メーカー別 繊維ニュース

特集 抗ウイルス加工・素材(3)/注目の抗ウイルス加工/素材・加工剤

2020年10月22日(Thu曜日) 午後1時23分

〈全アイテムで採用加速/防護ガウンやキットも用意/クラボウ〉

 クラボウは抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」を白衣、ワークウエア、カジュアル、資材など全用途に向けて提案を進める。ハイスペックタイプも開発したほか、防護ガウンでの提案にも取り組む。

 クレンゼは白衣や学校体育服で採用が先行していたが、新型コロナウイルス禍を契機に引き合いが急増。現在はコート、シャツ、パンツ、カットソーなど全アイテムで採用に向けた動きが加速する。資材用途でもマスク向けなどで拡大した。

 こうした中、抗ウイルス性をさらに高めたハイスペックタイプ「クレンゼV」も用意し、繊維評価技術協議会の「SEK抗ウイルス加工マーク」も取得した。クレンゼを応用した防護ガウンも開発した。医療用防護ガウンの国際的な規格である米医療機器振興協会(AAMI)規格のレベル1に対応しており、一般診療所や介護・リハビリ施設などで使用することができる。不織布製と異なり洗濯が可能なことから、廃棄問題の一助となることも目指す。

 学校に向けてクレンゼスプレーや感染予防啓発ツールをセットにした「クレンゼキット」も販売している。このほど企業向けの「クレンゼキットSS」もラインアップに加えた。スプレーは週1回の散布で機能が固定化する。

 自社ネット通販サイトも5月に拡充し、クレンゼを中心にマスクやタオルなど販売している。今後も消費者のニーズを汲み取り、アイテムの拡大を進める。

〈企画提案で用途開発/わた加工で不織布用途にも/ダイワボウレーヨン〉

 ダイワボウレーヨンは、抗ウイルス機能レーヨン短繊維「パラモスプラス」の企画提案型営業を強化している。用途開発まで含めた提案で普及を進める。わた加工の特徴を生かし、紡績糸向けだけでなく不織布用途での実用化にも取り組む。

 パラモスプラスは、カルボキシル基練り込みのpHコントロール機能レーヨン「パラモス」に抗ウイルス加工を施したもの。抗ウイルス制に加え抗菌防臭機能も併せ持つ。

 わた自体が抗ウイルス性を持つため、紡績すれば後加工などせずに抗ウイルス機能糸となる。このため先染め織・編み物や靴下などに活用することか可能となる。

 不織布原綿としての提案にも力を入れており、既にサンプルワークも始まった。不織布分野は従来、機能レーヨンを採用するケースが少なかっただけに、商品企画まで踏み込んだ提案で用途開拓を進めることが重要になる。ワイピング材やドアノブなどに張り付ける抗ウイルスシールなどさまざまなアイデアによる開発が進められている。

 不織布用途は使い捨てが前提となる商品が多い。このため廃棄問題まで視野に入れることで生分解性のあるレーヨンの優位性も打ち出す。

〈パリコレ参加作品に採用/「フルテクトスプレー」も登場/シキボウ〉

 シキボウの抗ウイルス加工「フルテクト」が新型コロナウイルス禍を契機に幅広い用途で採用され始めた。パリコレクション参加作品にも使用されるなど、従来は衛生加工があまり使われなかったハイファッション領域でも認知度か高まる。

 フルテクトは抗ウイルス加工のパイオニア的存在としてこれまで実績を重ね、繊維評価技術協議会が認証する「SEK抗ウイルス加工マーク」も取得している。こうした実績を背景に新型コロナ禍の下、寝装やスクールユニフォーム、ニットカジュアルなどで採用が拡大した。工業洗濯50回後も機能が維持するタイプも開発したことで作業服への提案も加速する。

 さらにデザイナーの森永邦彦氏のブランド「アンリアレイジ」が9月のパリコレに出展した作品にも採用された。ハイファッション分野で衛生加工が採用されるケースは珍しく、今後の普及への期待が高まる。

 加工を担う染色加工子会社のシキボウ江南(愛知県江南市)に自前の抗ウイルス性試験室を持つことも強みとなる。さまざまな素材への導入など開発面だけでなく、ロットチェックの実施など品質面での信頼性にもつながる。

 このほどフルテクトの加工剤を応用したウイルス除去・除菌スプレー「フルテクトスプレー」も開発した。1回の散布で14日間効果が持続する。

〈大和化学工業/新定着剤で洗濯耐久性高める/洗濯10回後の効果確認〉

 大和化学工業は抗ウイルス加工剤「アモルデンV―100JM」とともに使う定着剤「V―SYN」を新たに開発し、耐洗濯性を向上させた。洗濯10回後もSEKマーク認証基準を満たす性能を確認している。

 アモルデンV―100JMは高い抗ウイルス性能を持ち、繊維関連ではフィルターやマスク、マスクインナーなどの用途で展開している。新型コロナ禍の中、壁紙、塗料、雑貨など繊維以外を含めてさまざまな用途でニーズが増えている。

 アウターなど衣料用途でも要望が高まっており、洗濯耐久性を向上させるための開発を進めてきた。このほど新定着剤「V―SYN」を開発し、セットで使用することで高い洗濯耐久性を実現した。9月から本格提案を始めている。

 綿100%素材への加工では、洗濯10回後に抗ウイルス活性値3・5を確認している(JISL1922抗ウイルス性試験方法、インフルエンザウイルスで試験)。生地上のウイルスを99・9%以上不活性化する数値で、SEKマークの基準(3・0)を満たす。

 抗ウイルス性を付与するアモルデンV―100JMは、既にコロナウイルス〈ヒト〉に対する抗ウイルス性能を確認しているため、ここでの効果も期待できるとみられる。