激変にどう対応する ~アパレルトップインタビュー2021~(6)

2021年01月25日(Mon曜日)

「覚悟」を持って改革 ワコール社長 伊東知康氏

 ――新型コロナウイルス禍が継続し、2021年も経営のかじ取りが難しくなりそうだ。

 創業以来といっても良いほどの大きな環境変化の中、21年におけるワコールグループの行動テーマを「覚悟~自分たちが変わる~」に設定した。一人一人が原点である経営理念に立ち返り、グループの存在意義や使命を改めて理解した上で、それぞれが認識している課題に対して覚悟を持って解決に臨む必要がある。

 ただ困難は最大の機会と言え、新しい時代が求める独創的な商品やサービスを継続的に提供しながら、社会の要請に応える企業活動を行う。そうした取り組みを進めることで、ステークホルダーに「ワコールって面白い」「ワコールって良いな」と思ってもらえる魅力的な存在になる。

  ――来期(22年3月期)に中期経営計画の最終年度を迎える。

 新型コロナ禍の影響も大きく、掲げていた数字とは隔たりがある。業績は回復基調に入っているが、21年3月期は初めての赤字を予想している。昨年にウイズ・アフターコロナ時代を見据えた新たな方針を策定したが、どのようにして新型コロナ禍を乗り越えていくかが現実的な課題と言える。

  ――具体的な取り組みは。

 「何を始めて、何をやめるのか」を戦略的に選択し、やるべきところに資源を集中する。集中するのはオンラインとオフラインの連携・融合、顧客データを基点にした自主管理型ビジネスへの移行などと考えている。オンラインは売上高に占める比率を20年3月期の15%から25年3月期には25%に高め、このうちの20%を自社電子商取引(EC)にしたい。

 オフラインは75%となるが、このうちの40%を直営店などの自主管理型ビジネスにする(20年3月期は20%)。これによって自社ECと直営店を含めた自主管理割合を引き上げる。顧客との関係性は、百貨店チャネルへの出店の検討と実施によって維持・強化を図っていく。

  ――顧客データはどのように生かすのか。

 店舗会員・自社EC会員・百貨店顧客をはじめとする約300万人の購買データを持ち、蓄積してきた計測データも4万5千人分に達する。これらのデータを生かしながら、3500人のビューティーアドバイザーが付加価値の高いサービスを提供する。データを増やすため、アバターによる接客システムなどの新サービスも充実させる。

  ――やめるものは。

 「ウイング」と「ワコールサイズオーダー」(旧デューブルベ)の刷新を先駆けて行ったが、そのほかにもさまざまなケースが出てくるだろう。ブランドの休止・統合も実施し、19秋冬シーズンでは56ブランドを展開していたが、21秋冬はその30%を削減する。