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激変にどう対応する アパレルトップインタビュー2021(1)/オンワードホールディングス社長 保元 道宣 氏/「23区」で生産リードタイム短縮/守りから「攻め」へ転換

2021年01月18日(Mon曜日) 午後1時5分

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大が衣料品消費に甚大な影響をもたらした。電子商取引(EC)の拡充など、消費者との接点を増やす取り組みも必須になってきた。アパレル企業は新型コロナ前から不採算店舗の撤退やブランドの統廃合といった構造改革を実行しているが、そのスピード感も問われている。激変する消費動向にどう対応するのか。まずはオンワードホールディングスの保元道宣社長に聞いた。

  ――新型コロナ禍の昨年を振り返ると。

 年初の暖冬傾向をはじめ、2019年10月の消費税率アップの影響が想定以上に長引いた。しかし暖冬や景気の減速とは別に、新型コロナ禍に翻弄(ほんろう)された1年だった。特に4、5月は大半の実店舗を臨時休業するに至った。休業の反動で店頭販売は一時的に回復したものの、8月に新型コロナの第2波、12月から第3波の真っ只中にある。従来は地方や郊外店で集客が難しくなっていたが、今は密になりやすい都心部の店舗に人が集まらない。衣料品消費は予断を許さない状況だ。

  ――前期(20年2月期)から構造改革を進めている。

 不採算店舗の撤退を軸とした構造改革は、今期(21年2月期)でほぼ完結する予定だったが、新型コロナ禍で少し遅れている。しかし改革の大きな山は越えているので、来期の前半にはめどをつけたい。

  ――一方で自社ECは好調だ。

 自社ECの「オンワード・クローゼット」は好調で、この状況下でさらに売り上げを伸ばした。上半期(20年3~8月)の国内EC売上高は前期比38%増の197億円(外部EC含む)に拡大し、EC化率は35%に上昇している。

 ECと連動した新たな顧客接点を確保するため、商業施設に「オムニチャネル対応複合ストア」を出店している。オンライン接客からの購入、実店舗での試着、購入も可能だ。1月末までのトライアルを経て、今春以降に出店を本格化する。

  ――新型コロナ禍を経験し、在庫の考え方も変わるのか。

 シーズンを越えて着用できるベーシックな服があっても良い。従来は慌てて値引きをし、在庫を処分していた。もちろん新しいファッションをシーズン毎に提案するが、全ての商品を新しくする必要があるのか。商品のクオリティーを高めながら、もう少し長い期間、定価販売する服を増やしたい。

  ――具体的には。

 たった1年で生活様式がこれだけ変化した。企画、生産、販売する過程において、スピード感を持って対応する。生産のリードタイムが長いと、世の中の気分も変わってしまう。リードタイムの短縮は既にオーダーメードブランド「カシヤマ」で実践しており、デジタル技術で企業を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、最短1週間でオーダースーツを提供することを可能にした。

 手始めに基幹ブランド「23区」で導入する。無駄なモノを作らない、サステイナブルな経営にもつながる。大きなチャレンジになるが、短い期間で時代性に合った服を製作したい。これまで構造改革を軸に守りの経営に入っていたが、今春から攻めの戦略にも目を向ける。