中国の高級アパレルブランド/日本にこぞって進出/製品に自信課題は現地管理者

2020年11月10日(Tue曜日) 午後1時0分

 中国の高級アパレルブランドの日本進出が増えている。日本市場はかつてない厳しさだが、それでも日本を目指すのは製品に自信があるからだ。ただ日本ブランドが中国で苦戦するのと同じ理由で、中国ブランドの成功は容易ではない。(岩下祐一、市川重人)

 中国を代表する高級レディース「アイシクル」は、2021年9月に日本1号店を大阪の大手百貨店に出店する。これに続いて東京にも進出し、数年間で両都市にそれぞれ2、3店を設ける計画を持つ。

 アイシクルの特徴は「欧州のラグジュアリーブランドと同等の品質だが、値段はその半分」で、コストパフォーマンスが高い点だ。これが日本でも強みになると、同ブランドを運営する上海之禾時尚実業(集団)の葉寿増CEOは見る。

 高級メンズ「単農(ダンノン)」は、今年1月に東京・南青山に海外初の店舗を設けた。東洋の伝統文化を意識したシンプルなスタイルと上質の素材が特徴で、本国では文化人やアーティストらから支持されている。1号店は新型コロナウイルス禍の影響もあり芳しくない模様だが、店頭プロモーションを強め、百貨店やセレクトショップ向け卸事業の拡大の足掛かりにしていく。

 中国で30代をターゲットにした次世代の高級メンズとして知名度を高めている「アイヴィディック ステュディオ」も、日本市場の販路開拓を本格化した。10月に開かれたファッションイベント「楽天ファッション・ウィーク東京」に初参加し、大手セレクトショップなどと商談した。

 これから進出を狙うブランドも多い。ブティックなどへの卸売りを手掛ける高級レディース「フレーム・ファン」は、目利きの消費者が多い東京か香港に1号店を出し、その後中国大陸で出店していく構想を持つ。

 ネット通販専業の高級レディース「D家」も、日本での販売を模索。トレンドをいち早く取り入れた商品を高いコストパフォーマンスで、短サイクルで提供するモデルで成功したが「日本でも通用する」と同ブランドを展開する上海遞加時尚の呉軍総経理は話す。

 中国ブランドがこぞって日本を目指す背景には、中国での厳しい競争の中で品質やデザイン力、ビジネスモデルを磨いてきた自負がある。多くのブランドのトップが、日本で通用するとみている。

 中国国内の成長余地が限られてきていることもある。高級ブランドは、消費のアップグレードを背景にこの5年間急成長してきたが、昨年から景気後退や主要販路の百貨店の低迷などの影響を受け、伸び悩んでいる。

 ただ、日本進出は一筋縄ではいかないだろう。

 高級レディース「リード・ミー」を展開する上海無限服飾は、16年に日本に子会社を作り、卸売りを強化したが、19年に撤退した。「数百万円の未回収金がある。良い人材を採用できなかったことが敗因」と孫偉新総経理は話す。

 中国で失敗した日本ブランドの多くは、製品やビジネスのローカライズでつまずいた。ローカライズを実現するには、両国を理解する優秀な人材が求められる。中国ブランドの日本進出の成否も、優秀な管理者を置けるかどうかにかかっている。