メーカー別 繊維ニュース

クローズアップ/東レ ファイバー・産業資材事業部門長 平井 正夫 氏/下半期からプロジェクトI

2020年12月22日(Tue曜日) 午後1時18分

 6月の組織再編でファイバーと産業資材を合体させ、新部門に再編した東レ。相乗効果の発揮を目指していた矢先の新型コロナウイルス禍で、2020年度上半期は両事業とも苦戦を強いられた。新規サプライチェーンを開拓するため、下半期から新しい取り組みに着手しており、好調へと転じたエアバッグなども含め近況を聞いた。

  ――上半期はどうでした。

 ファイバーも産資も新型コロナ禍の影響をまともに受けました。ファイバー事業ではナイロンがもっとも苦戦を強いられ、拡大を続けてきたエアバッグは衣料繊維以上に苦しかったです。

  ――回復の兆しは感じられますか。

 第2四半期を底に第3四半期から回復基調へと転じました。特に、自動車業界が8月から復調し、この時点から自動車関連の商材は供給が需要に追い付かない状態になっています。当社の場合、特にエアバッグ関連が好調で、国内外に展開する原糸、エアバッグ布、縫製の全工場がフル操業へと転じています。

  ――衣料繊維はいかがですか。

 ポリエステルにはじわじわと引き合いが戻ってきていますが、産資ほどの勢いは見られません。ナイロンでは、レッグ、インナーなどがまだ低迷しています。しかし、この冬は例年ほど暖かくなくSPAを中心に店頭が動いていますから、来年にかけての仕込みには期待できます。

  ――マーケットをどう掘り起こしていく。

 下半期から長繊維、短繊維、産業資材の3事業部が25のプロジェクトに着手しました。プロジェクトI(イノベーション)と名付けています。当社は糸やわたをお客さんに売ってきましたが、お客さんのところから前に物が流れない。じゃあわれわれが売っていきましょう、ということです。サプライチェーンの前に出ていくことで多くの情報が集まってきます。開発や販促に反映させ、次の新商品として具体化する好循環を狙っていきます。国内を主力とするある産地のお客さんのスペースが空いていました。国内が厳しいのなら、当社が構築してきた海外の販路に物を流す。その役割をわれわれが担います。

  ――この間、エアバッグ事業が右肩上がりを続けてきました。

 現状は全拠点が巡航速度以上で走り続けています。しかし、市況が一気に回復した分、いつかは揺り戻しが起こります。20年度からの中計では、この間の設備投資の刈り取りに重点化します。縫製にも進出したことで、お客さんからはチュニジア以外にも縫製で進出してほしいとの要望が寄せられています。まだ決めていませんが、消費地に近いところで縫製するのがいいに決まっています。今、業界からの注目を集めているのはベトナムです。