倒産の危機からの脱却 縫製工場、アリエの変革 (後)

2020年10月16日(Fri曜日)

納期を3~4日に短縮

それまでのリビエールとアリエは、百貨店で販売するアパレル会社向けの婦人服全般を渾然一体となって縫製していた。河村厚志社長は、腰サポーター専用縫製工場を新設したのを機に、以前からあったリビエールの工場を婦人ボトムスの、アリエを婦人トップスの専門工場として完全に分離した。特定のアイテムに特化させて縫製員の習熟度を高め、生産効率を上げることを狙った。

 このような改革が奏功し、業績は改善に向かう。新型コロナウイルス禍も、同社の業績を上向かせる方向で作用している。婦人服縫製の仕事は4~6月にほぼゼロになったが、7月から回復。9月は前年同月を上回った。顧客を絞り、その顧客のニーズに「とことん合わせる」戦略に転じていたことが吉と出た。

 特定の顧客に依存するのは経営的に危険というのが一般的考え方だが、敢えてその道を選んだ。アパレルの多くが在庫を抱えないために短納期生産を志向しているが、さまざまな顧客のニーズに合わせようとすると、どの顧客への対応も中途半端になってしまうとの考えからだ。特定顧客のニーズを聞き、それに対応するための手を次々と打ったことで、副資材の手当から入ると早くても7日とされる納期を、3~4日に短縮した。同社から店へ直接送るなど、物流面も含めて工夫した成果だ。

 婦人服縫製の早期回復に、新型コロナ禍を受けて開始した自社ブランドのマスク販売や、医療用ガウンの製造受託(製品納入)が加わり、2021年3月期売上高は大幅に増える見込みだという。

 日本の繊維産業、中でも縫製業の将来を悲観視する人は多い。確かに、これまでと同じ道を歩んでいては、将来はないだろう。「入社するまで繊維とは無縁で、業界の常識に染まっていなかったから、大胆に改革することができたのかもしれない」と河村社長は振り返る。(おわり)