明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(80)

2020年09月04日(Fri曜日)

色合わせ技術が資材に ◇ 小池染色

 シルクやキュプラ繊維の綛(かせ)染め糸を和装業界に供給している小池染色(群馬県桐生市)。和装は市場の縮小が目立ち、楽観できる状況にないが、蓄積された技術とノウハウが同社を新たな世界に導いた。小池均代表取締役(56)は「色合わせが丁寧で、資材分野でも認められるようになっている」と話す。

 大正時代の終わりに小池代表取締役の祖父・与吉氏がシルクの先染め工場として立ち上げた。現在はシルクと他の繊維(キュプラやレーヨン、綿、ポリエステルなど)が半々で、多くを和装用途が占めている。桐生産地ではほとんど見ない、グラフト重合設備も設置している。

 小池代表取締役は電気系の大学を卒業後、照明器具の会社に勤めていた。大手電機メーカーの子会社で「何をやるにも親会社から頭を押さえつけられた。今の会社にいては駄目だと思っていた。もともと家業を継ぐつもりでいたので、小池染色に入社」した。1990年だった。

 知識はなく、一から勉強して危険物取扱責任者やボイラー技士1級の資格を取った。本を読んで染色の理屈を学び、実務は父や従業員から教わった。「シルクの生産が減少し、染料の種類も減った。3原色の組み合わせで色を出すことが多く、コンピューターカラーマッチングでもうまくいかない。先染めの色合わせは本当に難しい」と語る。

 経験の積み重ねと勉強の継続で技術を習得していく。いつしか「小池染色の強みは丁寧な色合わせ」と胸を張って言えるようになっていた。そのほか1色2・5㌔からという小ロット対応、短納期も大きな特徴だ。グラフト重合も受注が入り、バブル経済崩壊後も仕事は安定していた。

 転換点はリーマン・ショック。同社だけでなく、桐生産地の染色会社・工場全体が大きな打撃を受けた。リーマン・ショック以上に厳しいとしているのが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行。和装業界のビジネスモデルの一つである催事販売ができず、受注減に直結した。

 今後も和装分野が主力であることに変わりはないが、資材分野などに活路を見出す。塊になってきたのが、ドラッグストアの店頭などで並ぶヘアカラーやブリーチの見本の染色。色の再現性などが必要不可欠な分野であり、和装分野で培った色合わせの技術が生きている。

 シルクを使った自社製品の開発・販売にも乗り出しており、カーテンや生地などに取り付ける装飾品のタッセル、店頭ディスプレーやインテリアで使える“シルク玉”を商品化した。自社の電子商取引(EC)サイト、桐生織物記念館などで販売している。

(毎週金曜日に掲載)

小池染色

社名:小池染色有限会社

本社:群馬県桐生市錦町

2―6―19

代表者:小池 均

主要設備:綛染め機8台、グラフト重合設備1台など。

月産能力:シルクの染色で

4千㌔

従業員:5人