの見方だ。不安材料が目立つ繊維業界にあって、好材料に恵まれた数少ない工場の一つである。

(毎週金曜日に掲載)

社名:太陽染工株式会社

本社:大阪市福島区海老江8丁目

   9番14号 307号室

工場:摂津市鳥飼本町4丁目3番34号

代表者:飯田龍介

主要設備:サーモゾール染色機2セット(月産能力10万㍍)

摂津工場従業員:7人