産資・不織布通信(42)

2020年07月20日(Mon曜日)

フィルター会社が衣料や寝装に  ヤマシンフィルタ「ヤマシンナノフィルタ」

各種フィルターを製造・販売するヤマシンフィルタの創業は1956年。現在、主力の建設機械用油圧フィルターで世界トップシェアを誇る。フィルターのキーパーツと言える、ろ材から独自に開発しているのが大きな強みで、ナノファイバーを使った「ヤマシンナノフィルタ」の製品化にも成功した。

 同社の“ろ過”への挑戦は、前身である山信工業時代の清酒用ろ布(酒をこすための布)の製造に始まる。フィルターはもともと紙製だったが、80年代に「世界で初めてグラスファイバー製フィルターの開発に成功」する。そうした取り組みの中で生まれたのが、ヤマシンナノフィルタだ。

 複合紡糸法(海島型)やエレクトロスピニング法(ESD法)ではなく、独自の改良型メルトブロー法で生産する。ポリエステル系やポリプロピレンをはじめとする多様な熱可塑性樹脂原料が使用可能なほか、さまざまな形態(シート状やわた状など)に加工できる。生産性も高い。

 繊維径は200㌨㍍から数十㍃㍍の範囲でコントロールが可能。高い空隙率や超比表面積効果、遮熱性、遮音(吸音)効果、高捕集性、保温性、自己消化性(不燃性・難燃性)などの機能も持ち、フィルターに求められる「ろ過効率」「低圧力損失」「長寿命」を高いレベルで実現する。

 こうした特性を訴求すれば環境、エネルギー、健康・医療、社会インフラ、情報通信・エレクトロニクスなどの幅広い分野・用途で応用できると考えた同社。産業資材用途を中心にアプローチを仕掛けたが、「最初に手を挙げてくれたのがアパレル分野」で、大手紳士服量販の防寒衣料の中わたに採用された。

 中わたに使用した場合、薄くて高い保温性を発揮できるのが大きな特徴。第三者機関による評価では、大手SPAが展開するダウンジャケットと比べて、厚みを約70%抑えながら同等の保温性の付与が可能なことが確認された。調湿性や耐家庭洗濯性なども併せ持っている。動物愛護の観点からダウン代替の需要拡大に期待する。

 紳士服量販が19秋冬に続いて20秋冬物での展開を決定しているほか、20秋冬ではスポーツアパレルでの採用も決まった。衣料品に加え、寝装品の中わたにも用いられることになった。

(毎週月曜日に掲載)