メーカー別 繊維ニュース

特集 スクールユニフォーム(8)/素材メーカー編/生徒の安全と快適を支える

2020年10月23日(Fri曜日) 午後4時41分

 学校生活において学生服には多様な役割がある。安全で快適な学生生活を衣服の面からサポートすることや、3年間着用しても品位が損なわれない耐久性などが求められる。こうした品質や機能を実現するのが学生服地であり、素材メーカーは現在もさまざまな提案を行っている。新型コロナウイルス禍によって抗ウイルス性など新たな機能への要求も高まっている。

〈2ウエーストレッチを提案/抗ウイルス加工の導入も/東亜紡織〉

 東亜紡織は、学生服地で主力のウール高混率品に加えて合繊高混率品のラインアップを拡充している。2ウエーストレッチ品など新たな提案にも力を入れており、注目が高まる抗ウイルス加工の導入にも取り組む。

 同社は毛紡績として長短複合紡績糸使いのウール高混率学生服地「トライブリッド」などの提案を進めると同時に、最近では合繊高混率品のラインアップを拡充してきた。2021年入学商戦から先染め柄物でも合繊高混率品の品番を拡大する戦略を採用したが、引き合いが増加するなど成果が出ている。

 学生服地では珍しい2ウエーストレッチ生地の提案でも注目を集めた。このため引き続きウール高混率品と合繊高混率品の両方をそろえ、2ウエーストレッチで具体的な採用実績の獲得を目指す。

 一方、新型コロナウイルス禍で急速に注目が高まる抗ウイルス加工に関しても開発を進めており、自社だけでなく染色加工場や薬剤メーカーと連携しながら学生服地への導入を目指す。

〈合繊の価値を打ち出す/夏物素材も高付加価値化/東レ〉

 東レは、合繊メーカーとして学生服地でも合繊高混率品の提案を強め、“合繊の価値”を前面に打ち出す。機能性を生かして夏物素材の高付加価値化にも取り組む。

 近年、学生服は軽量性やイージーケア性などへの要求が一段と高まり、合繊高混率品のニーズが拡大している。こうした流れを受けて、2021年入学商戦でも合繊高混率品のシェアが高まった。

 今後も引き続き合繊高混率品の提案を進める。学校別注向け生地「トレラーナ」はポリエステル70%・ウール30%混が主力だが、ポリエステル85%・ウール15%混タイプやポリエステル100%梳毛調織物「マニフィーレ」の提案を強化。学校別注向け柄物も先染めに加えて小松マテーレと取り組むインクジェット捺染「モナリザ」を提案し、小ロット・短納期対応などインクジェット捺染による合繊素材の優位性を訴求する。

 夏物素材の高付加価値化にも取り組み、ストレッチ生地「ライトフィックス」などを提案する。そのほか、新型コロナ禍で注目が高まる抗ウイルス加工も体育服やスクールインナーなどに向けて開発と提案に取り組む。

〈シャツ地に抗ウイルス加工/トリコットシャツ地も好評/シキボウ〉

 シキボウは、スクールシャツ地に抗ウイルス加工「フルテクト」の導入を進める。好評のトリコットシャツ地の拡販にも力を入れ、スクールシャツ分野で清潔衛生と快適の提案に取り組む。

 新型コロナウイルス禍によって抗ウイルス加工への関心がスクールユニフォーム分野でも急速に高まった。同社のフルテクトは抗ウイルス加工のパイオニア的存在であり、豊富な実績を持つ。

 最近ではインフルエンザウイルスだけでなく通常のコロナウイルスであるコロナウイルス(ヒト)への抗ウイルス性も確認した。新型コロナはコロナウイルスの亜種のため、同様の機能を発揮できると推定できる。

 既にスクールシャツ地として受注も獲得するなど市場での評価は高い。このため引き続きシャツ地での提案を進める。合わせてマスクなど周辺商品への提案も進める。

 トリコットシャツ地も好調な販売が続いている。イージーケア性や快適性への評価は高い。今後もシャツ用途で編み地のニーズは高まるとみており、引き続き重点提案する。

〈ウールの可能性を示す/抗ウイルス加工の開発も/ニッケ〉

 ニッケは、耐久性や環境負荷低減などウールが持つ可能性を学生服地でも示すことに力を入れる。抗ウイルス加工など社会的要請が強まる機能素材の学生服分野への導入にも積極的に取り組む。

 近年、学生服地は合繊高混率品のシェアが高まるなどウール高混率品にとって逆風が続いている。一方、品位や耐久性の面でウールを評価する声も根強く、同社が重点提案する学生服地「ミライズ」の採用も順調に拡大した。ミライズの販売開始から3年を経て、実際に学校で3年間着用しても劣化のない品位への評価が高まる。

 さらに今後は新型コロナウイルス禍で注目が高まっている抗ウイルス加工学生服地の開発にも取り組む。サステイナビリティーへの要求も高まることから、ウールの天然繊維の特徴に加えて再生ポリエステルの利用率引き上げやトレーサビリティーが確保できるニュージーランドメリノウール「ジーキュー」の活用などを進める。

 採寸方法の改革にも取り組む。グループ商社のアカツキ商事、ナカヒロ、チクマと連携し、インターネットを使った採寸システムも構築した。今後、納入業者などに活用を呼び掛け普及を目指す。

〈ニッケ調べ/MC校は2年連続200校超え〉

 ニッケの調査によると、2021年入学商戦の制服モデルチェンジ(MC)校数は、9月末段階で中学・高校合わせて216校に達する見込みだ。20年春は4年ぶりに増加し、過去10年で最多となったが、それに次ぐ校数で推移していることが分かった。200校を超えるのも2年連続で、近年にない高水準にある。

 20年春は、少子化による公立中学校などの統廃合や小中一貫校化、性的少数者(LGBT)への対応でMCに踏み切った学校が多かった。福岡市内の中学校65校が統一型のブレザーに変更した関係で、中学校全体は163校だった。国公立中学は147校だが、4割以上を同市内の中学校が占めた。

 21年春に向けても、216校のうち中学校が130校と過半を占めている。前年と同様にジェンダーフリー対応に向けたMCが多く、福岡市のように広域で学校標準服の更新があるようだ。女子生徒のスカートとスラックスの選択制も増加傾向が続いていると言う。