中国・深センの高級レディース/ネットシフトで製品買い増える/卸売企業は自社ブランド展開

2020年07月22日(Wed曜日) 午後1時13分

 深セン(広東省)の高級レディース各社が、新型コロナウイルス禍後の環境変化に対応し、さまざまな動きを見せている。実店舗型の高級ブランドは、ネットシフトの中で製品買いを拡大。卸売企業は、自社ブランド展開に力を入れる。(岩下祐一)

 深センは、高級レディースの産業が盛んだ。実店舗型ブランドからデザイナーブランド、ネット通販専業ブランド、製品の卸売企業、OEM/ODM企業までさまざまなプレーヤーが存在する。

 かつて大陸で手に入りにくかった欧州の情報や素材が集まる香港と隣接し、周辺には欧州の高級ブランドの縫製工場が多い。南油市場などの製品卸売市場が早くから発展してきたことが、高級レディース産業を成長させる要素になった。

 「歌力思(エラッセイ)」「影児(インアール)」「珂莱蒂爾(コラディアール)」「瑪絲菲爾(マスフェイアール)」など、深セン発祥の実店舗型の高級レディースにとって、OEM/ODM企業は重要なサプライヤーだ。「深センのブランドは、工場などからの製品買いに依存するところが多い」と日本の生地メーカー関係者は明かす。

 15日に深センで開かれた「中国ファッション・フォーラム」のパネルディスカッションで、深セン歌力思服飾の夏国新董事長は「新型コロナ禍は(実店舗型ブランドの)われわれに警鐘を鳴らした。実店舗にこだわってきたが、“直播(ライブコマース)”やショートムービーアプリ“抖音(ドウイン)”などのネット活用が欠かせなくなった」と話した。

 同社は2019年に5%だったネット通販の売り上げ比率を、今年は一気に30%に増やす計画を持つ。ネット通販向けの製品はQRが求められることから、「製品買いを増やしていく」(夏国棟・購買部総監)と言う。

 中国を代表するネット通販専業の高級レディース「小虫」も製品買いが中心だ。創業者の楊玲氏は、00年初めに深センの卸売市場で買い付けた製品のネット通販に乗り出し、05年に小虫を立ち上げた。その後、260万人(累計)のフォロワーを持つブランドに成長させた。

 ただ楊氏は、「いまだに製品買いが中心で本物のブランドと胸を張って言えない。これから本物を目指したい」と言う。ここ数年、トリアセテート繊維使いの生地の採用を始めるなど、素材へのこだわりを強めている。

 一方、これまで製品卸売市場に出店し、内陸部などの衣料品店に製品を販売してきた企業は、自社ブランド展開に力を入れている。

 聯合拡展設計〈深セン〉は、全国の実店舗型の高級衣料品店やネット通販サイトなど約200社に自社で企画・生産する製品を卸売りしてきたが、19年に自社ブランド「幾様」を立ち上げた。生地と縫製の品質を追求した本物志向の高級レディースで、20春夏ではトリアセテート繊維使いの製品を前面に打ち出した。

 深センと広州、上海の卸売市場に店舗を持ち、セレクトショップなどを対象に製品を卸売りする深セン市呉越服飾は、15年から自社ブランド「フレーム・ファン」を展開。高品質志向で、日本などの海外製生地の割合が8割を超える。