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クローズアップ/東レ 長繊維事業部長 赤江 宏一 氏/コロナ後見据え構改進める

2020年08月05日(Wed曜日) 午後1時17分

 単なる糸、わたの売りっ放しではなく、一つ前の工程に踏み込んで開発した商材で新規販路を掘り起こすという出口戦略を強化してきた東レのファイバー事業。4月1日付で短繊維事業部長から長繊維事業部長に転じた赤江氏に長繊維事業における近況、中期戦略を聞いた。

  ――市況は相変わらずさえないが。

 自粛当初は店が閉まって春夏物が全く売れず、21春夏向けの投入がほとんど発生しないのではと懸念する声が強かったんですが、自粛が解けて物が動き出すに伴い21春夏に向けて作り込んでいこうという機運が高まってきました。7~9期を底に市況は回復すると見ています。

  ――新型コロナウイルス禍で売れ筋が替わった。

 軽くてストレッチ性のあるアイテムや吸汗速乾性のあるニットなどが巣ごもり需要の高まりとともに売れています。逆に在宅勤務の浸透でカバン地なんかの動きが鈍化しました。

  ――4月から新しい中計に着手した。

 コロナ禍の収束後も戻ってこない需要をどう見るか。コロナ以前とのギャップを他の用途で代替できるのかできないのかを慎重に見極めないと、と思っています。アフターコロナをにらんだ構造改革を進めます。

  ――「&+(アンドプラス)」が動き出した。

 これまではとんがったお客さんが中心でしたが、今ではほとんどのお客さんが注目してくれています。特に、日本ほどコストコンシャスではない海外からの引き合いが強い。もっと使いたいが奇麗な色が出ないとか、マッチする素材がないといった課題をブレークスルーする商材として求められるケースが増えています。5月に専用のウェブサイトを立ち上げたところ、アクセス数が4千~5千に達しています。指名買いが出るくらい、もっと認知度を上げていきます。

  ――一つ先の工程を見た戦略を強化してきた。

 もっと高度化させようと考えています。高次加工にまで踏み込んだ開発、提案としっかり取り組み新しい領域を開拓したい。それと、数ある海外拠点において、日本で開発した商材をタイムラグなしですぐに量産できるような仕組みを構築し、ターゲットとするお客さんに相応しいエリアでソーシングできる体制を目指します。

  ――具体的には。

 既に巣ごもり需要向けのライトな複合糸によるストレッチ素材を日本や中国、韓国で生産し、それぞれのエリアに供給する体制を作りつつあります。これらで国内外のSPAの攻略に着手しました。