変わるワークウエアの開発思想(11)

2020年08月31日(Mon曜日)

目立つロゴはブランド力に比例する

 ワークウエア業界のこの10年の変化を見ると、電動ファン(EF)付きウエアを筆頭に、これまで業界になかったものがいろいろと定着してきた。同時にブランドに対する意識も大きく変わった。10年前の商品と今の商品を見比べた際、ブランドロゴが目立つようになってきた点が、意識の変化を感じ取る上で一番分かりやすい。

 バートル(広島県府中市)は20春夏からミルスペックロゴを採用し始めた。ミルスペックとは米国における軍用品の調達規格の総称で、それを模したミリタリー調のロゴとなるが、ジャケットの後ろ身頃の裾やカーゴパンツのポケットなどに付けられ、店頭で見れば同社の製品が一目で分かる。

 アイズフロンティア(岡山県倉敷市)は、20秋冬向けデニム調ニットのウエアでジェネレーションZ(1990年代後半から2010年の間に生まれた)世代を刺激するポップな要素を盛り込んだウエアを投入。高密度フェイクダウン防寒ウエアでは前身頃に大きくブランドロゴを入れた。

 ブランドロゴを目立たせるということは、ある意味、“ブランド力がある”ということの証しと言っても過言ではない。ロゴの配置については各社とも相当緻密な配慮をしており、リピーターを作っていく上でも重要な役割を果たす。

 ここ数年、ビッグボーン商事(広島県福山市)のスウェーデンの「ブラックラダー」、旭蝶繊維(府中市)のベルギー「マスコット」といった海外ブランドも少しずつ市場に浸透してきた。海外ブランドについてはやはり日本市場にない欧州テイストが魅力。日本メーカーと比べ機能性やデザイン性が飛び抜けて高いわけではないが、明らかに違うのは、ブランドの持つ世界観をしっかり構築している点かもしれない。

 売れている商品があるからといって、同じ物を取りあえず商品化したとしても、それだけではブランドは育たない。例えば防寒ジャケットとハーフパンツといったシーズンが異なるアイテムでも同じテイスト、雰囲気を持ったモノ作りができているかどうかにある。

 中塚被服(福山市)は「ディモ」ブランドでマウンテンパーカやエンジニアコート、フェイクダウンベストといった他社にはあまりないアイテムを毎シーズン投入している。それでも統一感があるのは、一貫したベースとなる生地の使用といった工夫がある。20秋冬からは東レと共同開発した生地「プライムストレッチ」をベースに商品開発を進める。

 藤和(同)は昨年から小松マテーレの生地を採用し「ソリッド」シリーズを立ち上げた。その生地をベースにテーラードジャケットタイプの「ステルスジャケット」やツナギ服など新たな領域にも果敢に踏み込む。

 20秋冬ではまだサンプル段階だが、海外の著名ブランドから高い技術力で定評のある美希刺繍工芸(同)が加工したウエアも多数披露した。他社がやっていないことに目を向ける。そのこともブランドを形作る上でこれからはますます重要になってくる。(おわり)