コロナ後の進路 日系商社に聞く(3)/丸紅〈上海〉/ライフスタイル部部長 岸 晴彦 氏/独自サステ素材で市場開拓
2020年11月19日(Thu曜日) 午後1時19分
丸紅〈上海〉のライフスタイル部が、サステイナブル素材の現地開発に取り組んでいる。独自素材ブランドとして、来春以降の市場投入を目指す。欧米と日本向けに加え、中国顧客の開拓を狙う。岸晴彦部長にアフターコロナの事業計画を聞いた。
(上海支局)
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――サステナイブル素材を現地企業と開発中だ。
繊維の川上から川下までワンストップで展開する当社と、現地ベンチャーの研究所の強みを合わせ、開発を進めている。
素材は合繊と天然素材で、われわれ独自の素材ブランドとしてプロモーションしていく。販売先は、サステイナブル素材のニーズが高まる欧米と日本向けが中心になりそうだ。サステイナブル素材に関心がある地場顧客にも提案していく。
――素材開発の狙いは。
問屋ではなく、素材メーカーの立場で開発、販売していくためだ。欧米や中国向けの販売は、メーカーであることを求められるケースが多い。
――ところで、新型コロナウイルス禍を受け、貴社の産業資材の動きが活発になっている。
2月に中国国内で感染が拡大した際は、人道支援の目的で日本から防護服を輸入した。海外での感染拡大に移った3月以降は、日本への中国製マスクや隔離服の輸出に取り組んだ。その後、両国でマスクなどが行き渡ったことで、われわれの販売も落ち着いている。
マスクや隔離服のマーケットの急拡大は止まったが、今回の販売を通じ、当社の不織布への知見が高まった。これを生かし、不織布関連で今後、新しいことに挑戦したい。
中国で新型コロナ禍をきっかけに新たな需要が生まれている。これに対応し、日系サービス企業と提携した「新しいサービス」の提供を模索している。
――これまでと事業内容が変わってきた。
従来主力だった衣料の製品OEMと織物販売は、環境変化でますます厳しくなっている。一方、特殊原料を中心とした非衣料が健闘している。去年まで衣料関係の割合が取扱額の過半数だったが、今年は全体の75%を非衣料が占めている。
――来年以降の計画は。
世界的に環境保護やサステイナブルの流れが加速する中、環境関係の原料や資材の新規開拓に重点を置く。各案件を着実に実行していきたい。