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展示会の“ニューノーマル”(1)/シキボウ/営業手法の革新にも

2020年08月24日(Mon曜日) 午後1時12分

 新型コロナウイルス禍によってソーシャルディスタンス(社会的距離)が求められる中、素材メーカーや商社の展示会が大きく変わろうとしている。ITを活用したオンライン展示会やバーチャルリアリティー(仮想現実)展示会が登場した。展示会の“ニューノーマル(新常態)”に向けた成果と課題を追う。

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 サイバー空間に展示会場を再現するバーチャルリアリティー(VR)展示会を開催し注目が高かったシキボウ。当初は6月25日から7月末までの予定だったが、好評なため会期を延長し、現在も継続している。VR展示会を通じて営業手法の革新にも取り組む。

 同社は年2回のペースで大阪市中央区の本社ビルで総合展示会を開いてきたが、今年の4月展は新型コロナ禍のため中止せざるを得なかった。こうした中、「何とか展示会場を“体験”できる方法を模索した結果、VR展示会を開催することにした」と尾﨑友寿執行役員繊維部門営業第二部長は話す。

 このため単純な画像・動画などの配信ではなく、サイバー空間に商品を展示した展示会場を再現し、インターネットを通じて会場巡回を体験できる仕組みを構築した。展示商品を説明する画像や動画のリンクも設置し、インタラクティブな展示会体験を実現している。

 7月末の段階で約1600人がログインするなど好評だが、「それ以上に営業スタイルの革新につながっている」と尾﨑執行役員は指摘する。現在、同社ではオンライン会議システムを使って取引先と商談を行うケースが増えている。その際に「事前に生地サンプルを取引先に送付し、いっしょにVR展示会を見ることで提案を進めている。このやり方で成約につながるケースも増えてきた」と話す。

 ITによって従来よりも詳細な提案ができるようになったことから、今後も営業ツールとしてVR展示会や、そこで使用した画像・映像の活用を加速させる。10月に予定している次回展示会もリアル展とVR展を併用するほか、画像・映像などデジタルデータのアップデートとアーカイブ化を進める。定期的に画像・動画配信することも検討している。

 この手法は海外での営業でも有効。現在、英語版の画像・映像作成を進めており、海外法人・駐在員事務所で現地の言語に重訳することでベトナムやインドネシアなど東南アジア、さらには中東地域での営業にも活用する構想が進む。

 ITを活用することで物理的制約を超えた提案が可能になった。同時に「最終的な成約は、やはり顔と顔を突き合わせて話すことでまとまる」とも指摘する。リアルとバーチャルをいかに有機的に融合させるのか。成果と課題が明確になった。