明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(82)

2020年09月18日(Fri曜日)

モンゴルからも受託

1941年創業の藤井若宮整絨(大阪府泉大津市)はかつて、豪州産の最高級羊毛を落札し続けたことなどで知られた旧藤井毛織グループの生地・毛布染色工場だった。現在は独立し、高級生地の染色加工技術を生かして、衣料用の織物や丸編み地、そして織毛布の染色整理を受託している。服地については、国外にも受託先がある。

 モンゴルのカシミヤ製品製造大手のゴビ社が、自社で作った先染めコート地の整理を7、8年前から同社に委ねている。中国の工場へ乗り換えようとした時期もあったが、品質・納期管理面で満足できず、同社へ戻ってきた。現在は、毎年20万㍍ほどの注文がある。整理してもらった生地をゴビ社が、モンゴルの自社工場でコートに仕立て、同国を訪れる観光客などに販売してきた。日本でも、羽田空港第2ターミナルで、10万円前後で販売している。

 2019年12月期の同社の売上高は、3億5千万円。50%が衣料用織物、30%が同丸編み地、20%が織り毛布の染色加工によるものだ。主力の衣料用織物の売上高の半分ほどはゴビ社からの受注によるもの。これは安定しているが、国内からの受注が減少傾向にある。織り毛布についても、多重ガーゼ品は安定しているが、それ以外が減少傾向だ。

 この状況の中で5年前に、綿製やウール製の丸編み地の染色加工に乗り出した。綿製丸編み地の染色加工を行う工場は他にもあるが、同社は毛織物の染色加工工程でそれを行う。すると、これまでにない風合いに仕上がる。特に起毛の多様性が人気だ。同社には、敬意をこめて「起毛士」と呼ぶ起毛職人が5人いる。うち2人は「この道50余年」という超ベテランだ。彼らの技のおかげで、綿製丸編み地への起毛依頼が徐々に増えていると柴原正志社長は言う。同社が起毛した生地の半分ほどは、高級トレーナー素材などとして輸出されている。

 今後も、輸出に注力する企業からの受注増に期待する。「大量に作ることではなく、付加価値の高いモノ作りに力を入れたい」と柴原社長は語る。

(毎週金曜日に掲載)

藤井若宮整絨

社名:藤井若宮整絨株式会社

本社:大阪府泉大津市若宮町

   8番2号

代表者:柴原正志

主要設備:液流染色機10台、ウインス10台、起毛機10台

従業員:30人