小林恵介のベトナム便り(1)/注目を集め続けるベトナム

2020年12月21日(Mon曜日) 午後1時22分

 長らく「チャイナ・プラス・ワンの筆頭格」といわれ、最近では新型コロナウイルスを早くから抑え込んでいることや、菅義偉首相の初外遊先となるなどベトナムに注目に集まることが少なくない。そうした国に再び赴任した。現地の様子を今後、筆者なりの視点でお伝えしていきたい。

 既にベトナムのことをご存知の方は多いとは思うが、概況を改めて説明する。ベトナムの人口は約1億人、面積は日本から九州を除いた程度だ。国土が南北に長く、東南アジアに位置しながら、首都ハノイ市がある北部は四季がある。今のベトナムの一人当たりGDPは1970年代はじめの日本のそれと同水準だ。

 賃金水準が中国やタイよりも低く、若い労働力があり、ハードインフラが整備されつつあることなどから、2000年代初めから輸出志向型製造業の進出が進んだ。他方、裾野産業がないといわれ、ジェトロ調査では在ベトナム日系製造業の現地調達率は3割台で、中国やタイの約6~7割に劣る。ただし、印刷機器などの品目では外資の進出を中心とした部品産業の集積が見られ、最終材メーカーからは金額ベースで現地調達率6割という声が聞かれる。

 繊維分野でも「一貫生産ができるようになってきている」との評価がある。最終材の生産、輸出が大規模になることで、部品産業の集積が誘発される。大規模な生産には部品産業の集積が必要という面もある。

 今後、こうした品目が増えていくことが望まれるが、そのためには、部品産業を支える中小企業が、大企業と比較して人員体制が小さいながらも事業運営を円滑に行える投資環境整備がより重要になる。

 ベトナムの魅力の一つとしては市場の成長性も挙げられ、日本からの投資件数に占める非製造業の割合は増加している。商業都市ホーチミン市を中心にイオンモール、ファミリーマート、最近ではマツモトキヨシといった企業が進出している。実は、ベトナムの名目GDPは2600億ドルで、埼玉県と神奈川県の間の規模しかないが、2000年から約8倍となっており、小売産業の売上高は約20倍となった。

 もちろん、日本と異なる法制度・運用、商習慣などにより一筋縄ではいかない面はある。しかし、製造業にとっても非製造業にとっても、注目すべき点が多いのがベトナムと言ってよいだろう。

 素材産業の成長も目覚ましく、中国に次ぐ第2の繊維大国の道を歩むベトナム。日本貿易振興機構(ジェトロ)ハノイ事務所の小林恵介次長に、そのリアルな姿をリポートしてもらう。毎月第3月曜日に掲載予定。

こばやし・けいすけ 日本貿易振興機構(ジェトロ)ハノイ事務所次長。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。2003年ジェトロ入会の後、熊本事務所、ハノイ事務所、海外調査部アジア大洋州課などを経て20年8月より現職。『世界に羽ばたく!熊本産品』(単著)ジェトロ、07年、『分業するアジア』ジェトロ、16年(部分執筆)などの著書がある。