明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(79)

2020年08月28日(Fri曜日)

絶え間ない挑戦で技術向上

森保染色(愛知県一宮市)は70年以上の歴史を誇る糸染めメーカーだ。チーズ染めを主力とするが綛(かせ)染めや原料染め、製品染めのほか、特殊染めも可能。さらに抗菌などの機能加工やメッキなどを施す糸加工の技術も保有する。早川典雄社長(54)は「難しいことにチャレンジしないと技術力は上がらない」と述べ、あくなき探求心とともに今後も挑戦を続ける。

 1946年、家庭染料を販売する会社として創業。4年後に原料染めや糸染めに転業し、地場産業であるウールへの染色加工も手掛けるようになった。65年からインテリアや手芸、輸出糸向けの染色を始め、その後自動車内装向けの染色を行うようになった。

 今では天然繊維から合繊、織り糸からニット糸までを手掛けており、糸に関するワンストップ機能を持つようになった。その強みを生かしファッション衣料から産業資材向けの染色加工を引き受ける。衣料向けに限ると、顧客は尾州だけでなく全国の産地へ拡大。繁閑差は徐々になくなっており年間稼働率の向上にもつながっている。

 ただ、今年は新型コロナウイルスの感染拡大により受注、生産面はともに右肩下がりの状態だ。前期(2020年2月期)は新型コロナ禍の影響はほとんどなかったため増収を果たせたが今期は先が見通せない。同社の特徴である「染色について何でもできるのをアピールする」(早川社長)ことで、あらゆる需要やニーズに対応する。

 新型コロナ禍でヘルスケアへの需要が高まっていることに着目し、銀のナノ粒子やグレープフルーツの成分を生かした抗菌加工の提案を加速している。特殊染めでは草木染めやむら染め、中白染め、玉虫染めといった多彩な見た目を表現できる加工をそろえる。

 染色だけでなく豊富な糸加工も訴求。糸に銅やニッケルなどの金属をメッキし、導電性や電磁波遮蔽(しゃへい)性を付与する加工はスマートテキスタイル向けなどに提案する。さらに、銅イオンを天然繊維の糸に結合させる技術もあり、メディカル向けを中心に提案を強化。メッキよりもコストがかからずさまざまな用途に活用できるのが特徴だ。

 最近では機械式にタイダイができる製法も考案した。タイダイは手で縛って染めるのが一般的でコストや労力がかかる。その点、同社の製法はチーズ染色機を活用して染める。それによって品質の安定性を図り量産にも対応する。現在、特許を申請中。

 さまざまな染色や糸加工を手掛けるのは受注拡大や用途開拓だけが目的ではない。「困難なことに挑戦することで会社全体の技術が上がり、それが普段の仕事にも生きてくる」と強調し、絶え間ない挑戦と変革を続けていく。

(毎週金曜日に掲載)

社名:森保染色株式会社

本社:愛知県一宮市三条下り戸32

代表者:早川典雄

主要設備:染色機59台、受水タンク1棟、ろ過処理設備2基、冷却水回収タンク4基、ワインダー3千錘など

月産能力:120㌧

従業員数:48人