メーカー別 繊維ニュース

北陸産地(2)/新しい市場の形に対応

2020年12月22日(Tue曜日) 午後1時22分

〈糸販売は9割に回復/北陸品の出口作りに注力/蝶理〉

 蝶理の繊維事業は今上半期(4~9月)、セグメント利益18億円で前年比8・3%減にとどめるなど健闘した。組織変更による一体運営の強化や横断型で取り組むさまざまなプロジェクトの推進などが寄与した。

 今上半期は衣料が低調だったが、衛生材料など資材分野が堅調に推移した。今下半期は資材をさらに伸ばす考えで、「人員も商品群も拡充している」(吉田裕志取締役繊維事業本部長)という。不織布、織・編み物とも拡大を狙い、生活資材、車両資材、土木資材、衛生材料などに力を入れる。

 新型コロナウイルス禍による商流の変化やグローバル展開への対応も強化する。原料から製品までの一貫体制をさらに強化し、顧客の要望に応じた段階で供給する体制を強化する。海外拠点を有効活用して、デリバリー管理や技術フォロー、パートナー企業との協業など各面の取り組みを強化する。

 衣料繊維では今下半期、北陸産地との取り組みによるテキスタイル開発をさらに強化するとともに、北陸産地品の出口づくりを加速する。現在、スポーツや資材など各分野で出口づくりを強化しており、新たな成果も出てきているという。

 北陸産地への原糸販売は9、10月と回復し、足元では前年比10%減の水準に戻った。自動車関連だけでなく、その他の分野でも回復しているという。原糸は300品種をそろえてさまざまな要望に応える形にしており、通常糸だけでなく、高伸縮糸「テックスブリッド」や環境配慮型素材群「エコブルー」、PIN仮撚糸など差別化糸への注目も高まっている。

 サステイナブルの流れもあって注目が高いエコブルーはリブランディングを行い、展開商品を拡充した。エコブルーを冠ブランドに、マテリアルリサイクルポリエステルの「ファースト」、反毛やケミカルリサイクルなどの「ループ」、漁網からの再生ナイロンの「オーシャン」、植物由来素材の「アース」の4シリーズを設け、サステ素材を幅広く扱う形とした。

 エコブルーファーストは糸種も広がり、バージン原料でできるほぼ全ての糸種を可能とする。来年初めには協業先のウツミリサイクルシステムズ(大阪市中央区)で最新のリサイクルペレット押出機を稼働させ、さらに品質・品位を高める。

〈北陸への発注は回復へ/衣料は新しい市場へ対応/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンスの繊維事業は、繊維資材のさらなる拡大に注力するとともに、衣料繊維は新しい取り組みで売り上げ維持を狙う。特に「車両」「防災」「安全」「ヘルスケア」「エコ」を重点分野に位置付けて拡大を狙う。

 繊維資材は不織布、テキスタイルとも伸ばす。今上半期(4~9月)は既存分野が堅調に推移するとともに、マスクや防護服などの特需もあり、前期の年間利益を上半期だけで超えた。下半期は車両やフィルター関連などが堅調と見通すほか、人工皮革「ラムース」も家具用途などが回復。ジオテキスタイルも好調を維持し、協業する織布工場を増やして対応している。

 一方、衣料繊維の今上期は、裏地、アウター、インナー、レッグ、スポーツなどが苦戦した。今後は商品・販売を変えながら新しい市場に対応していく。強みであるテキスタイルの開発に注力し、製品と連動して一貫ビジネスを追求する。

 今下半期の北陸産地への発注は上半期よりも回復させる。ニットは上半期も堅調だった丸編みが上半期比10%増となり、インナーが回復基調にある経編みは1~3月から回復して同20%増とする計画。織物は裏地が横ばいとみるが、アウターやスポーツは上半期比20~30%増やす方向で動いている。10~12月は国内向けに回復が見られ、海外向けの取り組みがポイントになる。

 撚糸は厳しく見通すが、仮撚りはスポーツやインナーと連動して20~30%増やし、ベンベルグを使った複合仮撚りは30%以上増やす方向で取り組む。環境配慮型素材の「エコセンサー」も増やす。

 エコセンサーは好調に推移しており、各素材が注目を高めている。スポーツに続いてアウターやインナーなどでも新たな案件が増えているという。今後はベンベルグとジアセテートを主力にさらなる拡大を狙う。ジアセテートは今期の糸販売量が前年比50%増となる見通しで、来期はテキスタイル展開を含めて大きく伸ばす。

 電子商取引(EC)の拡大にも取り組む。「住ごもり生活」は現在11アイテムを展開するが、今後はアイテムを拡充するとともに、会員制交流サイト(SNS)の活用も増やしてさらなる拡大を狙う。

〈第3Qは前年並みに回復/新しい商流を作る/一村産業〉

 一村産業の今上半期(4~9月)は厳しい形で推移したが、10月以降は回復に向かっている。10~12月の事業利益はほぼ前年並みに回復しており、売上高は前年比約15%減だが、コスト削減や高付加価値化で利益率が向上している。通期での事業利益は一昨年を上回る見通しだ。

 繊維は、全体として回復しているが、前年比では減収となる見通し。10~12月で堅調なのが中東向けだが、ラマダン商戦が昨年より前倒しされていることも背景にある。ユニフォームは当初計画通りで、上半期に厳しかった企業別注も引き合いが前年並みに回復。旗幟は7~9月が前年比約40%減と厳しかったが、20%減にまで戻った。

 2021年の市場環境は「最悪期は脱したが、右肩上がりではなく浮き沈みを繰り返しながら回復していく」とみる。従来型の事業は成長が望みにくいとみて、新しい販路、サプライチェーン(SC)、商品への取り組みをさらに強化していく。

 新しい販路、SC、商品を作っていく上で、北陸産地との取り組みをさらに強化する。生産拠点を多極化する中でも、仕入れにおける北陸産地の比率は変わっておらず、特に機能性を訴求する商品は北陸産地品が主力となる。

 新しい商品では、機能性やサステイナビリティーなどを視点に開発を加速する考えで、「さまざまな人たちと一緒に、産地品を売るための新しい仕掛けを始めている」とする。一方で定番品については、「競争力のないモノを延命するのは本筋ではなく、産地とともに競争力を付けていくことが重要」とする。同社の幅広い原糸調達網を活用してもらうとともに、生産効率を高めるための発注の仕方や設備にも踏み込み、産地と一体となって競争力を高める。

〈再生セルロース系に注力/価格・納期対応を強化/広撚〉

 広撚の今上半期(6~11月)は新型コロナウイルス禍の影響を受けた。下半期も市場環境は厳しい状況が続くとみて、体質強化に向けた手を打つ。

 今上半期は前半に苦戦したが、9月ごろから回復に向かい、11月は単月黒字となった。足元では糸価格の上昇もあってトリアセテート品は動きが鈍いが、アセテート系は安定して推移し、資材関連も戻ってきた。ただ、市場環境は当面厳しい状況が続くとみており、商品開発や対応力の強化に取り組む。

 新しい市場に対応する商品の開発を強化する考えで、藤原宏一社長は「マーケットを見て、一歩先を考えたモノ作りが必要」と話す。例えば現在は中肉以上の商品が多いが、フェミニン・薄地化の流れに対応する開発を強化するほか、カジュアルな快適素材なども深耕する。

 サステイナブル素材にも力を入れる。特にトリアセテートやジアセテートなど再生セルロース繊維に注力する考えで、「レディースだけでなくメンズでも使われるようになっており、市場の流れに対応した開発ができれば充分にチャンスがある」とする。

 再生ポリエステル糸を使った素材開発にも力を入れる。従来商品を再生糸に置き換える作業を進めてきたが、現在はリサイクルの差別化糸を使った開発に取り組んでいる。

 顧客の要望を反映したモノ作りだけでなく、自ら発信する開発も強化していく方針の中、従来よりも買いやすい価格帯の商品も強化して顧客の選択肢を広げる。モノ作りを一から見直して合理化を図り、独自の特徴を持たせながら価格対応力のある商品を開発していく。

〈サステ素材の開発を加速/来年春までフル稼働へ/第一織物〉

 第一織物は前期(20年11月期)、売り上げは昨年に届かないものの、利益は確保した見通しだ。新型コロナウイルス禍収束後を見据えて手を打っていることもあって、織機はフル稼働を続けており、少なくとも来年春までフル稼働を続ける計画だ。

 市場環境は新型コロナ禍の影響を受けるものの、足元では国内に動きが戻り出し、アジア向けも回復するなど明るい兆しも見えつつある。ただ、吉岡隆治社長は「市場環境は少なくとも21年前半まで厳しい状況が続く」とみており、来期に向けてサステイナブル素材の開発や春夏向けの強化などの手を打つ。

 市場でQRへの要望が高まり、無駄のないモノ作りへの機運が高まる中、欧州向けにも実績を持つ特徴ある生地をそろえる備蓄販売への注目が高まっている。今後は色数だけでなく、品種も拡充する考えで、国内向けだけでなく中国や韓国などアジア向けでもニーズが増えるとみる。

 来期は特にサステイナブル素材の開発に力を注ぐ。これまでは同社の特徴ある商品を、再生糸や植物由来素材に置き換える取り組みを進めてきた。ポリエステル織物では既に置き換えを完了しており、今後は「再生糸を使った新しい商品の開発を進めていく」とする。ナイロン織物においても糸メーカーの動向を見ながら、再生糸使いの開発を進めていく。

 秋冬のアウター生地だけでなく、春夏向けの開発も強化する。吉岡社長は「合繊の特徴を生かし、インナーに近付いた領域での開発も強化している」とし、薄手のセットアップや春夏のワンピース向けなどを開発した。

 来期は親会社であるニッケとの相乗効果も追求していく。販売だけでなくモノ作りの面でも連携していく。

〈ECのアイテム拡充/WJLを広幅化/前多〉

 今年に90周年を迎えた前多の今上半期(6~11月)は、インテリア用途が健闘したものの、ファッションや中東向けなどその他の用途は新型コロナウイルス禍の影響を受けた。その中で電子商取引(EC)は前年比約2倍に伸びており、今後はさらにアイテムを拡充していく。

 ECはマスクに続いてエコバッグを開発し、今月から販売を始めた。素材に17デシテックスのリップを使い、コンパクトに収納できるなど「軽くて強く、持ち運びに便利」な商品としている。色はダークグレーとスケルトングレーをそろえ、価格は1100円(税込み)。

 先に商品化した再帰反射シート付マスクは、日照時間が短くなる中で通園・通学時の交通事故防止などの面からも注目されている。受験生にも使ってもらうようこのほど地元の中学校に200枚を寄贈した。デザインも広げ、福井県の恐竜キャラクター「ジュラチック」に続き、石川県のご当地キャラクター「ひゃくまんさん」との協業品も販売している。

 織布子会社の稼働は底堅く推移する。エアジェット織機とウオータージェット織機(WJL)を持つ前多工業は最悪期も85%の稼働を維持し、足元はフル稼働に戻っている。WJLの鹿島テックス、レピア織機のネオテックスも底の時点で80%稼働を維持した。

 前多工業では来年春に設備を更新する。新型コロナ禍で受注が苦戦した織機を廃棄し、資材用途を強化するために広幅で汎用性の高い機種を入れる形で、WJL15台(100㍉幅7台、150㌢幅・ドビー8台)を出し、新たにWJL13台入れる(全て津田駒工業製)。導入するWJLは230㌢幅(ドビー)1台、210㌢幅(ドビー)12台。ビーミングは2万5千本まで可能とする。来年5~6月に据え付けを完了し、来期(22年5月期)から稼働させる予定。

〈マスクで落ち込みカバー/シルクを軸にB2C/小杉織物〉

 小杉織物は新型コロナウイルス禍で柱の浴衣帯の生産が前年比95%減に落ち込んだが、マスクのネット販売がその落ち込みをカバーしている。

 織機65台のうち8台がレピア織機で、残りは細幅のニードル織機。金銀糸も使いながら多色の緯入れに対応するため、近年はドルニエを中心に、電子ジャカード(ストーブリ)搭載のレピア織機を拡充してきた。浴衣帯の生産はまだ回復していないためニードル織機は止まったままだが、レピア織機はマスクの生産で忙しい状況が続いている。

 国内シェア90%という浴衣帯は新しいデザインを年に千柄打ち出し、5千柄をそろえるショールームを持つ企画力が特徴。マスクも新デザイン・企画を次々と打ち出して、新鮮さを保つ。今春にマスクの展開を始めたが、現在までに850種類の商品を開発。早朝に思いついたアイデアはその日の夕方までに試作品を完成させ、夜にはサイトに掲載するというクイックな対応で品種を増やしてきた。販売はピーク時からは落ち着いたものの、足元も1日に4千個を自社で一貫生産し、袋詰めまでして出荷する。

 今後はマスク以外の商品も展開していく考えで、枕カバーやシーツ、パジャマなどを開発した。小杉秀則社長は「新型コロナで浴衣帯は大きく落ち込んだが、結果的にやりたかった方向に進むことができた」とし、シルクを軸にB2Cビジネスをさらに強化していく考えを示す。

〈F2Cビジネス推進/設備は年内フル稼働へ/カジグループ〉

 カジグループは織物、ニットとも年内にフル稼働に回復する。ただ、昨年は外注も使って対応していたため、受注ベースでは新型コロナウイルス禍前の80%強の水準となる。

 生産は8月を底に回復している。織物は単月で30%稼働まで落ち込んだが、10月から受注が戻り出した。7~9月は平均して50%稼働だったが、アウトドア全般が回復して10~12月は毎月10~20%稼働が上がり、年内にフル稼働となる。ニットは7~9月が50%稼働となったが、インナーやスポーツの回復で年内にほぼフル稼働となる。

 仮撚り加工は7~9月も70%稼働を維持したが、年末にかけて90%稼働を見込む。繊維機械は引き続き堅調で、自動化・省力化や試験開発のための機械がけん引する。

 製品事業はトラベルブランド「トゥー&フロー」が新型コロナ禍の影響で前年比30%減で推移するが、メンズの「ティモーネ」「K3―B」は順調に推移する。ティモーネは11月に金沢市・香林坊の大和にも出店しており、香林坊の直営店とのシナジーも出ているという。

 今後はファクトリーブランドをさらに強化し、消費者に直接アプローチしていくF2C(ファクトリー・トゥ・コンシューマー)ビジネスを加速する。梶政隆社長は「工場を持っていることがメーカーの強み。工場の魅力、モノ作りの魅力を発信していく」とする。現在、製品3ブランドのほか、テキスタイルブランド「カジフ」やマスクの五つのサイトを開設しており、各サイトで登録会員が順調に増えている。これを消費者との接点として生かし、マーケティングを強化する。商品面では炭素繊維やウェアラブルなども含めて、「繊維で暮らしに貢献する商品」の開発を加速し、F2Cビジネスを強化する。

 生地開発ではサステイナビリティーを重視し、9月からサステイナブル委員会を設置して取り組みを進めている。リサイクルや植物由来素材による開発を強化しているほか、リサイクル認証のGRS取得にも動いている。

 非衣料用途の生地開発も強化しており、工業資材を含めて取り組みが始まっている。

〈先を見据えた開発を/SC内の連携強化/松文産業〉

 松文産業は、開発機能のさらなる強化を重視し、技術力、機動力をさらに高めていく。各工場の特徴を生かし、主力の中肉厚地を強化するとともに、新たな用途開拓にも取り組む。

 同社は1890年に創業し、今年で130周年を迎えた。織布の本社・勝山工場と鶴岡工場(山形県鶴岡市)、仮撚加工の栗東工場(滋賀県栗東市)の3拠点を持ち、糸加工から織布までの一貫生産体制を敷く。足元では栗東工場が新型コロナウイルス禍の影響を受けているものの、織布2工場は7~9月、10~12月とも一定水準の稼働を維持しているという。

 織布2工場は、これまでの開発の成果が出ている形で、今後も合繊メーカーや染色加工場などとの連携を強化しながら、これまで以上に開発に力を入れる考えだ。

 かつては厚地アウターが柱で10~12月に生産が集中する傾向があったが、この5~10年で厚地アウター以外の用途も広がり、各工場の生産も平準化した。衣料用途だけでなく、約10年前から取り組んでいる資材用途の開拓も進み、足元の稼働につながっている。

 小泉社長は「全てのベースは技術であり、これを常にブラッシュアップ、高度化していくことが重要」と話し、先を見た開発を継続していくことが重要との考えを示す。今後はさらにスピードが求められるとみられることから、サプライチェーンの中での連携を重視しながら機動力をさらに高めていく。新たな用途開発も重視し、新型コロナ禍による市場の変化に対応する開発に注力する。

〈オンデマンド事業伸びる/トータル競争力強化/丸井織物〉

 丸井織物の今期(20年12月期)は7~9月を底に回復し、10~12月の稼働は約70%にまで戻っている。輸出などが戻ってきたためで、来期はスポーツ、カジュアル、ユニフォーム、資材など各用途で競争力強化を図るとともに、用途の多様化に取り組む。

 「Up―T」などデジタル技術を活用したオンデマンドビジネスは引き続き好調で、前年比約20%増で推移する。来期はテキスタイル事業と連携しながら、用途・素材を広げていく。現在はTシャツやスマートフォンケース、トレーナー、のぼり旗、バッグなどサイトを増やしており、100サイトを目指してマスカスタマイズ、オンデマンドを視点にした事業を拡充する。今年はブランド家具の販売サイト「NESTデザイン」を買収しており、衣料以外を含めて展開を広げる。

 織布では、各工場のコスト競争力強化やリードタイプ短縮などトータル競争力をさらに強化する。市場でさらなるQRが求められるようになるとみられる中、リードタイム短縮にも取り組む。倉庫精練との連携強化や原糸調達を含めて情報の共有化をさらに進め、納期短縮を図る。各工場の合理化にも取り組み、70~80%の生産でも利益を出せる体制を作る考えで、自動化などを視点にした設備投資なども検討していく。現時点で織機の約70%が一機で生産品種を入れ替えるアジリティ生産を実現しているが、千台全てができる体制を追求していく。

 7月にサステナビリティー委員会を設置するとともに、「丸井織物 サステナビリティ・ビジョン」を策定して取り組みを進めている。この中で環境配慮型素材の開発も強化している。足元ではPLAが注目を集め、再生糸使いも増えている。

 推進中の中期計画は、新型コロナウイルス禍の影響を反映して見直す。オンデマンドビジネスの強化など「X―TECH(クロステック)で次世代のモノ作り・事業創出を目指す方向性や、最終年度の数値目標は変えないものの、新型コロナウイルス禍の影響を考慮し、達成までの期間をずらす方向で策定を進めている。

〈光ファイバー織を改良/新規用途にも挑戦/大喜〉

 大喜は、主力のカーシート地の基盤を固めるとともに、新しい用途に向けた織物開発を強化する。新しい糸の使用、織組織、デザインなど各面から開発を進め、新しい織物・用途を創出していく考えで、光ファイバー織物のさらなる改良により自動車以外の用途も開拓するほか、緯糸に銅線を使った織物など新しい織物の開発にも取り組んでいる。

 主力のカーシート地は回復基調にあり、開発案件が増えるとともに、生産も戻ってきた。糸不足の問題はあるが、生産は10月ごろから上向きだし、12月から本格的に回復する見通しだ。

 ただ、新型コロナウイルス禍の第3波など市場環境の不透明感を増していることから、「21年についても楽観はしていない」(山本岳由社長)とし、開発をさらに強化していく考えを示す。自動車産業ではウイルス対策、自動運転化、石油から電気や水素への転換、小型車・SUV・ミニバンなどの流れがあり、新しい市場の形を見据えた開発を加速する。

 光ファイバー織物の新規用途開拓にも取り組む。まずは自動車の自動運転化に寄与する商品として天井材に採用されたが、今後はインテリアやサインディスプレーなどさまざまな用途にも広げていく考え。使用シーンによって求められる光り方なども変わるため、各用途に応じた改良に取り組んでいる。新しい機能の付与や見た目の面白さなどさまざまな視点から開発を進めている。新たな用途を探索するため、11月16~12月11日にオンラインで開かれた「メッセナゴヤ2020」にも出展した。

 光ファイバー織物以外でも新商品開発に取り組む考えで、「いろんな糸を使って新しいモノを作っていきたい」とする。例えば銅線を使った織物などを試作中。銅線を使った織物は電気を通して発熱させるなどの使い方を想定している。

〈機能加工で新用途開拓/衛生加工にも注力/東洋染工〉

 東洋染工の今期(21年2月期)は新型コロナウイルス禍の影響を受けているが、6月を底に回復に向かっている。ただ、当面は既存市場が完全に回復することは難しいとみており、独自の機能加工のさらなる拡大に取り組む。

 最も新型コロナ禍の影響が大きかった6月は稼働率が50%になったが、その後は徐々に回復に向かった。7~8月は60%、9~10月は70%に回復し、11月は80%の水準に戻った。インナー用途は新型コロナ禍の中でも落ち込みが少なく安定して推移しており、足元では車両用途も回復している。寝装やインテリアなども動き出した。その一方で3層ラミネートなどアウトドア用途は他に比べて回復が遅いという。

 今後は引き続き独自の機能加工の拡大に取り組む方針で、快適加工「アクアホール」や防汚加工「ヒシード」などの新規用途開拓に注力する。油汚れを水洗で簡単に除去できるヒシードは、インナーなどで注目を高めており、抗菌・抗ウイルス加工と組み合わせた開発なども進めている。

 アクアホールは凹凸をつけた生地の凸部に撥水(はっすい)加工を施し、ベースの生地には吸水速乾機能を持たせた商品で、衣料品以外の用途でも注目を高めている。例えばマスクの肌に触れる面をアクアホールとし、化粧品が付いても落ちやすく、マスク内の蒸れも軽減する商品などが出ている。福井県内の縫製企業と連携してコースターを制作するなど新しい用途の開拓に向けた取り組みを進めている。

 今後は衛生加工にも力を入れる考えで、ニーズが高い抗ウイルス加工の開発も進めている。

〈プリントが拡大基調/アイテム拡充で自販強化/テックワン〉

 テックワンの前期(20年10月期)は新型コロナウイルス禍の影響を受けて減収だったが、コスト削減などに注力して黒字を確保した。今期は自販の強化や機能加工の開発、プリントの拡大などに注力し、売り上げの回復につなげる。

 今年は3月から新型コロナウイルス禍の影響が出始め、5~6月は前年比60%減、7~9月は同20%減となった。売上高はこの数年、34億~35億円で推移していたが、前期は25億円になった。

 今期は自販の強化やプリントの拡大などで売り上げを回復させる。11、12月は前年比増に回復しており、切り売りや感染防止対策関連がけん引しているほか、受注が止まっていたカジュアル用途にも動きが出てきた。ただ、1月以降は不透明感が強く、他の染工場との協業も進めながら自販強化や機能加工の開発などに取り組む。

 今期は主力のスポーツ用途は20~30%減と慎重にみる一方、プリントは拡大を見込む。国内でのプリント生産が縮小する中で、特にナイロンへの加工ができるところが減っていることも背景にある。

 プリントはかつて6台を24時間稼働させていたが、現在はフラットスクリーン3台の体制になっている。一時期は月1500疋とピーク時の約20分の1となったが、今期は月5千疋まで回復するとみる。

 受託加工の顧客とバッティングしない形で自販も伸ばしていく。足元では洗える傘の新アイテムの開発に取り組んでいるほか、医療用ベッドマット「メディマット」も拡大を狙う。独自の透湿防水膜によるラミネート素材「ルストレEPX」を使ったメディマットは防護服やシーツ、フットケア用マット、枕などアイテムが広がっており、「今後は健常者向けも視野に入れて展開を広げていく」(北市幸男社長)とする。