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ダイワボウレーヨン/SDGsへの取り組み

2020年09月04日(Fri曜日) 午後1時28分

 植物由来の木材パルプから生産される再生セルロース繊維“レーヨン”。生分解性により、自然に返る環境にも優しい繊維だ。ダイワボウレーヨンは、レーヨンの研究開発を通じ、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に取り組む。

〈自然へ返る/環境に優しいレーヨン〉

 植物由来で生分解性に優れたレーヨンはサステイナブル素材であり、SDGsに欠かせない繊維である。木材パルプを原料とし、土中でもバクテリアの作用により簡単に分解する。自然から生まれ、廃棄後は自然に返る地球環境に優しい素材だ。

 近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題への関心が高まり、海洋生分解性にも注目が集まっている。レーヨンは土中と同じく、海洋での生分解性も確認されている。ダイワボウレーヨンのレーヨン短繊維「e:CORONA(エコロナ)」は優れた海洋生分解性を持つ。ポリ乳酸(PLA)繊維やコットンよりも早く海中で生分解するという実験結果も出ている。

 同社では海洋プラスチック問題の解決を目指す企業団体「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」にも加入している。8月には海水中で生分解性を認証する「OK・バイオディグレイタブル・マリーン」も取得した。

 衣料用途でエコロナを採用した商品企画が進むほか、不織布用途でもエコロナへ原料を切り替える動きが出てきている。将来的には、販売するレーヨンを全てエコロナに転換することも視野に入れる。

 世界的にサステイナビリティーへの要求が強まる中、生分解性だけでなく、リサイクルやアップサイクルへも関心が高まっている。同社では廃棄される綿布・製品を原料として再利用して生産したレーヨン短繊維「Recovis(リコビス)」を開発し、国内外から注目を集めている。スウェーデンのベンチャー企業と連携し、使用済みの綿製衣料や裁断くずなど廃棄綿布・綿製品を原料に再利用して生産することに成功した。綿の新たなリサイクルシステムとしてレーヨンの活用への期待が高まる。

 OK・バイオディグレイタブル・マリーン以外にも第三者認証を積極的に取得している。原料面では「森林認証(FSC)」を取得。FSCは違法伐採や古代森林の伐採ではなく、適正に管理された森林の木材を原料とした製品の適切な加工・流通過程を証明するもの。

 そのほか、染色加工などの安全性に関する国際規格「エコテックス規格100」、米国の農務省が再生可能資源から作られた製品を認証する「バイオベース製品認証」、食品接触の安全性認証「ISEGA」なども取得している。

〈機能性レーヨンでも貢献/ニーズに応え開発進める〉

 ダイワボウレーヨンではレーヨンの環境へ優しさに磨きをかけるだけでなく、さまざまな機能性レーヨンを開発し、市場のニーズに応えている。レーヨンは、機能付与を原料段階で実現できる点で耐久性などメリットも多い。健康もSDGsのターゲットの一つだが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を契機に繊維分野でも衛生機能素材への要望が高まっている。

 同社ではカルボキシル基練り込みによるpHコントロール機能レーヨン「PARAMOS(パラモス)」に抗ウイルス加工を施した「PARAMOS PLUS(パラモスプラス)」を新たに開発した。

 パラモスプラスは高い抗ウイルス機能に加え、抗菌防臭機能を持つ。試験では繊維上のウイルスが2時間後に99%以上減少した。抗菌性試験では黄色ブドウ球菌や肺炎桿菌、大腸菌などで効果が確認されている。さらに保湿性に優れ、乾燥しやすい季節でもしっとりとした質感で、ソフトでしなやかな風合いを持つ。

 市場のニーズに応え、抗菌や抗ウイルスといった衛生機能を持つレーヨンの商品ラインアップを再整備し、改めて打ちだしている。そのほかにもさまざまなニーズに応える機能性レーヨンをラインアップしている(別表)。

 日本の同業他社がレーヨンわた・糸生産からの撤退を発表したことで、今後、日本のレーヨンメーカーは実質ダイワボウレーヨン1社となる見込み。そこで、ユーザーのBCP(事業継続計画)に向けた信頼感を高めるため、ドイツの特殊ビスコースレーヨンメーカーのケルハイムファイバーズと原綿の相互供給など協力体制を構築した。

 これにより両社のどちらかの生産に不測の事態が生じても原綿の安定供給を維持することができ、販売先のBCPに向けた信頼感を高めることができる。

 さらに、環境負荷低減に向けた商品開発や製造プロセス革新に関する技術交流。世界的な化学物質・環境規制などに関する情報交換・発信にも取り組む。日欧のレーヨンメーカーが協力することで要求が高まる環境配慮に向けた取り組みも加速させる方針だ。