産資・不織布通信(43)

2020年07月27日(Mon曜日)

多彩な原料と加工に強み     

 三澤繊維(大阪府阪南市)は1924(大正13)年創業の名門紡績だが、近年は紡績だけでなく不織布事業でも存在感を高めてきた。純綿糸から混紡糸、合繊紡績糸まで幅広い糸を生産してきたノウハウは不織布事業でも生かされており、多彩な原料と加工技術に強みを持つ。

 元々はデニムやパンツ地などに使われる太番手糸の紡績を主力としてきた同社だが、2000年代に入って転機が訪れる。大手SPAなどが糸・生地の海外調達を急速に拡大したことで同社の糸販売も大きく減少した。「工場の稼働率も低下する中、何とかしたいとの思いで参入したのが不織布」と三澤猛史社長は振り返る。

 2002年に本格参入し、日本の不織布産業が拡大する流れにもうまく乗った。現在、不織布事業は同社の売上高の約20%を占めるまでに成長した。ニードルパンチ1系列で月産約20㌧の生産能力を持つ。車両シート部材、芯材、フィルター、メディカル、吸音材など多彩な用途の不織布を生産する。

 紡績として綿、合繊など多様な原料を扱っていたノウハウは不織布にも生かされている。ニードルパンチから樹脂スプレー、熱ロール加工、乾燥を一貫加工できる設備で多彩な加工に対応していることも同社の特徴。ニードルパンチは原着わたを使う不織布メーカーが多い中、同社は白わた使い専業。こうした特徴は業界でも評価を得ており、「新しく開発された特殊繊維の不織布化で合繊メーカーなどとの取り組みも増えている」と言う。

 一方、祖業である紡績事業も産業資材用途が大きなウエートを占めるようになった。現在、同社の生産する糸の約8割は資材向けとなっており、こちらも帆布、カンバス、紙補強材、ベルト芯材など用途は多彩。いずれも供給先の要望にスペックインした商材が多く、品質の安定性で評価を得ている。

 現在、新型コロナウイルスの影響で事業環境は厳しさを増した。三澤社長は「不織布、紡績ともに商品開発や新規用途開拓にこれまで以上に取り組まなければならない」と強調する。そうした中、このほど本社事務所棟を新築し、5月に移転を終えた。新事務所で心機一転し、新たな挑戦を模索している。

(毎週月曜日に掲載)