メーカー別 繊維ニュース

特集 21春夏ボディー&レッグファッション(5)/素材の進化・新化・真価

2020年12月15日(Tue曜日) 午後1時24分

〈東洋紡STC/衛生・安全を打ち出す〉

 東洋紡STCは抗菌、抗ウイルス、エコをコンセプトに開発した戦略素材群で21秋冬のインナー商戦に臨んでおり、抗菌アクリル「アグリーザ」や抗ウイルス「ナノバリアー」、オーガニックコットンなどによる企画提案に重点的に取り組んでいる。

 21秋冬に向けては、新型コロナ禍に伴う売れ行き不振で新企画を打ち出す機運が低いと見ており、吸湿発熱「エクス」、保温「エアリーコット」、マイクロアクリル「極衣」といった既存企画への引き合いが強い一方、衛生・安全を求める要望が強まっているという。

 このため、5~10%を混ぜるだけで優れた性能を発揮する抗菌アグリーザを肌着やソックス向けに投入する。50回の洗濯後も性能が衰えない抗ウイルス・ナノバリアーによる素材開発を強化。巣ごもり需要開拓も含めてインナー・肌着向けに初めて打ち出す。

 21秋冬からは新たに再生タイプを含むナイロンの販売にも乗り出していく。台湾メーカーとの連携を進めており、マイクロナイロン「シルファイン・プレミアム」、再生ナイロン「ループロン」で商品企画を構成。ランジェリー、ファンデーション向けに2ウエーを投入する。

〈旭化成アドバンス/「エコセンサー」に重点化〉

 旭化成アドバンスは21秋冬向けのインナー・肌着素材で、「ベンベルグ」や再生スパンデックス「ロイカEF」といった環境配慮型の素材を統合した冠ブランド「エコセンサー」を打ち出す。これまで攻め切れていなかったネット通販やヨガウエアといった新規販路の開拓にも改めて力を入れる。

 同社はベンベルグ、ロイカEF、再生ポリエステル、同ナイロン、オーガニックコットンの5本柱でエコセンサーを構成する。

 インナー・肌着素材のトレンドについて、最近の巣ごもり需要の高まりに伴い、「快適な着心地を追求した薄地を求める声が強い」と見ている。

 21秋冬に向けては、薄さ、軽さを重視したモノ作りを強化するとともに、アパレル、小売りが新型コロナ禍に伴う在庫の増大に神経を尖らせているため、「(使いまわしの効く)定番の商品ラインを充実させる」方針。

 売れ行きが好調なネット通販やこれまで取引の少なかったヨガウエア、ヘルスケア、マスク、サポーターといった新しい販路へのアプローチを強化し、インナー・肌着素材のヨコ展開で拡販を目指す。現在、開発中の抗ウイルス素材の完成も急ぎたい考えだ。

〈ヴィオレッタ/国産ラッセル編み地を世界へ〉

 ヤギグループのヴィオレッタ(大阪市城東区)はガードルや補整下着に使われる伸縮性の高いラッセル編み地メーカー。売り上げの80%がガードル、ブラジャーといったレディースインナーによる。その品質の高さから国内だけでなく中国をはじめとする海外にも幅広く販路を持つ。

 石川県加賀市にラッセル機32台、大阪府岸和田市に同機10台の工場を持つ。これら工場を活用してポリウレタンを挿入したラッセル編み地を生産。ガードルやブラジャー素材としてインナーメーカーなどに販売する。

 石川県の工場にあるラッセル機のうち9台は、レースと編み地の中間のような生地を作れる機種で、チェーンラッセル機と呼ばれる。この機種で作った生地は、中国ローカルのインナーメーカーからの引き合いが多い。10年以上前から中国へ輸出しており、同国のトップブランド4、5社と取引実績があるという。

 今期は新型コロナウイルス禍の影響で中国向け、日本国内向けともに厳しい。2021年2月期決算は売上高で前期比30%減の見込み。来期はインナー市場への素材の販売規模を維持するとともにアウターをはじめとするインナー以外の用途での素材開発、新規顧客の開拓に取り組む。

〈レンチング/環境配慮素材の特徴一段と〉

 レンチングは再生セルロース繊維「テンセル」の環境配慮型素材としての特徴をインナー用途でも一段と打ち出す。そのために品質のアップグレードを進めた。

 インナーは同社にとっても重要な用途の一つ。肌着だけでなくホームウエアなども含めており、新型コロナウイルス禍によるステイホーム需要も高まっている。そうした中で天然由来繊維のサステイナビリティーへの評価が高まる。

 こうした流れを受けて、精製セルロース繊維「テンセル」リヨセル、HWMレーヨン「テンセル」モダールともに非塩素漂白の木材パルプを原料とする天然由来繊維であり、生分解性を持つことなどを打ち出す。トレーサビリティーへの確立に向けてもブロックチェーン技術など最新テクノロジーの活用に取り組む。

 廃棄綿布をパルプ化して原料とするリサイクルテンセル「リフィブラ」の普及にも取り組む。そのためにローフィブリルタイプも新たに開発した。原着モダール「テンセル・カラーテクノロジー」も染色工程が不要なため環境負荷低減につながる原料として提案する。

 テンセルは綿との混紡で利用されるのが主流だが、ウールやカシミヤ、シルクなどとの混紡も提案することで高級素材としての市場開拓にも取り組む。