激変にどう対応する ~アパレルトップインタビュー2021~(5)

2021年01月22日(Fri曜日)

中国の出店計画を堅持 バロックジャパン リミテッド社長  村井博之氏

 ――昨年の商況を振り返ると。

 グループ企業を介し、中国に290店舗以上出店している。従って、1月下旬に中国・武漢で新型コロナウイルス感染症が広がった際、既に影響が出ていた。商品を中国で生産しており、日本への輸送が遅れる事態にもなった。その後、中国の感染状況が落ち着き、輸送も回復した時点で日本の感染拡大が始まった。最初の緊急事態宣言時には57日間、ほぼ全店舗を臨時休業した。

  ――新型コロナ禍でのブランド運営については。

 昨年1月の状況を見て商品の発注を抑えた。先んじて中国の商況を分析できたことは大きい。店舗の臨時休業で売上高は減少したが、大幅な利益損失を回避することもできた。その一方で、新型コロナ禍から得られた教訓もある。以前から進めていたサステイナブルな経営を“腹落ち”して進めることができる。

 具体的には発注量を抑え、品番数を絞り込む。モノを作る数を減らした分だけ、1点1点の完成度を高める。それによって適正在庫を維持し、値引き販売をしない。昨年は単月収支で売上高が7掛けなのに、利益率は前年を上回ることもあった。以前から在庫管理を徹底していたが、それでも大きな無駄があった。

  ――中国の状況は。

 中国は大きな第2波、第3波もなく、消費は堅調に推移している。大都市の北京、上海ではオフィスでマスクをしていないし、飲食店で外食もしている。昨年末には売り上げも前年ベースにまで回復した。基幹ブランド「マウジー」「スライ」も好調で、新型コロナ禍のマイナスインパクトも消えつつある。

  ――足元の日本は緊急事態宣言が再発令された。

 宣言が明けて一時的なリベンジ消費は起こるが、長いタームで見ると消費行動が変わるだろう。無駄な買い物をしなくなり、早く帰宅する習慣も根付くかも知れない。感染が収束し、消費が戻るという単純な話ではない。今後は当社にしかできないデザインを投入し、ブランドの個性を強める。グループ全体の成長ドライブは中国になる。

  ――電子商取引(EC)は拡大している。

 新型コロナ禍前からデジタル投資を強化し、ECも伸びている。ただし、実店舗の臨時休業や密を避けるために電子商取引(EC)の利用者が増えたと認識している。真にECが成長したとは考えていない。使いやすく買いやすいプラットフォームを提供するECは成長するが“にわかEC”は売り上げが元に戻ってしまうだろう。当社は実店舗とECを絡め、どう理想形を構築できるのか突き詰めている最中だ。

  ――好調な中国市場の展望は。

 当社は日本国内で600億円規模の売上高があり、この数値を中国の経済規模や経済成長率に当てはめると、同国で3600億円までは拡大できる。当然、マウジーの店舗数も千店舗以上になるだろう。アフターコロナで新規出店は慎重になるが、店舗数などの出店計画そのものは変えない。