激変にどう対応する ~アパレルトップインタビュー2021~(4)

2021年01月21日(Thu曜日)

デジタル投資を再開 ルックホールディングス 社長 多田 和洋 氏

  ――昨年を振り返ると。年初は記録的な暖冬になった。

 元々、コートなど重衣料の構成比率を減らしていた。従って暖冬の影響も軽微で、昨年1~2月度は計画通りのスタートを切ることができた。主要ブランドのプロパー消化率は約8割となっており、1月のセールに頼らない戦略も奏功した。

  ――新型コロナウイルス禍の影響は。

 2月から影響が出始めていたが、当初は上半期(1~6月度)に与えるインパクトが大きくなると考えていた。消費の先行きが不透明だったことで20春夏シーズンは抑え気味で発注した経緯もある。6月末の時点で在庫は前年を上回っていたが、当社はシーズン性の高い商品が同業他社よりも少なく、在庫をさばきやすい下地があった。12月末には、前年を下回る(春夏在庫の)水準にまでなっている。

  ――電子商取引(EC)は引き続き好調だ。

 ECは2020年12月期で約50%増(自社・外部ECを合算)となる見込みだ。上半期は実店舗の営業自粛で必然的に伸びたが、下半期(7~12月度)も引き続き好調。19年度のEC化率は11%だったが、20年度は20%を超える見通しだ。

  ――ECにおける好調ブランドは。

 実店舗で堅調なブランドがECでも売れる。主力のインポート雑貨「イルビゾンテ」が好調で、新型コロナ禍におけるインテリア需要にマッチした「マリメッコ」も安定して売れている。これまでEC化率が上がらなかった婦人ブランドの「キース」「スキャパ」もECで動いてきた。

  ――イルビゾンテの強さが目立つ。

 イルビゾンテの20年度売上高は前年を超える換算で、下半期だけを見ても2桁%増となる見込みだ。外出自粛の影響もほぼなかった。ブランド価値が認められると、景気の変動に左右されない。購入している年齢層は幅広く、実は女性の売上シェアが7割近くになっている。プレゼント用で購入する女性が多く、強みとして品質とデザイン性、価格のバランスに長けている。

  ――海外事業については。

 海外事業の主力である韓国は、昨年12月から感染が再拡大している。しかし、グループ会社アイディールック(韓国)の商況は悪くない。韓国では動画配信などデジタル戦略を先んじて進めている。中国はECのみでビジネスを行っているので営業自粛の影響はなかった。むしろ中国のEC売上高は伸びている

  ――今年の課題と強化ポイントは。

 昨年は不要不急の出費を抑えて1年を乗り切るイメージだったが、21年は基幹システムのリプレース(刷新)やバージョンアップなど、将来に向けたデジタル投資を再開する。テレワークの環境整備も進めたい。ECはもちろん、実店舗についてもメリハリをつけた投資を行う。

 良い話があれば、M&Aを含めた新規事業を進めたい。話はたくさん来ているが、当社の肌に合うブランドで腰を据えて取り組みたい。