メーカー別 繊維ニュース

特集 アパレルパーツ(3)/多種多様なアパレルパーツ/独自性の発揮が鍵

2020年08月27日(Thu曜日) 午後4時9分

〈島田商事/環境配慮商品を充実〉

 島田商事(大阪市中央区)は2018年から、服飾副資材で環境配慮商品の開発、販売に力を入れている。手始めにリサイクル、生分解、バイオマス(植物由来)、可燃――という4種の商品をカテゴリー分けし、集約した資料を作成した。

 同社が特に推奨するのが可燃のテーマ。15年のパリ協定で日本は二酸化炭素を26%削減する目標に賛同、その取り組みが不可欠になった。この流れに呼応して開発したのが可燃時の二酸化炭素排出量がポリエチレン製に比べて45%削減できる炭酸カルシウムを用いた包装資材。シャツの梱包材などを同製品に置き換えることで環境保護に資するもので、展示会などで顧客に披露したところ反響を呼んだ。

 今年7月から施行されたレジ袋有料化に伴ってバイオマス原料への注目が高まっていることを受け、同社もバイオマス系の服飾副資材開発を強化する方針を打ち出す。ポリエステルとの複合を軸に、麻や綿を多用するほか、再生ポリエステルでは100%使いも用意し、レギュラー品と遜色のない物性をアピールする。

 この他にもさまざまな環境配慮商材を既に数多く開発しており、今後は繊維関係だけでなく異業種への販促も強める方針。

〈グンゼ/同一品種同一品質を追求〉

 グンゼ繊維資材事業部の主力商品はミシン糸と各種ゴム資材。新型コロナウイルス禍ではマスクひもとして「ウーリースピン」が爆発的に売れた。奥行きのある備蓄機能が奏功した格好だ。今後は「同一品種同一品質」を標ぼうしてアジア各国生産で品質向上に努める。

 ミシン糸の生産は現在、基幹工場である津山グンゼ(岡山県津山市)のほか、7~8割を中国、ベトナム、インドネシア、バングラデシュで行う。新型コロナ禍で日本人技術者の派遣が困難になっていることの対策としても、日本から各国工場をリモート管理するシステムを構築した。

 津山グンゼに「カラーセンター」を設置。色出しの不具合などが発生した際に各国のスタッフに即座に指示が出せるシステムで、色出し、色合わせ時のロスを大幅に削減できる。「一回で色が合う」ことを目指して管理を徹底し、現地スタッフの技術向上につなげる考えだ。

 新型コロナ禍のマスク需要では多品種・小ロットの備蓄機能が生きた。ただ、「持ちすぎの傾向がある」(岡修也執行役員繊維資材事業部長)として今後は効率的な備蓄体制への移行を検討するほか、ネット通販拡大にも本腰を入れる。

〈清原/多様な在庫・調達力が強み〉

 清原は、レディースで培った対応力・機動力を強みとし、膨大な数の品ぞろえから、顧客の要望に沿った商品を提供するノウハウを独自に築いた。

 2月に、東京では6年ぶりとなる「清原アパレル資材展示会―2020―」を開催した。国内アパレルにもサステイナビリティーの潮流が押し寄せている状況に合わせ、エコ素材を活用した副資材を豊富にそろえた。

 ボタンは、貝など自然素材を使った商品に加え、バイオマスやリサイクルペットボトル由来もアピール。薄手で機能性を備えた生地への取り付けに適した、極小サイズのボタンも出品して品ぞろえをアピールした。

 新しい打ち出しとして、リサイクルポリエステルを100%使用したオリジナルの杉綾テープ「YAB100」シリーズを紹介した。留め具となるテープエンドパーツとの組み合わせなどを提案した。

 展示会では、国内外で築いた多様な在庫・調達力とサプライチェーン機能についても説明した。同社は近年、ベトナム事業の強化を進めており、ホーチミンとハノイの2拠点体制で新規の需要開拓に取り組む。現地ではシャツ向け、パンツ向けに加え、ユニフォーム向けでも得意先を獲得。

 原料の調達についても、ほぼベトナム国内で賄う。

〈吉岡/アパレルサポート機能を拡充〉

 アパレルの副資材から服飾品までをトータルで扱う吉岡(岐阜市)の創業は1929年。アパレル縫製のサポーターとも言える関連会社「吉岡紡織」が母体となっている。現在では当初の繊維副資材の2次加工品の製造だけでなくCAD/CAMシステムも導入しサンプル品、多品種・小ロット商品を手掛け、裁断から縫製までの製造機能を併せ持っていることが特徴だ。

 さらに同社グループ内に多様な副資材を適時・適所に国内外へ届けるために93年に物流の拠点として「フジクレイン物流」(岐阜市)を設立。海外生産(中国)が主力となる中、いち早く必要な副資材を全てパックにした「パック納品システム」を実現し、生産から物流まで一貫して担える強みを持つ。

 営業拠点は国内6事業所、海外も中国、ASEAN諸国を合わせて6拠点を設け、地域に密着したフォロー体制を敷く。特に海外との取り組みは40年以上前から展開し、20数カ国との取引実績を持つ。その実績から単に資材デリバリーだけでなく情報の提供までを含めた貿易機能でアパレルメーカーの海外生産をサポートする。

〈YKK「メタルックスタフ」/かばん用途から衣料に拡大〉

 YKKは2017年から、金属ファスナーのような独特の質感と、樹脂の軽さ・耐腐食性を併せ持つ「メタルックスタフ」の止製品・チェーン製品を販売してきた。かばんなどが主用途だったが、衣料向けに開製品も販売している。

 同社は09年から金属ファスナーの外観と樹脂の軽さを備えた「メタルックス」を販売。かばん用途は、ビスロンファスナータイプではエレメント(務歯)破損リスクがあった。このため、「ビスロン」高強度タイプとして開発されたのがメタルックスタフである。

 樹脂製でありながら、外観を金属調のエレメントにすることで、紳士のビジネスバッグにも使える雰囲気にした。樹脂にガラス繊維を入れて強度も向上させた。「金属ファスナーと同等の強度を持ち、軽さの面では金属ファスナーの約半分の重量になった」と言う。

 スポーツウエアやユニフォームの顧客の要望を受け、開製品も開発した。強化樹脂により金属ファスナー(5RG)と同等の横引強度があり、高級感・重厚感も備える。重さも金属ファスナー比5割強軽い。

 ウールやダウン製品に使用しても、金属ファスナーに比べ腐食しにくい点も特徴である。

〈フクイ/RFIDタグの性能を可視化〉

 フクイ(東京都台東区)は、RFID(無線通信による商品の個別管理システム)タグの性能改善や性能レベルを可視化するため、電波暗箱(シールドボックス)を使った検査を自社で実施している。RFIDタグは電波のやり取りによって情報を送受信するため、何らかの不具合が出た場合、問題を特定するのが難しかった。

 同社の土屋哲朗社長は「(木材やスチール製など)什器(じゅうき)やタグの加工方法によって受信感度と通信距離が変わる。読み取りにくい原因をスピーディーに特定し、性能改善につなげている」と話す。自社で検査を行うメリットについては「よりベストな仕様を設定し、周辺環境を想定したシミュレーションも行うことができる」とする。

 さらに電子商取引(EC)や消費者に直販するダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C)の広がりを受け、アパレル製品に付ける下げ札や織りネームで自社提案力を高める。保存価値のある服飾副資材を開発し、D2Cブランドの「アイコンになるようなものを打ち出したい」と話す。

〈朝日ファスナー/独創的なデザインが特徴〉

 ファスナー製造の朝日ファスナー(三重県名張市)は独創的なデザインのファスナーを少量・多品種・短納期で供給する。

 朝日ファスナーは1953年大阪府にて創業。現在地に工場を移転して65年の歴史を持つ。1980年代から海外生産にも着手し、国内外拠点の強みを生かした生産体制で顧客の需要に応え続ける。

 基幹ブランドは主に3種類。看板ブランド「ウォルディス(WALDES)」はかつて米国で実在したブランドを復刻したもの。当時の製法と規格を忠実に再現しながら重厚なデザインを踏襲。主にメンズのビンテージやミリタリー調ファッションのアパレルや雑貨に使用例が多い。

 「ラコニー(LACONY)」はエレメントやスライダーに圧倒的な光沢を持つ女性向けで艶やかさは群を抜く。ハイファッションブランドで採用例が多くワンピースやスカート向けに適した細めのタイプが人気を博す。

 さらに量産型で多用途向けのコイルファスナー「アサヒ(Asahi)」やスポーツ・ユニフォーム向けの止水ファスナーも手掛ける。

〈オークラ商事/注文サイトの利用が急増〉

 副資材専門商社のオークラ商事は、法人向けの副資材注文サイト「アパレルX」を運営している。2018年2月の開設以来、着実に登録数を伸ばしてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、アクセス・問い合わせが急増した。20年7月に入る頃には、累計注文件数が1万を突破した。ファクスに頼っていた副資材の受発注に、いち早くインターネットを取り入れた成果が表れ始めている。

 アパレルXは同社が開発した。ネット上で副資材の単価、納期、色、サイズなどを検索して即時に在庫確認できるように設計してあり、SKU(最小管理単位)管理にも対応する。

 これまで、普及活動に懸命に取り組んできた。19年は、東京都ミシン商工業協同組合主催の「東京ファッション産業機器展―FISMA TOKYO」にも出展。ブログやホームページを開設できる機能をアピールした。

 新型コロナ禍でテレワークが広がり、注文に関わる作業がウェブ上で完結する利便性に注目が集まった。マスク用資材の特集ページを設けるなど、対応力も発揮し、利用者の増加につなげた。

〈旭化成「ベンベルグ」裏地/中国テーラー・EC向けを伸ばす〉

 「ベンベルグ」裏地を展開する旭化成によると、2019年度は天候不順やアパレル側の生産調整などの影響で同社も苦戦を強いられたという。

 中国に展開する合弁企業・寧波宜陽賓覇紡織品は工場移転が当初計画よりも長引いたことに加えて、年明けの新型コロナウイルス禍に伴うロックダウン(都市封鎖)で国内以上に苦戦したという。

 一方、欧州では、この間、ベンベルグの特性である“サステイナビリティー”を強力に訴求してきた同社の取り組みが浸透。アパレルの上質化の流れも重なり、「販売量を大きく伸ばせた」としている。

 20年度については、国内、欧州、北米で苦戦が続くと予想。中国市場はいち早く回復基調に転じたと見ており、ユニフォーム、オーダー、婦人の3分野を強化し前年並みの販売量確保を目指す。特に、テーラー分野向けの差別化品や婦人EC向けの販売量を「今後も伸ばせる」との意欲を示している。

 新型コロナ禍の影響で展示会への出展や顧客訪問が難しい状況を踏まえ、ネットでの発信といったこれまでとは異なる販促に力を入れる。

 家庭での水洗濯に対応する新商品の開発を急いでおり、21春夏から販売を開始。洗濯に伴う防シワ効果を大きく改善したという。

〈清水惣/芯地ラインアップ強化〉

 清水惣(大阪市中央区)は芯地のラインアップ強化と衛生、防災商材の販売に力を入れる。

 同社は滋賀県栗東市の自社工場で芯地を生産している。主力の織物接着芯地では33デシテックスから167デシテックスまでの耐水性商品ラインアップを完成させているほか、333デシテックス、667デシテックスなど他社にはない極細糸使いなどを豊富に用意。短繊維芯地使いでは「業界一のラインアップをそろえている」ことを強みにさらなる拡販を狙う。

 インサイドベルト芯では6種のストレッチインサイドベルトを含む24種のインサイドベルトを展開し、一巻きからの小口需要にも対応する。

 不織布芯地ではサーマルボンド、ケミカルボンド、スパンボンド、ドミット、中わたなどを幅広く取りそろえる。

 新型コロナウイルス禍や防災意識の高まりを背景に需要が増えている衛生、防災商材は以前から販売する不織布資材を応用したもの。多様な商材を開発し、従来の問屋や商社向けだけでなく、近年構築するネット通販などを活用してB2Cの拡大も図る。

 新型コロナ禍で商流が変化する中、自社物流機能のさらなる安定化やサステイナビリティー商材の充実にも注力する。

〈カジテック/独自商材で拡販狙う〉

 プラスチックボタンを主力とするカジテック(大阪市中央区)は、独自開発したホックやボタンの拡販に力を入れている。

 同社の主力商品であるプラスチックホックを衣料品などに取り付けるハンドプレス機「チェリーレーベルミニハンドプレス」が今年4月、日本ホビー協会の「ホビー産業大賞」を受賞した。プラスチックホックが簡単にしっかりとズレなく取り付けられる点が受賞の理由という。

 糸留めボタンのように見えるホック「サンボタンスナップ」も開発した。子供服や被介護者ウエアでの採用を狙う。ボタンよりも着脱が容易なホックだが、被介護者には「健常者に見られたい」という思いがある。見た目をボタンのようにすることでこの思いに応えた。採用増を狙ってカラーバリエーションを増やしていく。

 ジーンズ用のプラスチックボタン「サン・プラスチック・ジーンズボタン」は裏面だけを金属製にした独自商品。オール金属製と比べて重量が4分の1と軽い。豊富なカラー展開でカラーパンツやカジュアルユニフォームなどへの採用増を狙う。表部分にはレーザーを使ってロゴを刻印することもできる。

〈三景/サステ対応を重点施策に〉

 三景は、サステイナビリティーへの対応を重点施策として打ち出す。エコ商材の取り扱いを強化しながら、持続可能な供給体制の確立を図る。メーカーとしての機能を最大限に発揮し、提案の幅を広げていく。

 エコ商材については、ケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」の活用に力を注ぐ。裏地やゴムへの用途提案を進めている。

 主力であるキュプラ繊維「ベンベルグ」の裏地の発信も強化している。今年2月には、常設展示場(東京都港区)で旭化成と合同で、ベンベルグに特化した展示会を開催した。生産工程から機能性までをパネルなどで説明したほか、土中で生分解することを実証したシャツも出品して、ベンベルグの魅力を伝えた。

 独自のリサイクル事業にも取り組む。廃棄された衣料を粉砕し、古紙と混ぜ合わせて再生紙の製品を作るサービス「クローゼア」を、アパレルに向けて提案している。再生紙はラベルなどの副資材だけでなく、包装品にも活用する。多様な用途提案で、「衣料から紙へ」というリサイクルの普及を目指す。クローゼアで製作した名刺を使用し、社内でもサステイナビリティーの意識付けを促進している。