維街街道 私の道中記 日本絨氈社長 池﨑博之 氏(5)

2021年01月29日(Fri曜日)

解がなくても考え続ける

 日本カーペット工業組合の会員企業が生産した国内タフトカーペット生産量は、1990年代の9千万平方㍍超をピークに減少に転じ、2011年以降4千万平方㍍台で推移する。その中で池﨑は、タフトカーペットの滋賀工場(滋賀県甲賀市)を17年に新設し、生産能力を倍増した。

 15年ほど前に、海外工場の開設を考えたことがあります。商社の勧めもあり、中国の上海近郊で生産できないか検討しました。日本向けとともに、中国内販もシミュレーションしましたが、売掛金の回収が難しいとペンディングになりました。

 そうしているうちに本社工場のキャパシティーが限界に達する中で、顧客の要望もあって生産能力を高める設備投資を決断しました。

 滋賀工場は、世界一生産性の高い工場と自負しています。タイルカーペットの生産に特化し、タイルカーペットのバッキングラインの加熱・冷却工程を従来と比べて1・4~1・5倍長く設計することなどで、これまで以上の高速ラインを可能にしました。機能加工も行いやすくしました。自動倉庫を設けて効率性も高めています。

 国内市場は縮小均衡ですが、世界のタイルカーペット市場は2億平方㍍以上あります。1%でも200万平方㍍です。海外市場もターゲットに据えて取り組んでいます。

  池﨑が社長に就いてから30年以上がたった。さまざまな課題を乗り越えてきたが、新型コロナウイルス禍という危機に直面している。

 今は、AI(人工知能)やIoTなどの技術革新による第4次産業革命が本格化している変化の大きな時代です。カーペット業界ともつながりの深い自動車産業も、日本の将来を左右する100年に一度の変革期を迎えています。

 さらに新型コロナ禍が一段と変化を促しています。その変化はコントロールできません。変化をマネジメントする最善の方法は、自ら変化を作り出すことです。ただ現在の事業を継続しながら自ら変化することはなかなか難しいものがあります。

 大事なことは、機会を予期し、そこに人財と資金を投資すること。解がなくても絶えず考え続けること。そして、メーカーとして感動する商品を開発することだと考えています。

 感染病は過去の事例を見ても、未来永劫続くわけではないはずです。必ず来るであろう回復期に向けて準備を進めます。

  長男の雄太(取締役企画開発部長兼技術開発担当役員)、次男の彰吾(取締役総務部長兼滋賀工場長)も入社し、事業を盛り立てる。

 息子たちと、彼らと共にやっていく次の世代に託す時期が近づいています。カーペットは人類の歴史とともに始まった伝統的な産業と言えますが、革新性も追求し、「幸せを敷き詰めよう」を広げていってもらいたいですね。

(文中敬称略、この項おわり)