変わるワークウエアの開発思想(8)

2020年08月25日(Tue曜日)

消臭がキーワードに  インナー

 約10年前に藤和(広島県福山市)がコンプレッションを打ち出し、ワークウエアの着こなしを上下セットからコンプレッションにカーゴパンツというスタイルに変えた。他社もコンプレッションを投入し、しばらく接触冷感・発熱といった機能性の追求やデザイン性の向上が続いたが、5年ほど前から“進化”という面だけを見れば、停滞感があった。

 しかし、電動ファン(EF)付きウエアの登場で、コンプレッションの開発の流れが変わる。19春夏から消臭をキーワードにした新商品が相次いで登場。EFウエアの着用が広がる一方で、汗の臭いが気になるとの声が多く聞かれていたことから各社で商品開発が活発になった。

 コーコス信岡(福山市)は、糸段階で消臭加工した「ニオイクリアEX」を使ったコンプレッションなどを開発。汗臭だけでなく加齢臭にも対応し、臭いに影響する成分を吸着分解する。

 同社が強いのはウエアだけでなく靴下やバラクラバ(目出し帽)、ポロシャツなどトータル的に展開している点。「効果を実感してもらいリピーターが増えている」ことから今年の販売量は昨年に比べ3倍以上と急増している。20秋冬ではジュニア・女性向けの靴下なども商品化し、幅広いニーズを取り込む。

 強力消臭のインナーとしてはジーベック(福山市)やビッグボーン商事(同)、桑和(岡山県倉敷市)、旭蝶繊維(広島県府中市)なども打ち出している。ビッグボーン商事では売れ筋になりつつある「アーリバードアルノ」ブランドの関連商品として消臭コンプレッションを投入。「社員が実験で1週間洗濯せずに着用しても臭いが全くしなかった」というほどの機能性が評価され、引き合いが増えているという。

 EFウエアの浸透によってコンプレッションだけでなくアイスベストの需要も拡大。保冷材で急所を冷やすシンプルな機能や手軽さに加え、気温が35℃以上になるとEFウエア着用の効果が薄れるといわれる中、保冷剤がウエア内の温度を下げ快適性を保てることから一気に広がった。ただ、商品的には単純な構造のため、どう差別化していくかがこれからの課題だ。

 アイトス(大阪市中央区)のアイスベストは、効果的に体表近くの太い静脈がある場所をアイスパックで冷やすことができ、空調設備が使えない現場作業での熱中症対策に有効的。屋外で作業するワーカーだけでなくスポーツをする一般ユーザーへ幅広く提案できる。

 フルハーネス型安全帯に対応したものなど、用途に応じたアイスベストの開発も増えつつある。

 インナーは価格競争に陥りがちでデザインで勝負する傾向が強かったが、20秋冬では再び機能性で差別化していこうとする動きもある。藤和は春夏向けで好評のポリプロピレン使いの「TSドライ」を秋冬向けでも商品化。肌が当たる面に凹凸感を出し、汗でべとつかず、保温性とドライ感を両立させた。

 シンメン(府中市)は「ホールガーメント」横編み機によるストレスフリーシャツ・タイツを開発。フリーサイズのみだが、高い伸縮性からさまざまな体形の人が着用でき、店舗にとっても商品を置きやすい。こういったショップ視点の開発も今後はもっと増えてくるに違いない。