メーカー別 繊維ニュース

不織布新書20秋(4)

2020年09月29日(Tue曜日) 午後4時27分

〈ダイワボウレーヨン/抗ウイルスなどで企画提案〉

 ダイワボウレーヨンは、不織布用原綿としても抗ウイルス機能レーヨンなど清潔・衛生に焦点を当てた機能レーヨンを重点提案し、ウイズコロナ時代の新たな需要の掘り起こしに取り組む。

 同社の2020年度上半期(4~9月)のレーヨン短繊維販売は新型コロナウイルス禍の影響で紡績用途の落ち込みが大きく苦戦した。ただ、不織布用途は除菌シート向けが好調となるなど新型コロナ禍による新たな需要も生まれている。

 このため今後は抗ウイルス機能レーヨン「パラモスプラス」などを重点提案する。単純な原料提案ではなく用途開拓まで含めた企画提案型の営業活動に取り組み、不織布用途でも衛生機能レーヨンの需要創出に取り組む。

 一方、サステイナビリティーへの要求も引き続き強まっていることから、撥水(はっすい)機能レーヨン「エコリペラス」や海水中での生分解性も確認したレーヨン「エコロナ」などを積極的に提案する。

 エコリペラスの撥水機能を生かして衛生材料のトップシート用途などに提案を進めている。エコロナは海水中での生分解性を認証する国際認証「OK・バイオディグレイタブル・マリーン」も取得した。今後、不織布分野でも生分解性原料への需要が高まる可能性がある。こうした需要への準備をいち早く整える。

 新型コロナ禍の影響で紡績用途は需要回復に時間がかかる公算が高い。このため、機能レーヨンを中心に不織布用途での拡販を進め、紡績用途の落ち込みを補うことを目指す。

〈宇部エクシモ/研究所基点に開発加速〉

 宇部エクシモは、不織布用原綿の販売方針として、産業資材分野に引き続き注力している。中でも液体フィルターとエアフィルター向けに重点を置き、ポリオレフィンコンジュゲートわたをはじめとする高付加価値品や高機能品を提案するほか、新製品開発についても継続強化を図る。

 同社の不織布用原綿は、衛生材料と産業資材の両用途に使われている。春先にマスク用途で特需があったものの、新型コロナウイルス禍によって衛生材料、産業資材向けともに厳しい状況が続いている。それでも2021年3月期は増販を目指したいと前向きな姿勢を見せている。

 衛生材料は原綿販売の基盤と捉え、伸び代はフィルター中心の産業資材用途に求める。液体フィルターではポリオレフィンコンジュゲートわた「エアリモ」の訴求を強める。鞘部に低融点樹脂、芯部に高融点樹脂を用いた芯鞘複合繊維でありながら、繊度0・2デシテックスを実現した製品だ。

 エアフィルターでは、芯部にポリプロピレンを、鞘部にポリエチレンを配した熱融着複合繊維「UCファイバー」を主力とする。

 機能付与による差別化にも取り組んでいる。福島県郡山市の先端繊維研究所を基点に開発を加速し、製品化を終えた抗菌に加え、消臭機能の打ち出しも図る。顧客の要望に応じた製品の開発も行う。

〈髙木化学研究所/機能付与と用途開発注力〉

 髙木化学研究所(愛知県岡崎市)は金属加工・樹脂加工に加え再生ポリエステル短繊維を製造販売する。自動車内装材や吸音材・断熱材といった非衣料分野の供給比率が高まる中、新たな機能性付与と用途開発に引き続き注力する。

 主にペットボトルやフィルムくずが原料の再生ポリエステル短繊維生産は事業化して48年を数える。月産500トンの能力を持つ片寄工場(同)で生産を賄う。大半が不織布向けで原料調達から販売まで国内で独自のルートを敷き多様化するニーズに小ロットから応える。

 同社の再生短繊維・わたはカラー別生産や機能性付与といった付加価値の高さが特徴。カラーの要望は白や黒以外も原着技術でさまざまな色に着色を行う。用途により難燃性や軽量化といった機能性付与も高次元で実現可能。中空タイプも中空率を自在に可変することができる。

 高木紀彰上席顧問工場長は「原油価格が低水準な中で課題は輸入わたとの明確な差別化を実現すること」と話す。今後も数々の研究開発事例を生かした技術をベースに新用途の創造と提案を加速化する。

 新型コロナの影響で4月から6月までは一部生産調整で対応したが軽自動車向けや多目的車両(SUV)向けは好調。8月以降は供給も総じて復調傾向にあると言う。

〈旭化成/第4の柱構築に全力〉

 旭化成はキュプラ長繊維100%の不織布「ベンリーゼ」を2017年に増設し、生産規模を年産5500トン体制に引き上げている。19年度は主力のフェースマスク向けが中国勢との競合激化に伴い苦戦に転じたため、ベンリーゼトータルの販売も伸び悩んだ。

 しかし、20年度を迎え状況は一変。新型コロナウイルス禍に伴いマスク向けライナー材の販売が急拡大したほか、ロックダウン(都市封鎖)で中国からのガーゼの輸入が滞ったため、ガーゼ「ハイゼ」への引き合いも増えたと言う。

 さらに、白十字が展開する消毒用のアルコールタオル「ショードックスーパー」でも新型コロナ禍に伴う特需が発生。販売量は好転し、上期業績は「予算も前年実績も上回った」。

 同社は増設した新設備を早期にフル稼働させるため、主力のフェースマスクでは中国以外の市場開拓を改めて強化するとともにフェースマスク、工業用ワイパー、医療用ガーゼに続く第4の柱用途の掘り起こしを急ぐ。

 フェースマスクではこの間、中国・上海や米国、ロシアなどで開かれたコスメティック関連の展示会でPRしてきたが、20年度は新型コロナ禍で展示会が相次いで中止・延期となったため、ウェブ展の開催を検討している。

 ベンリーゼのサステイナブルな持ち味、生分解する物性を強力に訴求し、ディスポーザブルを中心とする生活雑貨用途を掘り起こす。