明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(94)

2020年12月18日(Fri曜日)

フラット、ロータリー併用で捺染  家長染工業

 ロータリースクリーン捺染機でストライプを切れ目なくプリントし、フラットスクリーン捺染機でそれに繊細な花柄をプリントする。家長染工業(京都市)は、そんな手の込んだプリントにも小ロットから応じている。

 家長泰之社長(60)の祖父が1955年に、呉服地の手捺染工場として設立。2代目社長である父の慶蔵氏が、呉服地捺染から撤退。フラットスクリーン捺染機を1台導入し、同機と手捺染で洋服地をプリントし始めた。

 慶蔵氏の長男で、3代目社長の泰之氏は、大学卒業後に大阪の婦人服アパレルに就職する。家業を継いでほしいと父に言われたことはなかったが、29歳の時に初めて打診された。アパレル会社で課長になり、仕事が面白くなっていたため悩んだが、継ぐことを決意。1990年、30歳の時に家長染工業に入社する。

 しかし、捺染業界を取り巻く環境は厳しさの度を増し続けた。同社が加盟する京都プリント染色協同組合の組合員数も、ピーク時(40年前)の80社ほどから、現在は17社に減っている。こんな事業環境の中で家長氏は2002年、42歳で社長に就任した。かつては京都や東京の生地コンバーター5、6社を回ればある程度の仕事量を確保できた。しかし、それらコンバーターが生地の備蓄から別注へ販売形態を変化させたため、受注量が不安定になり、かつ品質への要求も厳しくなった。

 手捺染は主に外注で対応していたが、職人の高齢化が進み、厳しくなった顧客の品質要求を満たすことが難しくなりつつあった。このため手捺染から撤退。オートスクリーン捺染機を追加で1台導入し、2台体制とした。

 同社はプリントする前の生地に地色を付けるためのパテイング機を1台保有している。しかし、それでは処理できない生地のプリント依頼が増えてきた。例えばポリウレタンを織り込んだ、縦横方向に延びる生地だ。これらを無地染めするために、単色用のロータリースクリーン捺染機を1台導入した。現在は、冒頭で紹介したストライプを切れ目なく捺染するためなどにもそれを活用している。

 当初はポリエステル製生地にプリントしていたが、レーヨンや綿、アセテート、ウール、アクリルなどさまざまな繊維にプリントする技術も確立した。これらの生地のプリントを1柄500㍍という小ロットでも請ける。

 新規顧客の開拓にも力を入れた。毎月発注してくれる顧客は現在、15社に達している。この中に、雑貨メーカーも含まれる。知人の紹介で同メーカーとの商談の機会を得て、1年がかりで受注に成功した。服地のプリントと異なり年間を通じて安定的に注文があり、かつ一つの品番が5年ほど続くため、同社にとってありがたい顧客を得たことになる。

 このような努力が実り、近年の加工賃収入は年間3億5千万円から4億円で安定していた。新型コロナウイルス禍で今年は厳しいが、雑貨などの非衣料分野からの受注はさらに増やせるとみて、提案を強化する方針だ。

(毎週金曜日に掲載)

社名:家長染工業株式会社

本社:京都市中京区壬生渕田町19

代表者:家長泰之

主要設備:フラットスクリーン捺染機2台、ロータリースクリーン捺染機1台、パテイング機1台

年産能力:100万㍍

従業員:23人