激変にどう対応する ~アパレルトップインタビュー2021~(10)

2021年02月01日(Mon曜日)

圧倒的価値を顧客に提供   はるやまホールディングス 社長 治山正史氏

 ――ビスネススーツの市場は厳しい。

 衣料品市場全体が厳しさの中にあり、ビジネススーツに限ったことではない。服は自分が着て楽しむと同時に、人に見せ、褒めてもらって喜びを感じるものだ。相手がいて成立すると言える。新型コロナウイルス禍で外出機会が以前よりも減っていることを考えれば衣料品需要の落ち込みは当然かもしれない。

 アパレル企業や飲食店の倒産のニュースが流れ、多くの人が景気後退を感じていると思う。将来への不安は拭えず、生活防衛の観点から購入する商品は必需品が中心になっている。衣料品に話を絞れば、売れているのは低価格品と実用衣料だけだ。以前と比べて服への支出が減っているという構造的な問題もある。

  ――こうした状況は今後も続くのか。

 「新型コロナが収束しても以前の世界には戻らない」との言葉をよく耳にするが、「戻らない」とは必ずしも言えないのではないか。消滅した需要が戻ったケースも見られる。その一つが腕時計。携帯電話やスマートフォンの普及で着けている人は減ったが、「アップルウオッチ」などの登場で一変した。

 電話も同じだ。一般家庭での固定電話の復活は難しいと思うが、携帯電話はなくならない。時計や電話のように圧倒的価値が提供できれば可処分所得の優先順位を変えることができる。衣服やスーツもこれまでの延長線ではなく、圧倒的価値の提案で需要は作れるだろう。

  ――はるやまホールディングスはどのような価値を提供するのか。

 健康だ。2009年にインフルエンザ対策スーツを発売するなど、健康と衣を結び付けた商品・サービスの提案は継続して取り組んでいる。衣服圧や重さなど、着用によって感じるストレスを軽減することに焦点を当てたストレス対策スーツも開発した。新型コロナで健康への関心は高まっており、アピールを強めたい。

  ――健康への取り組みの進化は。

 さまざまな取り組みを同時並行で進める。消費者が関心を持っていると思われる抗菌・抗ウイルスは21年の大きなテーマだが、紫外線や熱中症対策、ストレス軽減などにも目を向けている。ドリンクコーナーなどを併設する「ほっとひと息ステーション」店舗も増やしていく。

  ――ビジネススーツの販売施策は。

 圧倒的価値の提案に加えて、スーツを普段着に位置付けられれば復権はあり得る。ただし仕事着のカジュアル化の流れは止まらないだろう。このためテレワークに対応する服“テレウエア”の展開は増やす。これまでの“スーツ店”から“ビジネスウエア店”への成長が必要で、店舗の意義などについても考え直す。

(おわり)