日中間の貨物輸送/運賃高止まり、一部遅延も/日本製の中国内販の足かせに

2021年01月06日(Wed曜日) 午後1時1分

 国際貨物輸送が新型コロナウイルス禍の影響を受け、混乱している。日中間も海運、航空運賃とも高止まりが続き、一部では遅延も発生した。日本製生地などの中国内販の足かせになる可能性があり、生地商社などが注視している。(岩下祐一)

 新型コロナ禍に端を発したコンテナ不足により、海運が大きな混乱に見舞われている。中国発北米向けの海上運賃は従来、40フィートコンテナ約2千ドルだったが、昨年は2倍、3倍と値上がりが続き、今年は1万ドルを超えるといわれている。「これほどの高騰はこの30年で初めて」と日系運送会社関係者は話す。

 昨年2月、新型コロナの感染が中国から世界各国に広がる中、船会社各社は海運需要が低迷することを見越し、コンテナをリース会社に一斉に返却した。これらコンテナの一部は廃棄された。

 ところが5月から中国経済が回復し、海運需要が戻ったことで輸送スペースがひっ迫した。中国から欧米に運ばれたコンテナは新型コロナ禍の混乱で荷さばきが遅れ、現地の港に滞留、コンテナ不足に拍車が掛かった。

 日本発航路にも大きな影響が出ている。昨年11月から船会社の多くがコンテナ不足を理由に日本発の新規貨物の引き受けを停止。「船会社は利幅が大きいアジア発欧米向けを最優先している。日本での荷積みの時間を惜しみ、コンテナを空のまま中国などに運んでいる」と業界関係者は明かす。

 日本発の海上運賃は「航路によって状況が異なる。コンテナ不足が最も顕著な華南地区向けは(平時の)約15倍。華東、華北向けはそれほど上昇していない」と安田中倉国際貨運代理〈上海〉の吉田謙太郎総経理は語る。

 航空輸送運賃も高止まりが続く。昨年のピークは、中国の工場が稼働を再開した3月だった。その後やや落ち着いたものの、現在も平時の約3倍の水準で推移している。

 背景にあるのは、新型コロナ禍で旅客便がほぼなくなったことだ。平時の航空貨物輸送は、旅客便と貨物機の使用率がおおよそ半々だったが、コロナ禍後はほぼ全て貨物機になった。上海の浦東国際空港から日本各地には毎日、平時に比べ2倍の約20機が飛ぶ。ただ中国経済の回復で旅客便の激減をカバーするには至っていない。航空会社の稼ぎどころが貨物便しかない点も、運賃の高止まりの要因になっている。

 上海市政府は昨年11月、浦東国際空港の貨物センターの従業員が新型コロナに感染したと発表。感染源は海外から輸入した貨物だとし、全貨物の消毒を開始した。「この混乱で一時、最長で2週間の遅れが生じた」と大手物流会社関係者は述べる。現在も全貨物の消毒が続き、平時に比べ半日ほどの遅延が生じている。

 生地商など日本製素材の中国内販を手掛ける日系繊維企業にとっては、こうした混乱は頭痛の種だ。ネット通販シフトで顧客の短納期ニーズが高まるが、この1、2年ただでさえ日本の産地の生産キャパシティーの縮小などで納期遅れが生じていた。国際輸送の混乱が続けば、内販の足かせになりかねない。

 「空輸の値上がりは売値に転嫁できている(双日ファッション)、「海運を使っているが遅延はない」(桑村繊維)など、今のところ大きな影響は見られないが、多くの企業が動向を注視している。