産資・不織布 通信 (48)

2020年09月28日(Mon曜日)

水害復旧に活躍の排水ホース    芦森工業

 昨年10月の台風19号は甲信地方などに記録的な大雨をもたらした。千曲川の決壊、新幹線車両基地の浸水など衝撃的な映像がテレビから流れた。今年7月の熊本県・球磨川水害も記憶に新しい。深刻な表情で現地報道するテレビレポーターの背後で写真のようなホースが映り込んでいる。このホースで高いシェアを持つのが芦森工業。織物から自社生産する。

 商品名は「パルジェット」。緊急排水ポンプ車専用ホースとして軽量・コンパクト化を優先して開発した。

 水害時の災害現場に出動した際に迅速に使用できるよう軽量化してある。ポンプの各口径に合わせてホース径と使用圧力に合わせた物を用意する。

 「パルジェットⅢ」はポリエステル繊維を筒状に製織した「ジャケット(円筒織物)」の両面に熱可塑性樹脂を被覆して作る。この円筒織物は大阪の本社工場で、自社で作成した円筒織機で織布する。円筒織機は一見、丸編み機械のようにも見えるが、ニットではなく筒上の織物を作る、円筒形のシャトル織機。糸を蓄えたシャトルが円筒の中を動く姿は圧巻だ。

 同社は自動車安全部品と機能製品の2事業部門からなる。機能製品事業部門には管路更生工法「パルテム」、防災(消防ホースなど)、産業資材(合繊ロープ、帆布など)の3部門がある。

 消防ホース製造に長い歴史があり、排水用ホースはそのイノベーションから生まれた。繊維と樹脂に関わるコア技術を生かした技術開発が同社の得意技。ジャケット製織からプラスチックのライニング、検査まで一貫した品質管理体制を生かす。

 トンネル用、船舶用、遠距離大量送水用など用途に適したホースは、歴史ある同社ならではのモノ作りから生み出される。高圧噴霧消火装置や高吸水性ポリマー止水袋など、多様な災害に対応できる防災関連資材も作る。

 勢力を強めた台風が衰えないまま日本に接近、上陸する例が目立つ。今後も大きな台風が襲来する可能性もある。頻発する水害からの復旧に同社製品が欠かせない。

(毎週月曜日に掲載)