秋利美記雄のインドシナ見聞録(76)/観光客が入国できるのはいつに……

2020年07月20日(Mon曜日) 午後1時24分

 日本でもマスコミの報道などで多少は知られるようになったようだが、厳しい隔離政策のおかげでベトナムは世界で他に例を見ない、死者ゼロでいち早く新型コロナウイルス禍から脱却した。

 4月以降、市中の感染は皆無。新規の感染者は海外からの入国者のみのため、海外からの入国者全員に2週間の隔離措置が引き続き適用されている。5月以降、ベトナム国内は日常生活を取り戻している。

 3週間以上にも及ぶ社会隔離政策はさすがに至るところに疲弊をもたらした。つぶれたビジネスも少なくない。だが、政府に文句を言う人はほとんど見当たらない。政府の強権を恐れているというよりは、大方の人々が政府のやり方を支持していたためだろう。

 製造業などの輸出や観光で経済が成り立っているため、海外との往来が不自由となれば自然と不都合が生じる。今は安全を確保しながら、海外との往来をいかに回復するかに焦点が絞られている。

 依然、海外からの入国は制限し、自国民の帰国だけに限っているが、韓国や日本などからの要請で、一部特例的に入国が認められるケースが出ている。

 日本からは5月と6月にそれぞれ一度ずつ入国が認められ、これにより日本からは約500人が入国できた。

 ただし、入国できたのは、大使館関係者や商工会加盟企業各社の駐在員らのみで、短期の出張者や観光客は渡航不可のまま。

 日本大使館からのベトナム政府への特別の渡航要請による臨時チャーター便ということで、渡航費用も破格の40万円以上だったという。これには、飛行機代の20万円と隔離費用14日間の20万円が含まれているとのことだが、これでは一般旅行客が渡航するのは難しい。

 第3回目の臨時便も8月下旬に予定されているらしいが、同様に主として駐在員向けで、これとて千人以上の希望者がいるため、全員を乗せることはできないと言われている。

 一方で、東京での新規感染者が再び爆発的な増加傾向となれば、ベトナム側は積極的には受け入れられない。仮にベトナムに入国できても、隔離措置は免れず、そうなると短期出張者や一般の観光客が入国できるようになるのは、ずっと先のことだろう。

 ベトナム在住者で日本に一時帰国された方々の中には私の友人も何人かいて、ベトナムに戻れず地団駄踏んでいるという。日本での新型コロナ感染が収まり、ベトナムとの行き来が普通にできるようになる日が一日も早く戻ってくることを願ってやまない。

あきとし・みきお 繊維製品輸入販売会社カラコロモ〈東京〉代表、ミラン・コンサルタント〈ホーチミン〉副会長