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2020夏季総合特集Ⅱ(2)/コロナショックに負けない/清潔・衛生市場が海外で拡大する

2020年07月21日(Tue曜日) 午後1時18分

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)によって、世界は“ニューノーマル(新常態)”への移行を余儀なくされた。その中で海外からも注目されているのが抗菌・抗ウイルス加工など日本の清潔・衛生加工。生活空間全体を清潔に保つことの重要性が高まる。

〈繊技協「SEKマーク」/マーク製品の海外販売を支援〉

 清潔衛生に焦点を当てた素材や加工の普及で重要なのが客観的で公平な試験方法と評価基準だろう。この点で大きな役割を果たすのが繊維評価技術協議会(繊技協)と同協議会が認証する「SEKマーク」。抗菌性、抗ウイルス性試験方法の国際標準化でも主導的な役割を果たしてきた。

 繊維への抗菌加工や抗ウイルス加工の開発で世界をリードしてきた日本の繊維企業だが、その強みは抗菌性や抗ウイルス性の試験方法が日本からの提案で国際標準規格(ISO)となっていることにある。繊技協はSEKマーク認証の試験方法・基準をベースにISO提案に取り組んできた。現在、抗菌性、抗かび性、消臭性、抗ウイルス性の各試験方法が日本からの提案によってISO化されている。

 これを受け、繊技協はSEKマーク製品の海外販売も解禁した。現在、中国、台湾、香港、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、トルコ、インド、韓国でSEKマークを商標登録しており、抗菌防臭、制菌(一般用途、特定用途)、光触媒抗菌、抗かび、抗ウイルス、防汚、消臭の各加工のSEKマーク製品の販売が可能となる。

 海外の繊維企業にも門戸を開放している。現在、台湾2社、韓国2社が繊技協に加盟し、海外でSEKマーク製品を販売する動きがある。認証のための指定検査機関もボーケン品質評価機構、カケンテストセンター、ニッセンケン品質評価センター、日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の上海試験センターを加えるなど海外に広がる。

 2018年から19年にはISO化された繊維製品の機能性試験をアジア・太平洋地域で普及させる「APECプロジェクト」にも取り組んだ。米国、インドネシア、台湾、中国の4カ国・地域でセミナーを開催するなど日本発の機能加工の国際的普及に取り組んでいる。

〈シキボウ/東南アジアで医療機器登録〉

 シキボウは抗菌・抗ウイルス加工「フルテクト」や制菌加工「ノモス」(海外商標「NMS」)など清潔衛生加工の海外販売拡大に取り組んでいる。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を契機に注目も急速に高まった。

 同社による衛生加工の海外提案は、2010年ごろにインドネシアでフルテクトマスクやNMSのウエアを現地卸に提案したことに始まる。だが当時、東南アジア地域では抗ウイルスや制菌といった概念自体が一般的ではなく、思うような成果は上がらなかった。

 ところが16年に別の現地卸にNMSを提案したところ、その機能にインドネシア保健省が注目する。これを契機にNMSのシーツや枕カバーを医療機器として登録することができ、メディカル用品としての販売が可能になった。現在、国立病院が随意契約で備品を購入するためのオンラインサイトへの登録も進む。

 こうした動きを受け、インドネシアのほかベトナムなど東南アジア各国で医療機器登録を進める。メディカル関連製品は各国とも厳密な規制があるため、医療機器登録など慎重な手続きを踏むことが海外販売のために不可欠だというのが同社の基本的な方針となる。

 そうした中、新型コロナを契機に状況も変わりつつある。ここにきて同社の衛生加工に対して海外からの引き合いが急増した。このため先行するNMSから提案を進め、さらにフルテクトの拡販につなげる戦略をとる。抗ウイルス加工といった概念への理解も高まっている。これを生かし、現地の流通や最終製品メーカーとの連携を進め、NMSやフルテクトの海外での普及に取り組む。

〈スタイレム/抗ウイルス加工を国内外へ〉

 世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受けて、「抗ウイルス、抗菌需要を取り込む」と意気込むのは国内服地販売最大手のスタイレム。トレンドを反映させてファッション性も付与した関連生地を国内外に売り込む。

 同社によると、抗ウイルスや制菌、抗菌、防汚といった清潔・衛生素材への引き合いは日に日に強まっている。これまでも服地にこれらの加工を施して打ち出すことはあったが、21春夏に向けて15品番を改めて開発した。

 まずは「素材メーカーや加工場が認証を取得しているもの」を優先的にラインアップ。東レの制菌加工編み地「マックスペック」、高耐久防汚加工編み地「テクノクリーン」、吸汗速乾編み地「フィールドセンサー」などを鹿の子、インレー、裏毛などで展開するほか、クラボウの抗ウイルス加工「クレンゼ」を施した綿2重ガーゼ、裏毛、スムース、天竺などを投入する。いずれも生地販売だけでなく縫製品での提供が可能だ。

 認証の取れていない加工についても順次試験を進め、量産体制を敷いていく。

 新規販路開拓にも抗ウイルス素材を活用する。ターゲットは医療や食品加工の現場だ。医療用ガウンやエプロン向けに訴求するのが、岐セン(岐阜県瑞穂市)のSEKマーク取得抗ウイルス加工「キアリーV」を施した生地。経糸にポリエステル紡績糸、緯糸に同長繊維を配した「元々は中東民族衣装向けの織物」に加工を施した。

 いずれの生地、縫製品もまずは国内向けから拡販に臨むが、新型コロナ禍で停滞の著しい海外市場向けにも商機はあるとみて、輸出商材としても拡大に期待する。