メーカー別 繊維ニュース

不織布新書20秋(6)

2020年09月29日(Tue曜日) 午後4時29分

〈帝人フロンティア/水処理用などが堅調〉

 帝人フロンティアの機能資材本部は、独自性のある素材を活用した不織布で用途開拓を加速する。とくにナノファイバー「ナノフロント」、縦型不織布「V―LAP」、高吸水・高吸湿繊維「ベルオアシス」などに力を入れる。

 今上期(4~9月)は新型コロナウイルス禍の影響でバグフィルターや自動車などの用途が低調な一方、水処理関連の湿式不織布などが堅調に推移する。

 RO膜の基材に使われる湿式不織布は今下期、供給体制を整えながらシェア拡大を狙う。今上期は新型コロナ禍で2~3月に動きが鈍ったが、早期に回復。衛生面で水への関心が高まったため、足元は堅調に伸びており、今後はさらなる拡大を狙う。

 バグフィルターは新型コロナウイルス禍の影響を受けているが、ナノフロントを中心に拡大を図る。主力のセメント産業向けに加え、鉄鋼などの分野に広げる取り組みを進めており、採用件数は拡大傾向にある。耐熱性が求められる分野も狙い、PPSなどのナノフロントも開発していく。

 新しい用途の拡大にも取り組む。下期以降の拡大を見込む分野のヘルスケア関連では「ナノフロント」を使ったマスクやガウンなどに注力する。また、V―LAPでは「在宅」をキーワードの1つにして拡大を図る。寝具だけでなく、吸音材などを含めて用途開拓を進める。

 ベルオアシスは優れた吸水性を生かして防災関連を狙うほか、マスクなどにも展開していく。

 同社の不織布事業は湿式不織布が主力だが、今後はナノ不織布とメルトブローやスパンボンドとの組み合わせなど複合による新しい不織布の開発にも注力する。

〈旭化成アドバンス/マスク向けのセット販売が好調〉

 旭化成アドバンスはマスク向けに不織布(メルトブロー、スパンボンド)、耳ひも、ノーズワイヤーのセット販売に乗り出すなど新型コロナウイルス感染症に関連する繊維資材の販売を強化している。

 2020年度上半期は生活資材、産業資材向けの販売が伸び悩んだものの、新型コロナ禍の影響でマスクやサージカルガウン向けの不織布「タイベック」による防護服の販売が好調に推移したと言う。

 7月からはマスク向けのセット販売を立ち上げており、「この取り組みが絶好調で推移している」。同社は巣ごもり需要を開拓するため、日用雑貨品を中心とする2次製品のネット通販サイト「住ごもり(すごもり)生活」を楽天に開設しており、「ベンベルグ」で開発中の布マスクをラインアップし本格販売している。

 医療機関向けでは、レーヨン・ポリエステルの不織布で商品化した除菌シート「ソフライト」の販売が好調で、業務用途以外の販路の掘り起こしにも乗り出した。

 東京五輪・パラリンピックに向けた旺盛な建築需要を背景に19年度、スパッタシート向けの耐炎繊維「ラスタン」の販売量は過去最高水準に。20年度は新型コロナ禍で前年ほどの勢いは見られないものの現在、開発を進めるラスタンによる不織布の販売を下半期中に立ち上げ、スパッタシートの分をカバーする。

〈ヤギ/ナノファイバーを軌道に〉

 ヤギは近年、産資・不織布事業の拡大に力を入れている。その一つが、今年から販売を開始したナノファイバーによるメンブレン(薄膜)「ナノクセラ」。展示会での提案も好評で、その後の商談も順調に進展、拡販に手応えを得ている。

 同社は前中計で「新領域への挑戦」を、現中計で「次世代事業の創出」を掲げるなど衣料品を軸とする既存事業から資材分野の深耕などを推進する。その一環として昨年、韓国のライム(旧ファインテックス)と、ヤギの出資を含む業務提携を結び、ナノクセラをグローバルに展開する取り組みを始めた。(韓国を除く)

 4月には「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、ナノクセラによる産業用フィルター、マスク、アパレル製品などを訴求。多くの来場者と接点が持てた上、優れた技術・研究成果を選出する「新規ピックアップ賞」も受賞するなど拡販への弾みを付けた。

 高い通気性を持ちながらも防水機能を持ち、薄くて軽い点がナノクセラの特徴。この特徴が生かせる分野として、フィルター、衣料品、衛生材料、美容の四つをターゲットに顧客と商談を進める中で、それぞれスペックインへの手応えを得ている。

 近く、ライムが属するトップテックグループが製造元になったナノクセラの高機能マスク「エアークイーン」の日本販売もスタートした。

〈ダイニック/需要拡大用途を取り込む〉

 ダイニックは、自動車内装材とカーペット・インテリア、一般不織布を中心に事業を展開している。新型コロナウイルス禍の影響は小さくないが、家電フィルターなど、市場が伸長している用途の需要を積極的に取り込んでいく。今後、ニーズが拡大する可能性がある領域にも目を向ける。

 2020年度上半期(4~9月)の同社不織布販売は、ニードルパンチカーペットが大きな打撃を受けた。新型コロナの感染拡大でイベントや展示会の中止が相次いだことが響いた。自動車内装材も5、6月は厳しい状況。両分野ともに需要は戻りつつあるものの、本格回復には時間がかかるとみる。

 一方で家電フィルター関係は順調な動きを維持する。「5月ぐらいに加湿器や空気清浄機が店頭からなくなり、メーカーが量産に入った。その恩恵が受けられた」としている。家電フィルター関係は、年内は勢いが持続すると予想する。

 下半期以降は新型コロナで需要が拡大した抗菌・防カビの提案を強化。同社の技術は家電用フィルターで積極展開するほか、ニードルパンチカーペットなど、公共の場で使われる製品でニーズ獲得を狙う。滋賀工場(滋賀県多賀町)にある評価試験ルームを活用する。

 同社は抗菌製品技術協議会(SIAA)の会員であり、顧客の要望があればSIAAマークの対応も検討する。

〈金井重要工業/電子機器狙いの取り組み加速〉

 金井重要工業は昨年6月に東京ビッグサイトで開かれた「JPCAshow2019(電子機器トータルソリューション展)」に初めて出展して以降、プリント基板向けの研磨材で加工品の販売に参入するための川下戦略に力を入れてきた。

 「トラベロン・ヴォルケーノ」「トラベルミスト」「トラベルストーン」といったホイール状の加工品をラインアップ。顧客のニーズにきめ細かく対応しながら、繊維設計からホイール設計までを一貫生産できる強みを打ち出してきた。

 顧客はアジア圏に進出した日系ユーザーが多く、サンプルを評価されたり、サンプルを突き返されたりといった「一進一退の攻防を続けてきた」と言う。

 同社は2020年度で中期3カ年計画の最終年度を迎えている。新型コロナウイルス感染拡大の影響でその後の商談に取り組めない状況を強いられているものの、プリント基板向け研磨材のスペックインを最大の課題に位置付けており、残る半年で追い込みをかけ、本格販売にこぎ着けたい考えだ。

 20年度は環境に配慮したエコ素材を新たにラインアップ。バイオマス原料50%・通常の合繊原料50%で商品化したケミカルボンドがあるメーカーに採用され近々、家庭用のタワシとして店頭にお目見えする。炭素繊維不織布による断熱材、精密研磨パッド両用途での原反拡販にも意欲を示している。

〈アンビック/「ヒメロン」で世界戦略〉

 ニッケグループのフェルト・不織布製造販売会社であるアンビック(兵庫県姫路市)は、主力の不織布「ヒメロン」の自動車用途での販売に向けた世界戦略に取り組む。

 新型コロナウイルス禍で世界的に自動車の生産台数が減少したことで、同社も今上半期(2019年12月~20年5月)は防振・防音材など自動車向けを中心に売上高が10~15%減少した。ピアノのハンマーフェルトなど楽器向けも需要が減退し、フィルター向けは需要こそあるものの新型コロナ対策の行動制限や出入国規制で据え付け・交換の工事が延期されるなど影響が出ている。

 ただ、7月以降は徐々に経済活動も再開されたことで自動車、楽器、フィルターいずれの用途も荷動きが回復傾向となった。このため下半期は、需要回復の取り込みに全力を挙げる。

 その上でヒメロンは自動車用途での拡販のための世界戦略を推進する。ニッケグループの産業資材商社、エミー(大阪市中央区)と連携し、欧州の自動車メーカーや北米と中国の日系自動車メーカーへの提案を強化する。

 フィルターは中国のごみ焼却場向けにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使った高機能フィルターバグ「アドミレックス」の販売に力を入れる。今年いっぱいは日本で生産する商品を持ち込んでのプレマーケティングを実施。中国子会社で新工場建設を進めており、年内に着工し、21年末の生産開始を目指す。

〈倉敷繊維加工/フィルターに機能性を付与〉

 クラボウグループの不織布・製品製造販売会社である倉敷繊維加工(大阪市中央区)は、力を入れるフィルター用途で低圧損・高捕集効率を追求する。同時に、新型コロナウイルス禍でニーズが高まる抗ウイルスなど機能性を付与した商品提案に取り組む。

 新型コロナ禍で同社も業績に少なからず影響を受けた。特に自動車の天井材やエアバッグ包材用途は自動車生産台数の減少を受けて販売量が減少。衣料用芯地も市況悪化から大幅な受注減少となった。ただ、力を入れている自動車のキャビンフィルターはアフターマーケット向けが主力のため影響は比較的軽微だった。

 一方、新型コロナによる新たな需要も生まれている。キャビンフィルターや空調機用フィルターはともに抗ウイルス加工や抗菌加工を施した高性能タイプの販売が拡大した。マスク向け不織布原反や防護ガウン用生地の受注も獲得している。

 青山髙明社長は「引き続きフィルターは低圧損・高捕集効率を追求し、そこにさまざまな機能性を付与することで高付加価値化を進めていく」と話す。マスク向けにクラボウの抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」を活用した不織布原反の提案を進める。このほど自社工場にマスク加工機も導入した。取引先の衛生製品企業とマスク製品の共同開発などに活用する。

〈タピルス/タイ工場の設備を増強〉

 メルトブロー不織布(MB)を製造・販売するタピルス(東京都港区)は、新型コロナウイルス禍でも販売を伸ばしている。フィルター向けやリチウム1次電池用セパレーター向けが順調であるほか、巣ごもり需要でコーヒーのフィルターやワイパー用途も伸長。2020年12月は前期を上回る業績で着地できそうだ。

 新型コロナ禍によるマスク需要の拡大を契機に世界的にMBの需給が逼迫(ひっぱく)した。そのためマスク以外の分野でも引き合いが強まり、幅広い分野に積極展開している同社に追い風となり販売量が増えた。ただマスク需要を目当てに中国メーカーなどが設備増強を実施しており、先行きに懸念を示す。

 同社は価格ではなく、高い品質や機能面で勝負する方針で、0・3マイクロメートルという極細のポリプロピレン(PP)を使った製品、反対に40マイクロメートルの極太繊維径の製品、耐熱性や耐薬品性に優れるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を使ったMBなどの展開を強めている。

 地産地消を強力に進めるタイの生産拠点では、19年の後半に生産能力の増強を実施した。タイ工場ではフィルター向けを中心に生産している。これまでタイ国内向けにはマスク用MBは扱ってこなかったが、タイ国への貢献として、現地のマスク製造会社にMBを供給している。

〈日本フイルコン/整流フィルターで新製品〉

 製紙用抄紙網(製紙用ワイヤー)で国内トップシェア(約6割)を誇る日本フイルコンは、不織布製造用整流フィルターを積極展開する。冷却風を整えて溶融紡糸時の糸切れを抑える装置で、不織布の品質向上につながる。整流効果を高めた製品も開発しており、品質を追求する日本企業を中心に提案を進める。

 繊維関連では不織布製造設備に用いるベルトを販売し、国内では7、8割のシェアを持つ。不織布分野は注力領域の一つと位置付け、ベルトのほか、スパンボンド不織布(SB)製造設備用整流ハニカムフィルター「フウジン」の展開強化を図ってきた。新製品の「フウジン エボリューション」も開発した。

 フウジン エボリューションはハニカムの大きさが従来品の半分。通常、ハニカムのサイズが小さいほど整流効果が高まるが、製造の難易度は上がる。「ハニカムを小さくするのは比較的容易だが、SB設備に合う大きいサイズのフィルター(ハニカムシート)を作るのは高い技術がいる」と言う。

 フウジンはSBを製造する大手企業での採用が着実に進み、製造工程で整流の需要がある産業からの問い合わせも入る。フウジン エボリューションの本格展開はこれからとなるが、紙おむつや衛生材料向けなど、品質の高さが求められるSBを生産している企業に訴求する。

〈フタムラ化学/世界初環境配慮の新製法量産へ〉

 化学メーカーのフタムラ化学(名古屋市中村区)は、環境負荷を大幅に軽減したセルロース不織布「ネイチャーレース」の量産試験設備を2021年に稼働させ、22年には本格生産に踏み切る。世界初の環境配慮の新製法として既に国際特許も取得。初年度年間生産能力1500㌧を予定する。

 新製法はイオン液体を溶媒として用いたセルロース100%不織布。従来のビスコース技法と違いバルプからセルロース繊維までの工程数を削減。使用薬品の回収問題やそのコスト高の課題も解消。さらに同溶媒はリサイクルもすることで排ガスや排水負荷を大幅に少なくした環境配慮型のプロセスを実現した。熔解から紡糸、不織布化までを同社大垣工場敷地内の新工場で一貫生産する。ウェブの形成は特殊水流交絡法(通称スパンレース)を用いることで均整度、風合い、強力に加えて、吸水速度、保液量、透明性の特徴も持たせた。今後、フェースマスクを主用途にグローバルな販売を目指す。

 同社不織布はこれまでビスコースレーヨンスパンボンド「太閤TCF」を製造し、今上半期も除菌用ペーパー、メディカル用ガーゼが好調に推移。主力事業では2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)といったフィルム事業やセルロース事業、活性炭事業を展開。OPP、CPPは業界最大手。活性炭もフィルターや環境関連装置向けに強みを持つ。

〈髙安/輸送機械向けNP堅調〉

 ニードルパンチ(NP)やステッチボンド(SB)、再生ポリエステル短繊維製造の髙安(岐阜県各務原市)は2020年9月期で前年並みの売上高を確保する見込み。自動車を主体とする輸送機械向けNP供給が堅調で売上構成比率が高まる。

 新型コロナウイルス感染拡大は稼働面に影響を及ぼしたが中国関連会社の髙安工業〈江陰〉は6月に回復。主力の再生ポリエステル短繊維製造も前年並みに復調した。国内も7月から復調の兆しを見せ、国内や欧州の輸送機械向けNPの供給が進み8月以降はフル稼働が続く。SBも2系列の設備(アラクネ)で稼働を継続する。

 髙安は用途別のニーズを主にNP製造で実現し適時適量の供給も両立できることが強みだ。吸音や遮音、防熱や撥水(はっすい)といった機能付与を実現し適切な部位に向けて製造と供給が可能。確かな技術と対応力で顧客の期待に応える。

 今後は「機能や特性を複合した提案を強化し、より高次元のニーズに対応する」(野田博之常務)。直近では軽量化や抗菌加工の要望が多い。電気自動車バッテリー向けの蓄熱対応も開発を進める。海外からの開発案件や問い合わせも増加しているという。

 21年には関事業所(同関市)敷地に新工場の設立を予定する。4月からの稼働を目指す。

〈伊藤忠システック/マスク用デモ機を設置〉

 伊藤忠システックは、スパンボンドやメルトブロー、スパンレース、ニードルパンチなど不織布用の機械を幅広く扱っている。不織布製造だけでなく、前工程から後加工、最終製品の自動包装まで一貫でそろえる。

 近年は欧州製だけでなく台湾製や中国製などを含めて取り扱いメーカーを増やしている。機械や不織布に詳しい技術者を抱え、日本のこだわったモノ作りを実現する独自仕様機の提案もできる形にしている。

 足元で注目が高いマスク用は、開繊から不織布製造設備、マスク加工、自動包装機などまで機械をそろえ、一貫の自動化ラインの提案も可能。単に機械を紹介するのではなく、ユーザーの声を反映させた提案を進めており、例えばマスク加工機では、技術力の高い中国メーカーと組んでミミ加工部分をサーボモータ化するなど日本企業のニーズに合わせた独自仕様の機械を展開している。この機械は大阪府東大阪市の協力先内にデモ機を設置しており、実際の稼働を見ることができる。同じ場所に耳ひも製造の試験機なども置いている。

 今後は防護服関連の機械にも力を入れる考えで、自動ミシンなどの品そろえを拡充していく計画。サステイナビリティーへの注目が高まっていることから、反毛機などリサイクル関連の機械提案にも力を入れていく。

〈ツジトミ/新商品立ち上げに期待〉

 不織布製造のツジトミ(滋賀県東近江市)はスポーツ資材や土木資材、中国子会社の嘉興華麗非織布制品(浙江省平湖市)で、5月から生産を開始したメルトブロー不織布(MB)など新商品に期待する。

 2021年8月期は「新型コロナウイルス禍の影響を受け、自動車資材やインテリア資材はじめ既存商品は10%近く落ち込む」(辻高幸社長)ものの、2~3年開発に取り組んできたこれらの新商品がけん引。単体売上高で前期比5~6%増を見込む。

 同社は国内でニードルパンチ不織布(NP)、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布を生産するほか、さまざまな2次加工品も手掛ける。中国とベトナム子会社も擁し、需要家の要望に応じたさまざまな不織布を国内外生産で供給できるのが強み。これが評価され、新規開発案件が持ち込まれるケースは多い。

 新商品のスポーツ資材向け不織布は中国子会社で生産する。既に供給を始めており、順次、品番を拡大する計画で、専用設備の増設も検討する。土木資材は防草シート向けなどで10月末には生産を始める。MBも既に国内販売を始めた。

 積極的に生産体制の整備も進める。国内では新工場を建設中で、年内にNP新設備を立ち上げる。3年後にも異なる仕様のNP新設備の導入を予定する。

〈岐阜化繊工業/積層でアップサイクル叶える〉

 ニードルパンチ(NP)不織布製造の岐阜化繊工業(岐阜県各務原市)は積層不織布の拡販を進める。不織布同士や異素材を一体化する独自技術(特許出願中)を生かしアップサイクルをかなえる。

 特に訴求を強める積層不織布は2種類。「クリサンセマム」と「エフ・バイ・エフ」だ。クリサンセマムは表面にレースや和紙といった異素材を積層した素材で表面にデザイン性が加わる。レディースアパレルや服飾雑貨を扱う企業との取り組みも進む。残反の再活用方法としてのエシカル(倫理的)な側面も付帯し訴求力が高まる。

 エフ・バイ・エフは不織布同士を一体化した素材。色の異なる不織布を積層しデザイン性と汎用性を拡げる。生地の厚みで保温性も期待でき、ひざ掛けといった防寒雑貨・インテリア関連や建築用内装材まで多種多様な用途に提案を行う。

 林ゆり常務は「不織布はメリットの多い素材。その良さを広めて訴求力を高めたい」と話す。不織布の持つバルキー性や防シワ性、保温性といった素材特徴を生かし積層技術で新たな息吹を吹き込む。

 2020年8月期は生活関連資材や農業資材向けが比較的堅調もアパレル・雑貨向けが減少。半面、マスクフィルター向けNPの引き合いが多く供給を伸ばした。

〈江洲産業/加工技術で存在感高まる〉

 産業資材用織物の織布・加工や不織布の加工を行う江洲産業(滋賀県長浜市)が、不織布の高付加価値化への動きが強まる中で、存在感を高めている。

 同社はディッピング、グラビアコーティング、ナイフコーティングなどによる不織布加工を行うが、広幅テンター(3・1メートル幅)と組み合わせ抗菌・防カビ・撥水(はっすい)、難燃などさまざまな後加工を付与できる。

 昨今は不織布メーカーが単純な原反からより付加価値を高める方向にある。こうした動きは「当社にとってチャンス」(井上昌洋社長)と捉える。実際に織物の織布・加工を含めた開発案件は増加傾向にあり、商品開発には力を入れ「さらに繊維技術を究める」とする。

 商品開発に加えて生産体制の整備も進める。「新型コロナウイルスの感染拡大による影響に今は耐えつつ、モノが動き出した段階ですぐに対応できるよう準備する」考えだ。

 6月末には廃業した外注先から設備を引き受け、レピア織機4台、エアジェット織機2台を増設、織布能力を引き上げた。

 創業100周年に当たる2022年をめどに本社工場を拡張する計画で、隣接地を取得し、新工場に織機を移設する準備も進める。

 2020年8月期売上高は前期比横ばいまたは微減にとどまる見通しだが、今期も前期並みの売り上げを見込む。

〈アサヒ繊維工業/浄水器向けフィルター順調〉

 繊維製特殊加工品製造のアサヒ繊維工業(愛知県稲沢市)は浄水器向けの芯やフィルターの供給が順調だ。

 主力商材は「MFフィルター」シリーズ。主にオレフィン系熱融着繊維使いの不織布を円筒状に成型したフィルター。単一構造から複層型の製造も可能。内径や厚み・長さも用途に応じてあらゆる規格指定にも少量から供給を続ける。

 2019年上半期(4月~9月)は新型コロナウイルス禍の影響も受け前年比10%近い減収で推移。フィルターは浄水器を中心とした水回り関連向けの供給が順調で前年比を伸ばす。空圧・油圧機器向けは弱含みだが総じてフィルターの供給は復調の傾向を見せる。20年3月期に向けては前年比横ばいを目指す。

 さらに20年1月の稼働を目指しフィルター成型機2台の増設を進める。浅井耕治社長は「新型コロナ禍で室内の時間が増えるとともに衛生面の関心が高まる」と見通す。今後の需要拡大を見込んで設備の拡充を計画通り行う。

 主に中わたを成型する「ファイバーロッド」の受注も医療機器や芳香剤、止血剤や文房具向けに一定の供給を続ける。近年精力的に用途開拓の一環で注力を続ける植物の培地向けの提案も並行して進める。昨年に続き10月14~16日、幕張メッセ(千葉市)で開催される「第10回国際農業資材EXPO」に出展する。