ローカライズなど奏功し好発進/中国に新規進出の日系専門店/「本気度」も共通点

2020年10月14日(Wed曜日) 午後1時1分

 中国に新規進出した日本のファッション、雑貨専門店が好調なスタートを切っている。新型コロナウイルス禍で日本での買い物が難しくなっていることのほか、各社のローカライズやコト消費への対応が功を奏している。「本気度」も共通点だ。(岩下祐一)

 TOKYO BASEは昨年8月、日本のデザイナーブランドと日本縫製にこだわる自社ブランドを取り扱うセレクトショップ「ステュディオストウキョウ」の中国大陸1号店を上海に開いた。これを皮切りに、今年6月に深セン、9月に北京に出店、12月には成都での4号店オープンを計画している。

 北京店のオープン日は盛況で、売上高が100万元を超えたもようだ。来店客の半数以上は日本の店舗で買い物をしたことがある既存顧客だったと言う。海外のトレンドに敏感なファッション感度の高い層が、同店の日本へのこだわりなどを評価し、固定ファンになっているようだ。

 アダストリアが昨年12月に上海にオープンしたライフスタイルブランド「ニコアンド」の海外1号店は、絶好調が続く。オープンから入店待ちの行列が続き、1日平均の来店客数が約1万人になった。開店から1カ月の売上高は計画の2倍を記録。新型コロナ禍で2~4月は苦戦したが、5月から復調し、6~8月は完全復活、毎日平均6千人前後が来店する。1~8月の売上高は年初の年間売り上げ目標を既に超えた。

 同社は中国で約10年間、自社のアパレルブランドを複数集めた「コレクトポイント」を展開してきたが、赤字続きで昨年撤退した。ニコアンドではその教訓を生かす。中でも力を入れるのがローカライズ(現地化)だ。地元で人気のデザイナーブランドとコラボレーションした商品からイベント、KOL(キーオピニオンリーダー)の活用まで、これでもかというくらい仕掛けている。

 ロフトは7月、雑貨店「ロフト」の海外直営1号店を上海に出した。オープンから大人気となり、開店から午後まで入場待ちの行列が途切れなかった。7、8月は毎日平均8千人前後が来店した。

 日本製の化粧品や生活雑貨、達磨(だるま)やお守りなどの日本の開運アイテムが好まれている。ローカライズも重視し、地元若手クリエーターとのコラボ商品に注力する。

 中国で成功する日本のファッション、雑貨専門店は、「ユニクロ」と「無印良品」くらいで、最近もしまむらやストライプインターナショナルなど大手アパレルの事業休止、撤退が続く。

 一方、3社が理想的なスタートを切れたのは、新型コロナ禍で中国の消費者が日本での買い物ができなくなっていることのほか、ライフスタイルショップの流行や各店のローカライズとコト消費への注力が奏功しているとみられる。

 中国市場に懸ける「本気度」も3社の共通点。アダストリアとロフトは日本本社の取締役クラスが陣頭指揮を執る。TOKYO BASEは社長自らが新型コロナ禍前まで中国に足を運び、出店先選びなどをしていたようだ。

 中国市場の変化は日本の数倍といわれているが、新型コロナ禍でそれが加速している。権限を持つトップクラスの人材が現地にいなければ、対応は難しい。