明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(95)

2020年12月25日(Fri曜日)

異業種連携で成長目指す  金井レース加工

 インナー用レースの染めを主力としながら、さまざまな取り組みに挑戦している染工場が群馬県桐生市に存在する。1980年創業の金井レース加工だ。肌ケア商品販売会社などの異業種との連携も目立ち、金井雄一代表(72)は「独自加工を生かしながらヘルスケア分野の深耕を狙う」と話す。

 織物会社の染色部門などで技術を磨いてきた金井氏が32歳で立ち上げた。「当時は仕事があふれており、独立してほしいという周りの声が多かった。それに背中を押される形」だった。ブラジャーやショーツに使われるラッセルレースの染色をメインとし、約90%を占めている。

 インナー(ファンデーション)の生産が海外に移る中、受注数量は減少基調をたどってきた。2020年は大手小売向けが順調に推移したことで加工数量は前年と比べて2、3割増えた。ただ「レース染色に続く柱が必要。異業種との連携にも前向きに取り組むことで新分野・新領域への進出を目指す」と強調する。

 法定色素の活用など、独自性のある染色や加工を強みと位置付けている。法定色素は厚生労働省が定めた医薬品や食品などに使用できる有機合成色素を指し、高い安全性を持つと確認されたものが該当する。繊維への応用は難しいが、天然コラーゲンの利用などで色むらの抑制や定着性を高めることに成功した。

 加工では、昆布から抽出した成分を用いたアルギン酸カルシウムコーティングを、群馬県立産業技術センターの協力を得て開発した。この加工は吸水性や保湿性を高めることができ、前橋市内の会計事務所と組んで同コーティングを施した傷パッドの展開(販売は会計事務所)を始める。

 同富岡市の肌ケア商品販売会社であるシルク工房GMとの連携も進めている。富岡シルクブランド協議会会員の同社が富岡市で生産された繭を購入して自ら製糸(セリシンは落とさない)し、この糸をふとんのわたのように重ねてシート状にしたネックウオーマーを作った。

 織物でも編み物でもないが、ストレッチ性を持ち、端を縫い上げれば繊維はほつれない。ネックウオーマーのほか、ストールなども展開する。現状は1日数枚しか生産できないが、増産は可能とし、アイテムも順次増やす。金井レース加工はアルギン酸カルシウムコーティングで付加価値を高める。

 同社は染色機に加えて、裁断機3台とミシン10台弱を保有し、マスクやマスクカバーといった商品も製造・販売している。今年1月に開催された群馬県観光物産展でマスクを販売していたところ、同展に出展していたシルク工房GMとつながりができた。(毎週金曜日に掲載)

社名:金井レース加工

本社:群馬県桐生市広沢町

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代表者:金井 雄一

主要設備:液流染色機9台、パドル染色機1台、ロータリー染色機1台など。

月産能力:約3万㍍(レース)

従業員:10人(裁断、縫製を含む)