産資・不織布 通信 (56)

2020年12月21日(Mon曜日)

70周年の節目迎える       クラレ ビニロン事業

 クラレの「ビニロン」事業が創業70年を迎えた。1950年に世界で初めてビニロンの工業化に成功。その後、当時のクラレの資本金の6倍に相当する巨額の資金を投じて工業化を果たした。ビニロンは第2次世界大戦の敗戦で喪失した日本人の自信を回復させる契機にもなったという。

 「ビニロン学生服」や漁網用の「クレモナ万漁」などをヒットさせ、衣料用途や農水産用途で不動の地位を確立。1959年には「ビニロン」を全社売上高の半分以上を占める基幹商材へと成長させている。

 現在は繊維資材事業部がビニロンの生産・販売を担当しており、長繊維を年産1万㌧体制で、短繊維を年産3万㌧体制で展開する。

 ビニロンが持つ高強力、親水性、耐薬品性、耐候性などを生かした用途開拓を進めてきた結果、欧州を中心に世界的な使用規制が進むアスベストの代替素材としてのFRC(繊維強化セメント)用途を始めとして製紙用途、自動車用オイルブレーキホースなどのゴム資材用途などに売り先を広げていった。

 2019年は前年並みの販売量を確保できたとしているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で20年1~3月期からビニロン事業は苦戦に転じている。

 客先への訪問ができないため、今年度は電話やメールによるコミュニケーションをこれまで以上に深めるとともに、インドのような新興国へのアプローチを改めて強化し、「コロナ後のV字回復を目指す」との方針を掲げている。

 繊維径の細いFRC向けビニロンによる提案、販促を重視しており、セメントに配合する量を少なくできるメリット、補強性の良さが受け入れられ、「販売量がじょじょに伸びてきた」との手応えを示す。

 新しい製造プロセスで生産する「ビニロンVIP(Vinylon Innovative Process)」の将来性にも期待を示している。

 製造工程をコンパクト化、効率化できることが特徴。22年度からの中期5カ年計画に革新的な製造技術を織り込んだ新規設備の導入を織り込みたいとの意欲を示しており、ゴム資材用途などへのアプローチに取り組んでいるほか、FRC向け短繊維の生産も検討する。

(毎週月曜日に掲載)