メーカー別 繊維ニュース

特集 環境ビジネス(2)/有力繊維企業/環境重視の動きは本流へ

2020年12月03日(Thu曜日) 午後1時23分

〈東レ/1兆円がターゲット〉

 東レは2020年度からの中期経営課題「AP―G 2022」にリサイクルや空気浄化、水処理、環境低負荷、GHG排出抑制といった領域での取り組みに重点化し、グリーンイノベーション(GR)プロジェクトの売上高を1兆円に引き上げるという拡大戦略を掲げている。

 繊維事業では、世界最高水準の植物由来原料比率を実現した人工スエード「ウルトラスエードBX」を開発しているほか。トレーサビリティーや原糸の白度にこだわって開発したペットボトル再生ポリエステル「&+(アンドプラス)」をラインアップ。21年度から本格販売が始まる。

 既存のペットボトル再生ポリエステルとは一線を画す白度、多彩な差別化糸を生産できるアンドプラスの持ち味が評価され、21春夏から大手小売りやアパレルとの取り組みが相次いで立ち上がる見通し。

 ファーストリテイリングとはダウンのリサイクルに乗り出した。独自の全自動一貫リサイクル設備でダウンジャケットから羽毛を再利用する取り組みに着手しており、11月から新商品「リサイクルダウンジャケット」の販売が始まっている。

 非繊維事業では、工場で発生したフィルムくずを再利用する取り組みに力を入れているほか、使用済みフィルム製品を回収し再利用する循環型リサイクルシステムの構築を目指している。

〈ユニチカ/「フォー・ジ・アース」で総合力発揮〉

 ユニチカグループはケミカルリサイクルで生産するポリエステルやフィルム、生分解性ポリマー「テラマック」など多彩な環境配慮型素材をラインアップする。

 SDGs経営を前面に押し立てていくため今年7月、サステナブル推進室を立ち上げた。同室を中心とする取り組みを強化し多彩なエコ素材群をプロモート。商標登録する「フォー・ジ・アース」を打ち出し、市場浸透を目指す。

 繊維事業では、ユニチカトレ―ディングがあらゆる用途に「エコフレンドリー」を浸透させていくための販促に取り組んでおり、アウター、スポーツ、ユニフォームなどの用途で顧客との商談が進行中。デュポングループとの連携で開発した「パルパーソロナ」も注目を集めている。

 食品包装用フィルムのコンバーターがSDGsを意識した取り組みを強化するに伴い、ケミカルリサイクルで生産するフイルム「エンブレットCE」、「エンブレムCE」への引き合いが急増しているという。

 食品用途に展開するには衛生面での厳格な品質管理が求められるため、現在は工場内で発生したフィルムくずを再利用している。将来は使用済みのフイルムを再利用する「ポストコンシューマーにも幅を広げたい」との意欲を示している。

〈旭化成アドバンス/全ての用途に「エコセンサー」を〉

 旭化成アドバンスは7月に続き11月にも「エコセンサーWEB総合展」を開いた。スポーツ・ユニフォーム、アウター、インナーの3部門が連携し、環境配慮型「エコセンサー」によるプロモート素材群を打ち出した。

 エコセンサーは「ベンベルグ」、再生スパンデックス「ロイカEF」、再生ポリエステル、同ナイロン、オーガニックコットンの5本柱で構成されており、これらエコ素材100%使いによる織編物を、ブルーサイン認証を取得する国内外の染工場で加工した場合にのみエコセンサーとして認定し、あらゆる用途に打ち出している。

 スポーツ向けには、エコ化した透湿防水「ソファンデ」、透湿防水コーティング「レオフィール」、耐摩耗性が特徴のニット「アルティッシモ」などを重点的に投入する。

 インナー部門はベンベルグやロイカEF使いで21秋冬向けの企画を組み立てており、ネット通販やヨガウエアといった新規販路の開拓にも改めて力を入れる。

 2021年度に向けては、小規模なリアル展も実施。東京展を11月10~12日に、大阪展を11月25~27日にそれぞれ開催。3部門傘下の5営業部が顧客を限定して招待し、実際の生地見本、製品見本を交え来シーズンに向けた商談に取り組んだ。

〈日東紡インターライニング/さまざま芯地をそろえる〉

 日東紡インターライニングは、サステイナビリティーに対応する芯地の提案を強めている。再生ポリエステルやナイロンを使ったタイプのほか、フッ素フリーや原着糸など幅広い商品を取りそろえている。環境負荷低減は世界で大きな潮流になっており、国内外で販売を加速する。

 資源循環型の加工糸芯地では経糸と緯糸、または緯糸に再生ポリエステルや再生ナイロンを使った汎用性のある商品をラインアップ。ナイロンでは植物由来成分を用いた芯地を打ち出す。二酸化炭素(CO2)や化石燃料消費量の削減に貢献し、薄手素材向けのソフト芯地として設計している。

 原着糸を使った芯地は、染色時に使用する水や電力が少なく、排出するCO2量も抑えられる。欧州では環境に優しいとして認知が進みつつあり、日本でもニーズは拡大するとしている。そのほか、有害物質低減型としてフッ素フリー芯地、ノンホルマリン芯地を展開する。

 サステイナビリティーとは直接関係がないが、ドットコーティングによる後加工技術も確立した。日東紡の伊丹生産センター(兵庫県伊丹市)の技術を生かしたもので、さまざまな機能を付与することができる。

〈帝人フロンティア/「エコペット」が25周年〉

 帝人フロンティアの再生ポリエステル「エコペット」は今年で25周年を迎え、リブランディングを行った。以前はマテリアルリサイクルをエコペット、ケミカルリサイクルを「エコペットプラス」としていたが、エコペットに統一するとともに、ポリエステル繊維だけでなく不織布や構造体、テキスタイル、縫製品なども含む形とした。エコペットとして展開する製品の基準は、間もなく発表する予定。

 エコペットは1995年に展開を始めた。まずは水切り袋で採用され、グリーン購入法やエコマークなど制度の整備とともにユニフォームで採用が広がった。2000年にケミカルリサイクルを始めたことで糸種が広がり、スポーツなどでも採用が進んだ。マテリアルリサイクルでも品ぞろえが広がり、3年前から長繊維も可能とし、現在は細繊度や異形断面を含めてバージン原料と変わらない形としている。

 環境活動指針「シンクエコ」では30年度にリサイクル素材の比率を50%以上とする方針を掲げる。足元ではスポーツやファッションなど各分野で注目が高まっており、今年から環境チームを新設するなど体制も整えている。今後さらに市場に広げていくため、消費者への認知度向上にも取り組む。

〈三菱ケミカルアクア・ソリューションズ/持続可能な街づくりに貢献〉

 三菱ケミカルアクア・ソリューションズ(東京都品川区)のウェルシィ事業部は、地下水ろ過システムの製造・販売を行っている。供給している水の安全性や経済性などに対する評価が高く、同社システムの国内導入実績は1300カ所を数える。今後も地下水飲料化業界をけん引する存在として持続可能な街づくりを支える。

 同事業部が手掛けているのは、次世代型水道システムとして採用が進む高度なろ過処理によって地下水を安全・安心な飲料水に変える分散型水道システムだ。給水ラインの確保によって災害発生時でも事業継続性が高められるほか、断水時の水の提供で地域住民に貢献できる。

 安全性が大きな特徴で、「これまでに1カ所も水質事故が発生したことがない」と話す。2011年の東日本大震災時に震度5以上の揺れが生じた地域に540の同社システムが導入されていたが、長期間(1カ月)止まっていたのは3カ所だけだったと言う。

 国内で2千カ所の導入を目標としているが、海外にも目を向けている。ケニアやベトナム、ミャンマーで実績があり、今後も東南アジアやケニア、インドなどを中心に提案を強める。

〈東洋紡STC/エコ普及に地道な取り組み〉

 東洋紡STCのユニフォーム事業部は環境配慮型素材として、ペットボトル再生ポリエステル「エコールクラブ」、バイオポリエステル「同バイオ」、生分解性素材「ダース」の3本柱を構えている。

 中でも、エコールクラブ・バイオの市場浸透を最も重視しており、21秋冬からワーキング向けの販売を先行。定番を中心とする中肉織物の売り込みに力を入れている。

 新型コロナウイルス禍に伴う市場の混乱によって、環境配慮型素材への引き合いは昨年よりもトーンダウンしていると言う。

 しかし、「これらははやり廃りで取り扱う商材ではない」としており、今後も地道な商品開発を強化し市場浸透に力を入れる。

 ダースでは「販売した製品を数年後に回収するところまで踏み込まないと意味がない」との認識を示しており、企業別注向けのユニフォームを回収し生分解させる仕組みの構築を検討中。

 2020年度は新型コロナ禍で下半期以降、苦戦に転じたものの、新型コロナ禍で売れ行きが好転している抗ウイルス素材「ナノバリアー」の拡販を計画するとともに、環境配慮型素材による開発、企画提案を精力的に進めたい考えだ。

〈海外企業/日本よりも前向きな動き〉

 このほど東京都内で開催された「JFW(日本ファッション・ウィーク推進機構)ジャパン・クリエーション」と「プレミアム・テキスタイル・ジャパン21秋冬」では台湾、米国、中国などの企業の姿が見られたが、サステイナブル素材の提案が目立ち、環境負荷低減に前向きな姿勢を示している印象を受けた。

 台湾の繊維業界団体、台湾紡拓会のブースでは8社が生地を出展。エベレストテキスタイルなど、欧米アウトドアメーカーと商売を行う企業が多く、再生ポリエステルや再生ナイロンなどを使った生地を並べた。ブルーサイン認証を取得済みの企業の展示もあった。

 紡毛の織物と丸編み地を生産するアオヤンウールファブリック(中国)は、スウェーデンのアパレル企業との商売を契機にリサイクル事業にも力を入れ、日本の大手SPAとも取り組んでいる。裁断くずや落ち綿を利用したリサイクルウールを展開し、国際認証も取得している。

 米国の生地製造・販売会社、ポーラテック社は、海洋プラスチックごみ問題に目を向けた「パワーエア」を紹介した。トルコの「カリックデニム」はサステイナビリティーのアプローチにおいてはトルコの中でもレベルが高いと自負する。

〈レンチング/環境でリーダーシップ発揮〉

 レンチングは、再生セルロース繊維大手として環境配慮やサステイナビリティーの確立に向けたリーダーシップを発揮することを目指す。原料背景、製造工程も含めた環境配慮で具体的な数値目標を設定して取り組む。

 「消費者の環境問題への意識が高まり、企業の社会的責任への要求が一段と高まっている」と同社の不織布担当・東地域コマーシャルディレクターのスティーヴン・ツァイ氏は指摘する。こうした要求に応えるため同社は「経営資源を積極的に投入する」とし、2030年までに炭素排出を50%削減し、50年までに完全ゼロのカーボンニュートラル企業となることを目標に掲げる。

 そのために具体的な数値目標を設定した取り組みを進める。22年までに製造工程で発生する硫化物の排出量を14年対比で50%削減し、廃水に含まれる特定物質も20%削減する。原料である木材パルプ資源を保護するために18年から植林事業も開始。さらに原料調達に関してサプライヤーへのサステイナビリティー評価も実施する。19年からはトレーサビリティーを強化した新たな環境システムも導入した。

 ツァイ氏は「正しいことを実践すれば、自然とリーダーシップを発揮できるはず。不織布用途でも『ヴェオセル』をサステイナビリティーで信頼されるブランドに育てる」と話す。

〈豊島/「生産者の顔が見える」有機綿〉

 豊島は2020年夏から、生産農場と紡績工場までさかのぼることができるトルコ産のトレーサブルオーガニックコットン糸「トゥルーコットン」の提案を開始した。糸を製造するイズミル地方の紡績工場、ウチャクテクスティル(ウチャク社)と日系企業向けの独占販売契約を結び、国内での普及を目指す。糸と生地在庫を持ち、全社横断的に原料から製品までニーズに対応する。

 ウチャク社は、自社の農場で綿栽培も行うため、農場から紡績までを一元管理する体制を確立している。トレーサビリティーを持つオーガニックコットンの生産者として、トルコでは第一人者の地位にある。

 豊島は、サステイナブルな企業姿勢を示すステートメント「マイ・ウィル」を掲げ、素材の開発や提供に力を注ぐ。その中で、サステイナビリティーを環境配慮の一面で捉えるのではなく、徹底したトレーサビリティーにまで踏み込んだ取り組みを進める。

 トゥルーコットンはその方針を象徴する素材であり、遺伝子組み換え種子が混入する危険性が低い方法で栽培されている点もオープンにする。国内のファッション業界に向け、「生産者の顔が明確に見える」という付加価値を訴求していく。

〈大正紡績/五大陸の有機栽培綿を活用〉

 大正紡績(大阪府阪南市)はこれまでもオーガニックコットンを使った綿糸を主力とするなど環境に配慮したモノ作りを追求してきた。綿花の調達先の拡充も進めており、世界五大陸のオーガニックコットンを打ち出す。

 同社はこれまで主に米国とインドの契約農家からオーガニックコットンを調達してきた。加えて新たにウガンダ、トルコ、ペルーからの調達にも取り組み、世界五大陸のオーガニックコットンを使った綿糸をラインアップする。既に国内のジーンズアパレルが採用するなど注目が高まってきた。

 昆虫学者のサリー・フォックス氏と開発したオーガニックカラードコットンも人気が高い。茶綿、緑綿ともに非染色の自然な色への注目が高まる。草木染めや彩土(ハニ)染めなど天然由来にこだわった染め糸も改めて打ち出す。

 コットンを中心に環境配慮や綿花産地の雇用創出に貢献することが同社の基本方針。オーガニック素材の国際規格である「グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード(GOTS)」認証を取得し、トレーサビリティーも確立したモノ作りを進めてきた。社内にSDGs(持続可能な開発目標)に関する勉強会も立ち上げ、同社の取り組みをSDGsと的確に結び付け、消費者にアピールことを目指す。

〈新内外綿/来年1月にBCIに加盟〉

 新内外綿は近年、廃棄する繊維のリサイクルやオーガニックコットン(OC)を使った素材、縫製品の提案強化、さらには持続可能な綿花栽培を推進する国際的な枠組みへの参画など環境に配慮した取り組みの打ち出しを強めている。

 リサイクルの取り組みとして今年から取引先で不要となった生地や繊維製品を回収し再び糸にして提供する取り組み「彩生」のアピールを始めた。展示会でも発信を強めており、着実に取り組み先が増えている。

 OCを使った糸や製品の提案も充実する。同社は2018年から全ての綿糸、綿混糸の原料にOCを1%混ぜる取り組みを始めたほか、植物由来の染料を使った杢(もく)糸「ボタニカルダイ」ではオーガニック100%の提案を強める。今年は新型コロナウイルス禍で生まれたマスク需要に応えるためOC100%マスクのネットでの直販も始めた。

 21年1月に持続可能な綿花栽培の普及を目指す国際的なプログラム「BCI(ベター・コットン・イニシアティブ)」に加盟する。OCS認証素材の取り扱いに加え今回、BCIにも参加することで、サステイナブル素材の調達を強めるアパレルなどとの取引拡大を狙う。

〈ヤギ/有機栽培農家を直接支援〉

 ヤギは、綿花畑の有機(オーガニック)栽培への移行支援と教育支援を目的とした「PBP(ピース・バイ・ピース・コットン・プロジェクト〈PJ〉)」財団との取り組みの発展形として、「シードPJ」を立ち上げた。

 PBPの有機栽培綿への転換支援によって、インドの農民を農薬被害から守ることには貢献できている。しかし、生産した綿花販売の現状は依然厳しい。その理由はジニング工場(綿と種を分離する工程)によって買いたたかれているためだ。さらに、新型コロナウイルス禍の都市封鎖によりジニング工場が操業を停止し、農家は収入を絶たれた。

 こうした状況を二度と起こさないよう新たなPJを立ち上げた。対象とするオリッサ州はインド最貧の地域で、貧富の差も激しい。PBP財団のメンバーであり、インド最大手のオーガニックコットン紡績であるナハールをパートナーに招き、そのバイイングパワーをもって、ジニング工場による農家への買いたたきを抑制する取り組みだ。

 1ケース1ドルの寄付金を積み、農家に直接還元する。対象農家の名簿も作成し、支援先と支援規模を可視化する。この取り組みに賛同するアパレルや商社を募っていく。

〈泉工業/環境配慮型ラメをそろえる〉

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)は、生分解性のセルロース、再生ポリエステル、バイオ原料ナイロンをそれぞれ活用したラメ糸をそろえる。環境配慮型ラメ糸をフルラインアップすることで「サステイナブルなラメ糸と言えば『泉工業』と認知されることを目指す」(福永均社長)。

 ラメは樹脂フィルムをスリットして製造するが、同社ではこれにセルロースフィルムを使うことで生分解性を実現した「エコラメ」を開発している。さらにフィルムに再生ポリエステル、バイオマス原料ナイロンを使用したラメも開発し、生分解性、再生ポリエステル、バイオ原料と環境配慮型ラメ糸をそろえた。10月に金沢市で開催された糸展示会「北陸ヤーンフェア」でも披露し、注目を集めた。

 現在、欧米のテキスタイル市場ではサステイナブル素材の採用が提案の前提条件となっている。このため同社では、主に欧米市場への輸出に取り組む産地のテキスタイルメーカーに対してサステイナブルなラメ糸を提案する。環境配慮型ラメ糸を通じて、サステイナビリティーとファッション性を両立したテキスタイル開発の実現を支えることを目指す。

〈日鉄物産/サステとファッションの両立提案〉

 日鉄物産は20春夏向けから、地球環境に配慮したエシカル素材「エス」の提案に力を注ぐ。リサイクルレーヨンとオーガニックコットンの混紡などをシリーズにラインアップする。ASEAN地域で築いた生産背景を生かし、インドネシアやベトナムからも供給する体制を整えている。

 今夏には、エスの開発素材を使い、生地の編み立てから縫製までを国内で行った女性用Tシャツをクラウドファンディングサイト「マクアケ」に出品した。働く女性をターゲットにしたTシャツは、リサイクルのテンセル「リヨセル」とオーガニックコットンを使用。サステイナブルとデザイン性の両立を訴求した。

 9月には、スウェーデンのサステイナブルファッションブランド「DEDICATED.(デディケイテッド)」と日本国内で展開するライセンス契約を締結した。アパレル製造卸のサンマリノ(東京都墨田区)と協業で、21年春から店頭販売を開始する。

 デディケイテッドは、全製品にオーガニックコットンなど環境負荷の低い素材を採用している。原料の産地や縫製工場がある地域の環境も守る。

 日鉄物産はブランドライセンスの管理と商品の生産を担いながら、サステイナナブルファッションの魅力を発信する。

〈川田ニッティンググループ/SDGs特化の生地群〉

 川田ニット(富山県南砺市)とケーシーアイ・ワープニット(同)の川田ニッティンググループは、持続可能な開発目標(SDGs)に特化したトリコット生地を集めた「トコシエ フォー SDGs」をブランド化した。幅広い用途に提案を進めている。

 トリコット生地のファクトリーブランド「tococie」(トコシエ)のセカンドラインで、21春夏物で販売を開始した。テキスタイルデザイナーの梶原加奈子さんの監修のもとで開発を進め、生産の透明性や省エネルギーといったさまざまな工夫を施している。

 定義は①リサイクルやオーガニック素材などの活用②水の使用量が少ない転写プリントなどの使用③化学的溶剤を使用しない染色の採用④北陸3県で生産完了、CO2削減⑤環境配慮型の染色工場の採用――の五つ。このどれかに当てはまる素材をそろえる。

 東京で開催された「JWF(日本ファッション・ウィーク推進機構)ジャパン・クリエーション」では新常態を意識し、新ビジネススタイルやイエナカ、健康のための機能を付与した素材を打ち出した。リサイクル糸使いの生地が注目され、中でも再生ナイロンのシャツ地が人気を博した。

〈ダイワボウレーヨン/レーヨンの持続可能性を訴求〉

 ダイワボウレーヨンは、木材パルプを原料とし、生分解性があるレーヨンをサステイナブル繊維として全面的に訴求する。使用済み綿製品を原料に再利用するリサイクルレーヨン「リコビス」や海水中生分解性も確認した「エコロナ」を重点的に提案。“レーヨン=サステイナブル”を消費者に普及させることを目指す。

 リコビスはサンプル提案を進めており、環境問題への感度が高いアパレルが関心を寄せており、インナーやカットソー用途で提案が進む。エコロナもマイクロプラスチックによる海洋汚染への懸念を背景に引き合いが多く、採用に向けた動きが具体化している。こちらも紡績向けでの提案を進め、アパレル用途での普及を目指す。

 国際的な認証も積極的に取得。海水中で生分解性を認証する「OK・バイオディグレイタブル・マリーン」、適正管理された森林資源を使用していることを示す「森林認証(FSC)」、染色加工などの安全性に関する国際規格「エコテックス規格100」、米国農務省が再生可能資源から作られた製品を認証する「バイオベース製品認証」、食品接触の安全性認証「ISEGA」を取得している。

 FSC原料を使用していることを鑑別可能なレーヨンの量産化開発にも取り組み、トレーサビリティーの確立も目指す。

〈カケンテストセンター/化学分析の能力を増強〉

 検査機関のカケンテストセンターは今年1月、化学分析関連の設備を集約して大阪事業所環境化学分析ラボ(神戸市)を立ち上げた。世界的に化学物質規制強化に対応するため分析対象も拡大している。

 繊維分野でも世界的に化学物質規制が強化されている。日本では特定芳香族アミン(アゾ染料)やホルムアルデヒトの検査が中心だが、海外では発がん性染料、アレルギー性染料、界面活性剤などに含まれるアルキルフェノール、重金属の溶出などが規制対象となっており、輸出向けなどでこれら化学分析を実施できる体制を整えた。

 国際的な認証制度への参画にも取り組む。2019年に有害物質ゼロを目指す国際団体、ZDHCに加入し、繊維産業の環境負荷低減に取り組む非営利団体、テキスタイル・エクスチェンジにも加入した。有害物質や環境負荷低減に関するグローバルな情報収集と国内のクライアントへの情報提供に取り組む。将来的には国際認証業務への参入も視野に入れる。

 環境関連で新たな試験方法の開発にも取り組む。その一つが洗濯時に繊維製品から発生するマイクロファイバーの発生量を算出する捕集試験方法。こちらは東京事業所川口ラボ(埼玉県川口市)で実施する。

〈YKK/世界の協定などにも署名〉

 YKKは昨年、環境への取り組みの長期的な方向性を示す「YKKグループ環境ビジョン2050」(人と自然の未来をひらく)を策定した。2050年に向けて「気候変動への対応」「資源の活用」「自然との共生」「水の持続的利用」に取り組む。グループ各社・各事業で環境方針・目標値を設定し、実施していく。

 同社はこのYKKグループ環境ビジョン2050と10項目のSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、10月に「YKKサステナビリティビジョン2050」も策定。気候、資源、水、化学物質、人権の5テーマを設けた。気候では温室効果ガスの排出削減や再生可能エネルギーの採用増などの目標を設定した。

 ファッション業界は石油・ガス業界に次ぐ高環境負荷産業といわれる。製造から販売・消費、廃棄までに排出するCO2は全排出量の10%を占める。水や化学物質の使用量も多く、廃棄問題もある。

 このため、同社はリサイクルファスナー「ナチュロン」、植物由来のファスナー「グリーンライズ」、水を使わない新染色技術「エコダイ」、海洋プラスチックごみが主材料の「ナチュロン オーシャンソースト」を開発してきた。今年は「ファッション業界気候行動憲章」「ネットゼロリカバリー」などにも署名し、環境、さらにサステナビリティーへの取り組みを強化している。

〈日本羽毛製造/倫理的な取り組みも評価〉

 ふとん製造の日本羽毛製造(埼玉県入間市)は、リサイクル羽毛を使用した自社製品の提案を強めている。直営店のほか、東京都内の百貨店で展開するポップアップショップが人気を博し、足首ウオーマーなどの動きが順調だ。障害のある人がデザインした生地を採用するなど、エシカル(倫理的な)対応も評価される。

 自社の製品は「ジュモウ」の名称で販売し、このうち環境対応シリーズを「ジュモウ エシカル」の名称で提案している。新商品の足首ウオーマーはリサイクル羽毛を中わたに使い、外側には障害のある人のアートをモチーフにした生地を採用している。肌側の生地は再生ポリエステルを使う。

 東京都内の百貨店を中心にポップアップショップを展開。ジュモウ エシカルとジュモウの主要ターゲットではない比較的若い年代の女性の購入が目立つと言う。サステイナビリティーやエシカルに加えて、イエナカ需要の拡大も販売を後押ししている。

 同社はオーガニックコットンを側地に使った羽毛ふとんの販売にも乗り出している。生地は80番単糸を用いたサテンとし、オーガニックコットン100%使いで柔らかな肌触りを実現。染めは行わず生成りで展開する。