両角みのりのイタリアモードの今(27)

2020年07月30日(Thu曜日)

本質とシンプルさに戻る服 ミラノ・デジタル・ファッションウィーク21春夏

 新型コロナウイルス禍の影響を受け、デジタルによるファッション・ショーが7月14~17日、ミラノで初めて開催された。41ブランドがライブストリーミングで21春夏のショーを発表した。

 「ジョルジオ・アルマーニ」「フェンディ」は9月のショーを選び、最後まで未定だった「ヴェルサーチ」は、AJトレーシーを招いてブラック・ライブス・マター運動を提起した大胆なプレゼンテーションで話題をさらった。

 「ドルチェ&ガッバーナ」は国内から約200人の限定ゲストを招待し(マスク着用)ロックダウン(都市封鎖)後初のライブショーを行った。長年にわたり支援してきたウマニタス病院内のキャンパスを会場に、庭園に設置されたステージではイル・ボーロがナポリの歌を歌う中、ソレントにあるホテルの建築に触発された103のコレクションを発表。4色の青のグラデーションに彩られた三角形、楕円形、立方体他の反復が織りなすモザイクモチーフがポロシャツ、Tシャツの首や袖の端、またはズボンやバスローブに印刷され南イタリアのタイルや陶器を連想させた。

 「プラダ」は「決して起こらなかったショー」と題した5編のビデオを通してコレクションを発表した。

 「イレブンティ」は代表のマルコ・バルダッサーリ氏が各アイテムを説明する形式で発表。在宅時間が増えることを意識して、快適でカジュアルでありながらも上質の素材で作られた服で大人のスポーティーシックさを表現した。

 110周年を迎えた「エルメネジルド・ゼニア」はトリヴェロの本社でコレクションを発表。テーマは「ネイチャー・マン・マシーン」。織機の映像からスタートし自然あふれる庭園から本社へと続く道がキャットウオークとなり、本社屋上へと続く。最後はデザイナーのサルトリ氏がアイテム説明。素材の良さ、テーラリング技術の高さはもちろん、柔らかな色合いに少し余裕のあるシルエットで着心地の良い、今求められる服を踏まえたコレクションだった。

 フェアリーテール3部作の最終章となる今回の「グッチ」。ヒッピー風の服やレインボーカラーのスーツ、フリルのドレスなどジェンダーレスな76ルックを着るのはプロのモデルではなくデザイナーたち。独創的な服や小物を見事に着こなしていた。

 多くのブランドが試行錯誤して行った初めてのデジタルショーは、映像や音源に凝り過ぎた余り肝心のコンセプトや服が理解しづらいブランドも少なくなかった。実際のショーと同様の感動と購買意欲を感じさせられるかが問われたが、残念ながら特定のブランド以外はその効果が薄かったように思える。今後もデジタルでの開催に限定される状況にあるのなら、フィジカルとデジタルのハイブリッドにおけるシステムとコミュニケーション力が求められるだろう。

もろずみ・みのり 15年前にイタリアに渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。2016年からImago Mundi代表。