メーカー別 繊維ニュース

2020年秋季総合特集Ⅴ(7)/top interview 宇仁繊維/消費の二極化が加速する/社長 宇仁 龍一 氏/改めて開発力引き上げる

2020年10月30日(Fri曜日) 午後1時8分

 宇仁繊維の2019年8月期は、1999年の創業以来初の減収決算だった。20年8月期は単体売上高100億円(前期は74億円)を目指す5カ年計画がスタート。そこに新型コロナウイルス感染拡大が発生した。2月までの上半期は1%減と持ちこたえたが、その後は前期比売り上げ半減の月もあるなど落ち込んだ。宇仁龍一社長に展望を聞いた。

  ――新型コロナ感染拡大によって日本の繊維産業はどのように変化していくと考えますか。

 清潔・衛生、安全・安心の意識が高まるでしょう。その担い手として日本製の価値がさらに高まっていくと考えています。新型コロナ禍でネット通販が急速に伸びていますが、このツールでは商品を速やかに作り供給するスピード感が重視されますので、この部分でも日本製の見直しにつながるはずです。ファッションの世界で言えば、高級志向と低価格志向の二極化が進んでおり、今後も進みそう。当社は生産のコストダウンを図りながら、生地企画の高級路線を歩みます。同時に、低価格志向にも、アウトレット品と呼ぶやや旬を過ぎた生地を小口から販売するなどで対応していきます。

  ――20年8月期を振り返ってください。

 単体の売上高は63億6300万円で前期比14・9%減でした。営業損益は2億7100万円の黒字から5900万円の赤字に転落し、経常利益は900万円、純利益は200万円の黒字を確保したものの、前期比では大幅な減益となりました。とにもかくにも新型コロナ禍の影響です。国内向け以上に輸出が悪かったですね。

  ――子会社は。

 中国向け生地販売とアウトレット品販売を手掛ける宇仁テキスタイルは、売上高が前期比17・5%減の8億800万円でした。営業損益は経費減により赤字幅が縮小。経常損益、純損益はともに黒字転換しました。

 小物・雑貨を販売する宇仁繊維ファッション、プリント生地販売の丸増とウインザーも大幅減収や赤字など苦戦しました。プリーツ加工のオザキプリーツはプリーツブームを捉えてグループで唯一の増収となりました。売上高が6・0%増の3億3700万円で利益も黒字を確保しました。

  ――今期の計画は。

 グループ全体で赤字から脱却することが最優先課題です。各事業部、各課に利益に対する意識を高めるよう徹底しています。

 今期スタート月である9月の宇仁繊維単体売り上げは、悪かった前年同月をさらに15%下回りました。市況がまだまだ回復していないことを示しています。10月も厳しそうですが、なんとか通期で黒字転換を目指していきたいと考えています。

  ――市況低迷が続きそうですが、事業環境分析と今期の重点戦略を。

 市況がV字回復することは考えにくい。少なくとも来年2月ごろまでは苦しい状況が続くでしょう。ただ、トレンドの変化は起こるでしょうから、それをしっかりものにしたいですね。

 人は服を着ます。精神論になりますが、苦しい時でも前向きに進んでいけば、成長できると信じています。有事は営業チャンスとも言えますので、新規顧客開拓にも力を注ぎます。

 今期も、前期から推進する「ジャカード」「テック」「オリジン」「デジタルプリント」「アウター」という五つのプロジェクトを継続します。ジャカードは同生地の増強、テックは小松マテーレとタッグを組んだ加工生地の充実、オリジンは大ロット受注の際に単価を抑えるサービス、デジタルプリントはインクジェットプリンターによるプリント生地の拡充、アウターは中肉厚地を充実させるものです。度合いに差はありますが、それぞれ進展が見られます。

 さらに、大手ブランドとの取引拡大を目指す取り組みとして、「GoToブランド36キャンペーン」というプロジェクトを立ち上げました。前期に推進していた「深掘り36ブランド推進委員会」を改名し、体制も変更したものです。

 一つのブランドに対する当社の売り上げを戦略的に拡大させていく取り組みです。実現のために、当社の原点と言える商品開発と提案力を改めて引き上げていきます。

〈私の新常態/衰え知らずの「口」〉

 宇仁さんは新型コロナ禍で少しお腹が出てきたそう。感染対策として昼食を外でとることをやめ、おかげでコンビニのおにぎりのおいしさに気付いた。おにぎりと一緒にデザートとしてプリンを食べることも多い。どうやらお腹が出てきた原因は、運動不足と糖質過多にあるようだ。とはいえ「日々の生活は健康そのもの」と衰え知らず。食に使う「口」とともに、社員を叱咤する「口」も衰え知らずとのことだ。

〈略歴〉

 うに・りょういち 1999年桑村繊維を退職後、44年余りの経験、実績を基に一部商権と商品を引き継いで宇仁繊維を創業。