両角みのりのイタリアモードの今(28)

2020年09月24日(Thu曜日)

9月8、9の両日、「ミラノ・ウニカ(MU)」がミラノ市内のローフィエラ会場で開催された。207社(国内171社、海外36社)が出展。来場企業は2400社で、うち外資系企業の参加が約400社だった。

 先の見えない不安の中で過ごした(繊維製品の輸出は1月から5月の間に34・4%減少し、工業用織物の生産は6月に入っても回復していなかった)潮流を変える強いシグナルが示された。

 MUでユーロジャージー社は「バック トゥ アイコニックス」という21秋冬プレタコレクションを発表した。1989年に特許を所得した「センシティブファブリック」の起源を再発見することを目的としている。千鳥格子のプリントからツイード、タータン、ヘリンボーンといった古典的アイコンを使用することにより、時代を超越した伝統と価値観を卓越した技術で生まれ変わらせた。

 中でも注目されたのが、着用者の幸福感に訴えかける機能に着目した新商品だ。バイオセラミックを使用した印刷では、セラミックナノ粒子を混ぜることにより、遠赤外線が体の皮下層に透過し微小循環を刺激して代謝を強化することができる。センシティブファブリックを使用することにより、軽さだけでなく、発汗後の快適さも提供する。

 研究開発部門責任者マッテオ・アリアウディ氏によると、スポーツ選手はもとより、ノバラの病院医師の協力によりリハビリが必要な高齢者にモニター試験を行ったところ、一日約8時間の着用で一定の効果が報告されたという。

 印刷の密度を患部に集中させることで針治療や温熱治療のような効果も得られるという。特に高齢者層に好評で、サンプルを返却せずそのまま着用を続けたいとの要望も多かったそうだ。

 新しい撥水(はっすい)加工技術では、強い耐久性と同時に非常に激しい運動下でも通気性や動きやすさを損なうことがなく、撥水(はっすい)処理にありがちなゴワツキ感をほとんど感じることがない柔らかさを実現した。

 サステイナビリティーを念頭に新機能開発と研究を日々重ねている同社の方向性は、11万8千人の雇用と80億¥文字(G0-ACAC)の年間売上高を生み出し、製品のクオリティーとサービスで世界をリードしてきたイタリアテキスタイル産業の今後と重なる。MU新会長が語ったように、創造性、革新性、持続可能性、デジタルに焦点を当て、長期的な視点で将来のシナリオと潜在的な経済・商業的発展を見据えて展示会ビジネスに投資を続けることが重要なのだろう。

【もろずみ・みのり】15年前にイタリアに渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。2016年からImago Mundi代表。