メーカー別 繊維ニュース

2020夏季総合特集Ⅱ(5)/コロナショックに負けない/事例研究/わが社の戦略

2020年07月21日(Tue曜日) 午後1時22分

〈新内外綿/肌触り抜群の綿マスク/英仏でもファンが増加〉

 マスクが日常の必需品となって以来、不織布マスクの着け心地への不満が聞かれるようになった。中には長時間の着用で肌荒れや乾燥の原因になったというケースもある。

 そうした中、新内外綿は、抗ウイルス機能付きのオーガニックコットン100%のマスクを販売する。5月にオンラインショップを開設し、機能や肌触りの良さから国内に限らず英国やフランスでもファンを増やしている。

 顔を覆う生地は3重の構造になっており、表裏は天竺編みで、その間に抗ウイルス機能を持つ織物を挟み込む。洗濯を繰り返しても機能は持続する。紡績から染色、編み立て、縫製まで国内で行う。

 糸には植物や果物由来の染め糸「ボタニカルダイ」を使う。生地は杢(もく)調の優しい色合い。サクラ、タチアオイ、ブルーベリーの3色でSS(3~5歳用)、S(子供用)、M、Lの4サイズで展開する。価格は1430円。

 今秋には新たに、保湿や消臭効果のある、魚の鱗(うろこ)由来の成分を練り込んだ機能レーヨン「フィラゲン」と「テンセル」リヨセル混のマスクを発売する予定。

〈蝶理/新プロジェクトを推進/繊維の総合力強化〉

 蝶理の繊維事業本部は17年ぶりの改編を行い、今期から従来の3本部制を1本部制とした。グローバルに川上から川下まで展開する繊維事業の総合力を結集する狙いで、1本部制による一体化運営で総合力をさらに高める。

 総合力強化の一環で、今期からさまざまなプロジェクトを推進している。それぞれの部署が扱う商材は非常に幅広いが、整理し直して繊維事業全体で共有し、スケールメリットも出しながら拡販する狙い。まずは「差別化糸」「環境」「縫製」「テキスタイル」「地政学」の切り口でスタートしたが、新型コロナウイルスによる新ニーズに対応する「マスク、不織布」「抗ウイルス、抗菌」「健康」などを加えた。

 新プロジェクトについて吉田裕志取締役上席執行役員繊維事業本部長は、「全体の市場環境は良くないが、一部では数倍に拡大している事業もある」と背景を説明。その需要拡大に総合力を結集して対応するため新プロジェクトを立ち上げた。

 マスク、不織布のプロジェクトはそれぞれの部署に入ってくる情報を集約して対応することで、既に不織布マスクの短期間での拡大につなげた。今後は織物を使った商品も含めて拡大していく考えで、医療用ガウンなどにも対応していく。

 さまざまな用途で要望が高まる「抗ウイルス」「抗菌」もプロジェクトとして対応する。各部署が扱う商材を整理・共有し、最適な商品を提案する。横串を入れて糸からテキスタイル、縫製品まで要望に応じた形態で販売できるようにもなる。

 「健康」を切り口のプロジェクトで、巣ごもり需要に対応する。例えばインナーやスポーツなどで展開する素材や副資材をアウターなどにも応用する。着やすさだけでなく、リラックス感や着用による効能などの切り口も含め提案を進める。

〈宇仁繊維/抗ウイルス加工拡販へ/環境配慮生地も充実〉

 宇仁繊維は21春夏向けで、抗ウイルス加工や抗菌加工、サステイナビリティー関連生地を打ち出す。

 抗ウイルス加工の中のイチ押しとして訴求するのが、高橋練染(京都市)の「デオファクター」。制菌効果も併せ持ち、抗ウイルス、制菌の両SEKマークも取得。生地に同加工の下げ札を付けられることも、類似加工と比べた訴求力という点で優位性になる。

 同社は社内で立ち上げる「5GOテックプロジェクト」の中でも、抗菌・防臭、防汚素材などを打ち出している。同プロジェクトは小松マテーレと取り組むもので、定番素材に機能性を付与して快適さをプラスしたシリーズ。価格訴求力と小口対応が特徴だ。

 宇仁麻美子専務によると抗ウイルス加工とともに、同プロジェクトへの注目も新型コロナウイルス禍で高まっているという。

 環境配慮商材も充実させる。蝶理の再生ポリエステル「エコブルー」使いやキュプラ繊維、トリアセテート、「テンセル」、播州織のジャカード、「高島ちぢみ」などを多彩に取りそろえて拡販を目指す。

〈ダイワボウレーヨン/“衛生”“サステ”に重点/ウィズ・コロナ時代の商品提案〉

 ダイワボウレーヨンは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって繊維へのニーズが根本的に変わると分析する。ウィズ・コロナ時代に対応するため、特に“衛生”と“サステイナビリティー”に焦点を当てた商品の提案に重点的に取り組む。

 新型コロナを契機に注目が急速に高まった抗ウイルス素材だが、同社もカルボキシル基練り込みレーヨンに抗ウイルス加工を施した消臭・抗菌・抗ウイルス機能レーヨン「パラモスプラス」の提案に力を入れる。原綿に抗ウイルス性を持たせることで糸・生地への後加工が不要になる。このため紡績用だけでなく不織布用でも引き合いが急速に強まった。

 サステイナビリティーへの要求も一段と高まった。このため海水中も含めた生分解性を持つレーヨンの特徴を一段と打ち出しながら、使用済み綿製品をレーヨンの原料として再利用する「リコビス」などの実用化と普及を目指す。

 新たな提案手法も模索する。今後、インターネト販売への対応やバーチャルリアリティ展示会の活用にも取り組む。