メーカー別 繊維ニュース

特集 今治タオル産地(4)/素材編/差別化は原料・原糸から

2021年01月28日(Thu曜日) 午後1時20分

 新型コロナウイルス禍によってタオル業界も大きな打撃を受けた。依然として市況の冷え込みが続いており、現状打開への模索が続く。そのための方法論として有効なのが原料・原糸からの差別化だろう。ここにきて清潔・衛生機能など新たな需要も生まれている。サステイナビリティーへの要求も一段と強まる。原綿・紡績企業ともに、こうしたニーズに応える提案を加速させる。

〈機能糸で需要掘り起こし/シキボウ〉

 シキボウはタオル向けに得意の衛生加工を応用した機能糸などの提案を強化し、需要の掘り起こしに取り組んでいる。インターネット通販など新規チャネルに適した商品企画に対するアプローチも強化する。

 新型コロナウイルス禍の影響もあって同社も今治産地向けなどタオル原糸の荷動きに勢いがない。このため一層の差別化で需要の創出に取り組むしかないとする。その一つが得意の衛生加工の応用。制菌加工「ノモス」を施した糸をタオル向けにも投入する。新型コロナ禍で衛生関連の機能への要望が高まっていることに応える。

 そのほか、芯にポリエステル、鞘に綿を配置することでコットンの肌触りと吸汗速乾性を両立した2層構造糸「クイックドライコットン」なども重点提案する。サステイナビリティーへの要求も高まっていることから、クイックドライコットンは再生ポリエステルとオーガニックコットンを採用した「クイックドライコットンエコ」も用意する。

 一方、インターネット通販など流通の新規チャネルに向けた商品に適した糸提案にも力を入れる。特に女性向けアイテムが有望として美容関連の機能糸などの提案も強化する。

〈「金魚」に抗菌機能付与/東洋紡STC〉

 東洋紡STCは今治産地向けなどのタオル原糸として、主力商品の「金魚」に抗菌機能を付与した「金魚AG」を重点提案する。実績豊富な調達力を生かしたオーガニックコットンの活用にも力を入れる。

 金魚AGは、綿に除菌繊維「アグリーザ」を混紡したもの。アグリーザに付与している銀イオンの機能で高い除菌性能を発揮する。新型コロナウイルス禍を契機にタオル用途でも衛生機能糸へのニーズが高まっていることから、ここにきて販売が拡大した。このため金魚AGのほかにもアグリーザを活用した機能糸の開発と提案に取り組む。

 サステイナビリティーへの要望からオーガニックコットンへの引き合いも強まった。オーガニックコットンは、さきごろインドでの不正認証が発覚したことから信頼性が改めて問われている。東洋紡STCは古くからインドやトルコの大手企業と連携してオーガニックコットンを調達してきた実績がある。この実績と信頼性を改めて打ち出し、信頼できるオーガニックコットンの糸の提案に取り組む。

〈「テンセル」でSDGsを/レンチング〉

 レンチングの精製セルロース繊維「テンセル」リヨセルへの注目がタオル用途でも高まっている。ホテル用タオルで綿100%から綿・テンセル混に変更する動きが出てきた。背景にあるのがSDGs(持続可能な開発目標)への対応。日本でもホームテキスタイル分野でテンセル混がスタンダードとなる可能性を秘める。

 ある外資系ホテルチェーンはこれまで今治産地で生産された綿100%タオルを採用していたが、これを同じく今治産地で生産する綿50%・テンセル50%混に切り替える動きを進めている。

 素材切り替えの狙いはSDGsへの対応。テンセルは木材パルプを原料とするため、綿花よりも水使用量など栽培時の環境負荷が小さいと主張している。耐久性も高まることから、洗濯後の風合い劣化も少ない。こうした特徴が需要家のSDGsに対応した調達戦略に合致した。

 欧米ではタオルやベッドリネンなどホームテキスタイル分野でテンセルは広く普及している。レンチングはこうした実績を生かし、日本でもタオル用途などへの提案を強化する。

〈産地の話題/今年はアート作品を公募/イマバリ カラーショー〉

 2017年の初回開催から、現場の環境を利用したアート作品(インスタレーション)をはじめとする幅広い情報発信を継続してきたイマバリ カラーショー(愛媛県繊維染色工業組合主催)は、21年の開催に向け、展示するアート作品プランを一般公募する。

 同工組が推進するSDGs(持続的な開発目標)への取り組みと合わせ、募集作品のテーマを「イマバリカラー×SDGs」と設定し、「捨てられるモノを、アート作品としてよみがえらせたい」意向だ。

 傘下企業で発生した不要な色糸、タオルハンカチ、フェースタオル用生地などを材料として作品に用いることが条件になる。

 現在、学校・サークルなどの団体・個人を対象に作品制作プランを募集しており、プランが採用されると、材料のほか、制作資金が組合から提供される。

 21年のショーの開催は秋ごろを予定する。同工組によると、作品展示はショーの会期中今治市内の屋内ホールで行われる。