明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(96)

2021年01月08日(Fri曜日)

織物産地でニット糸主力 藤原染工

  兵庫県西脇市を中心とする播州織産地。国産先染め織物の7割近くを作るこの産地で染工場と聞けば、多くの人は先染め織物用の糸を染める工場と思うに違いない。ところが、藤原染工はさにあらず。糸染めではあるが、その用途のほぼ全てが靴下などのニット製品に使われるものだ。主力は糸商社の三山(大阪市天王寺区)が扱うニット用先染め糸。

 なぜ先染め織物の一大産地にニット糸の染工場があるのか。その理由は播州織産地が戦後から高度経済成長期を経て、世界中に高品質の先染め織物を供給する大量生産に適した産地へと進化していく過程にある。

 「全盛期には染工場だけで産地に40社以上ありました」と振り返るのは3代目の藤原祥文社長。「戦後、産地で右肩上がりに生産量が増えるにつれて、他の染工場ではチーズ染色機から大量生産に向いたビーム染色機に切り替えていきましたが、その時期に弊社は資金繰りが悪化しておりビーム機を入れることができなかった」と明かす。

 産地の発展とともに、染工場が特定の大手紡績と組んで業容を拡大するようになったという商流も行く末を左右した。「ここはクラボウの糸、あそこは東洋紡の糸……大手紡績は産地のどこの染工場を使うかを固定していました。うちはカネボウの糸を染めていたんです」

 ビーム染色機への切り替えができず、カネボウからの発注は時代の流れで急速に先細る中、1980年ごろに新たなパートナーとなったのが糸商の三山だった。チーズ染色機で新たな顧客が欲しい藤原染工。糸在庫を抱えられる倉庫を持ち、短い納期で納めてくれる染工場を探していた三山。お互いに必要とする相手だった。

 それ以来40年間、藤原染工の先染め糸の売り先は三山が主力となっている。西脇市の同社の商品センターでは三山の定番の糸を在庫して必要な時にはチーズ1個単位で出荷できる体制を整える。「もし弊社がカネボウとずっとパートナーだったら今、会社はなかったかも知れません」。実際、平成に入って大手紡績は産地での生地調達を大幅に減らし、その影響で廃業した染工場は多い。「私たちはニット糸を必要とする取引先がメインになったので皮肉にもこの織物産地で生き残れたんです」。

  (毎週金曜日に掲載)

社名:藤原染工

本社:兵庫県西脇市和布町

187-4

代表者:藤原祥文

主要設備:高温高圧チーズ染色機25台、日阪高圧乾燥機2台、IHI貫流小型ボイラー6台

年産能力:1200㌧

従業員数:25人