メーカー別 繊維ニュース

特別インタビュー/東レ 日覺 昭廣 社長(後)/中経を着実に進める

2021年01月05日(Tue曜日) 午後1時3分

  ――東レは昨年に中期経営課題をスタートしました。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は小さくありませんでした。繊維事業は、医療用白衣地やマスク用途で不織布の需要が伸びましたが、衣料用途は厳しい状況でした。緊急事態宣言発出に伴う店舗休業などが響いた形です。産業用途も自動車関連で販売数量を落としました。

 大きな苦戦を強いられたのが炭素繊維複合材料事業です。民間旅客機のビルドレート減少が痛手でした。航空機は回復に時間がかかりますが、このまま需要がなくなることはありません。むしろ2023年以降に“爆発的”な回復を見せると予想しています。燃費向上などが求められるからです。

  ――2年目の21年度はどのあたりに重きを置きますか。

 新型コロナ禍が続いていますが、中期経営課題の中間点ですのでしっかりと進めます。特に地球環境や資源・エネルギー問題の解決に貢献するグリーンイノベーション事業、健康長寿社会の実現などに寄与するライフイノベーション事業は世の中に求められているので、最重要であることに変わりはありません。

 20年に苦戦した炭素繊維複合材料事業は、コスト削減を図りながら、需要が拡大している風力発電機翼用途や燃料電池自動車の水素タンク向けなどを増やします。ほかにエアバッグやポリプロピレンスパンボンド不織布、RO膜など、投資を終え、成長が期待できる事業も少なくありません。

  ――環境配慮への対応はどのように捉えていますか。

 サステイナブルは世界の大きな流れです。18年7月に「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」を策定しました。ビジョンには「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループの取り組み」と「2030年度に向けた数値目標」を盛り込んでいます。

 繊維事業では古くから環境対応に取り組んできました。個社だけではなく、社会全体が一つになって推進する必要がありますが、サステイナブル社会の実現を目指すための事業ブランド「&+」(アンドプラス)にも注目が集まっています。大量生産に伴う衣料品の廃棄問題については「売り切る」ことが重要になるのではないでしょうか。

(おわり)